新卒を経験したことがない僕が新卒に言えるたったひとつのこと

2019.04.11

坂上 洋一
メディアプロデューサー

「新卒採用のため、ブログ書いて欲しいんですけど」

と、3ヶ月ほど言われ続けたおかげで少しずつ書く熱が上がってきたのと、ようやく会議&1on1ラッシュを抜けてホッと一息ついたタイミングがたまたま合ったからか、「そうだ、ブログ書こう」と思い立ちました。そんなわけで僕は朝6時の電車の中、iPhoneでこのブログを書いています。

最初にお断りしておきたいのですが、僕は6年も大学に在籍した挙句に中退し、12年ほど勤めた前職はアルバイトから半ば流れに任せて正社員になった人間です。大学生活後半は事実上フリーターみたいなものだったので、自分がいつから社会人になったのか、よくわかりません。もしかしたら今も社会人じゃないのかもしれん、と思うくらい。

つまり、僕は「新卒」も「新入社員」も経験ないんです。エバーセンスに入ったのは約2年前ですが、知り合いがいたわけでもないのに半ば勝手に「これは縁だ」と信じ、他を全く受けずに入りました。なのになぜ、彼は僕に新卒向けのブログを書けと言ったのだろう?

ちなみに僕は、新卒でエバーセンスを選ぶ人の気持ちが正直よくわかりません。僕が万が一大学を無事に卒業したとして、それなりに自由に就職先を選ぶことができる状況だったとしたら、無数にある選択肢からうちのような会社を選んだとは到底思えません。

だって、せっかくベンチャー選ぶならもっとギラギラしてる方が良くないですか? 若かりし頃の僕なら、間違いなくそういう志向を持っていたと思います。

僕はエバーセンスに新卒で入った全員に「なんでうち選んだの?」と聞いています。みんな「はぁ…(なんでそんなこといまさら聞くのよ)」って苦笑いをしつつそれぞれに立派な理由を教えてくれて、「すごいねえー」っていつも感心させられています。

新卒の面接でも、同じことを聞いています。「エバーセンスのどこが魅力的だと思ったの?自分が若いころならうちを魅力的だと絶対思えなかった」って。なのになぜ、彼は僕に新卒向けのブログを書けと言ったのだろう?

 

「家族を幸せに」って、新卒にはよくわからないと思う

弊社ウェブサイトのトップページには「家族を幸せにすることで、笑顔溢れる社会をつくる。」と書かれています。社会の荒波にそれなりに揉まれつつ何とか這いつくばって生き延びてきた僕には、とても魅力的に思えるメッセージでした。

でも僕がハタチくらいのころは、全然惹かれなかったと思うんです、正直。だってその頃の僕は、結婚なんぞ全く考えたことはなく、むしろ家族という安心できすぎる存在から離れたい、自分は1人でやっていけるんだという思い込みで胸を踊らせていましたから。

「家族を幸せに~」なんて正直思わないよ、って、うちを敬遠する新卒がいても、全然おかしくないと思います。むしろそっちの方が僕は共感できます。

ただし実は、エバーセンスの芯ではないんです、この言葉。「家族を幸せに~」ってメッセージ自体に間違いはないし、いまやっている事業の方向性としてはまったくもって正しいんですが、エバーセンスとして一番大切にしたいことではないのです。

 

「いい仲間といい仕事がし続けられる」がどれほど貴重なことか

エバーセンスの芯は「いい仲間といい仕事をする」、これだけ。代表の牧野さんがいつもいつも、オウムみたいに繰り返し言ってる言葉です。

「いい仲間」っていうのは、仲がいい、ではありません。僕が思う「いい仲間」は、ときにケンカしてでもモノづくりに向かって真摯に向き合う仲間(だからといってホントにケンカしたことはあんまりないし、実際はけっこう仲もいいけれど)。

「いい仕事」ってのは、儲かるとか、社会に貢献する、だけでは不十分です。僕が思う「いい仕事」は、誰も不幸にせず、嘘もつかない仕事のこと。誰かを幸せにしてちゃんと儲けるのは大前提です。儲からないと、さらに誰かを幸せにできないし、作り手がつらくなる。

世の中にいい事業はたくさんあります。愛されるサービスも、売れまくってるモノも、たくさんあります。でも、作ってる人、使ってる人、関わってる人がみんな幸せって、案外難しいものです。たいてい、利益を優先したりスケジュールを優先して誰かがちょっとイヤな思いをしたり、どこかに嘘をつかないといけなくなるんです。

10万人を幸せにするサービスができたとしても、1円の利益も生まなかったらそれは続けられないし改善することもできません。

10万人を幸せにするサービスができたとしても、作り手が無理をして過労で重い病気にかかり、仕事を辞めなければいけなくなったら、みんなが幸せとは言えません。

1000万円の利益が出たとしても、その利益を生むためにクライアントから半ば無理やり広告費をいただいていたとしたら、クライアントは幸せになりません。

瞬間芸的に誰かを幸せにして、誰かを不幸せにしないモノやイベントを作るのは比較的簡単。でもそれを続けるのは、とても難しいということは、なんだかんだ社会人を15年くらいやってきた経験でわかったつもりです。

そういう意味では「いい仲間と、いい仕事をする」というより、「いい仲間と、いい仕事を続ける」が正しいのかもなぁ。その点に関して、エバーセンスは絶対にブレません。まだ僕は2年弱しか在籍してないし会社も7期に入ったところだけど強く信じています。

あ、ちなみに最近気づいたんですけど、仕事って「楽しい」だけじゃダメなんです。「楽しい」と「つらい」が両方ある状態が、一番成果が出るような気がします。つまり、「楽しいとつらいがバランスよくあるのが幸せな仕事」ということなんじゃないかなぁ。

何が言いたいのかよくわからなくなってきましたが、要は「いい仲間といい仕事をし続けたいと思ってるなら、うちにおいで」ってことです。別にそんなに強く家族を幸せにしたいと思えてなくても大丈夫です。いい仲間といいモノづくりがしたい人、是非。