売上目標を立てない理由。

2016.06.17

牧野 哲也
代表取締役社長

エバーセンス代表の牧野です。
少しずつ社員も増えてきて、求人の応募数も増えてきたので、何を考えているのかをブログで共有していきます。
月に数回は更新したいなぁ。

さて、エバーセンスは来年4月の新卒内定者も含めると30人を超える規模になりました。
それでも、創業当初から大事にしている「売上目標を立てない」ことは、続いています。
いつまで続けられるのかとドキドキしていますが、カルチャーにもすごく影響を与えるので、絶対に守りたいことの一つです。

売上目標は、「会社として」だけでなく、「個人として」もありません。
マーケティング部の管と一緒に売上計画を立ててはいますが、
「今月の目標は●●円で、5%未達に終わりそうだから、それを何とか達成するために××をする」
ということはありません。
計画ですが、目標にはしていないのです。
ただ、先に話しておくと、月の売上は去年の12月と比べると約2.5倍の水準にまで上がっています。

もちろん、売上目標を置いてそれに向かって日々取り組んだほうが、売上が上がりやすいとは思っています。
エバーセンスも売上目標を立てたら、2.5倍じゃなくて、3倍や4倍にできたかもしれません。
でも、そうしていたら、きっと今のカルチャーはなかった。

「何のためにエバーセンスは存在するのか」と考えると、「ビジョンを実現するため」、です。
そして、「ビジョンの実現に何が必要か」と考えると、「カルチャーや組織の在り方」が一番大事。
カルチャーを犠牲にしながら売上を立ててしまうと、ビジョンの実現とは遠ざかってしまうと思うのです。

では、大事にしたいカルチャーとは何か。
「ユーザーのために、いいサービスをつくる」というカルチャーです。
エバーセンスは、モノ作りの会社でありたい。

WEBの世界では「ユーザーファースト」は当たり前になっていますが、ユーザーファーストを掲げながら、必達しなければならない売上目標があると、「どっちが大事なんだろう」と感じて、何を見て仕事をすればいいか迷ってしまう。

例えば、エバーセンスには『ninaru』という妊婦さん向けのアプリがあり、月間20万人の方にご利用いただいています。
iOSのアプリレビューは4.9点以上(5点満点)で、読んでいるとつい泣いてしまうようなレビューも。
また、「これで無料なの?」というレビューもよくあります。

正直に言うと、ninaruの売上を2~3倍にすることは簡単です(調子に乗っている風に聞こえますが…)。
全然、広告を貼っていないので。。。
でも、売上を上げにいこうとすると、レビューの点数は下がり、2倍にするには4.4~4.6、3倍にするには4.2~4.4くらいの犠牲を伴います。

売上目標があったら、きっとそうしている。
でも、エバーセンスは高いユーザー満足度を大切にしたいから、それはやりたくない。
ユーザーに喜んでもらえると、日々、よりご機嫌に仕事ができると思うから。

「今日出産しました!
毎日ニナルを見て励まされ妊婦生活を楽しんできました。
出産して出産記念の画像と言葉に感動して涙が溢れました。
3人目の妊娠でしたが勉強になることも多く、関連記事も読んでいました。
一人目の時にもこのアプリに出会いたかったです!
おせわになりました。
ありがとうございました!」

「妊娠初期から使っていました。
お腹の中の様子や毎日の体調の変化が細かくわかり、安心材料になりました。
予定日超過だったため不安で仕方ありませんでしたが、情報が豊富なninaruのおかげで乗り切ることができました。
「出産したらここをタップ!」で出てきたメッセージには泣かされました。
すべての妊婦さんにおすすめしたいアプリです。」

「毎日見てました!
そして、産まれた後のメッセージに、思わず泣けてしまいました。今も育児に少し疲れると、メッセージを読み返して励みにしています♪
あと何日…と過ごしてた日々が素敵な思い出です(^^)」

※app storeのレビューより引用

エバーセンスではSlackというチャットツールを使っているのですが、毎日botが自動で、Slackにレビューを流してくれます。
ninaruでは、上記のようなレビューが毎日届き、嬉しい気持ちになっています。
手作り離乳食やPIBOなど、他のアプリでも、レビューの点数は相当高いのですが、社員みんながユーザーを見たモノ作りを徹底している結果だと思います。
本当に、レビューは通信簿だなぁと思う。

ただ、もちろん、ninaruにも広告は出させていただいています。
それも、できるだけユーザーのためになる広告を出すことで、クライアントもユーザーも満足できるように意識して。
売上目標は立てていないけど、売上と利益は会社が存続するための前提だし、ご機嫌に生きるための前提。
モノ作りをしながらも、ちゃんと売上と利益を出せるサービスをつくろう、というカルチャーを根づかせたい。
それは、「売上目標を立てて達成する」ことではなく、「幸せの最大公約数をとる」という行動指針を大切にすることで、できるはずだと思っています。

去年の12月と比べて売上が2.5倍になったと先述しましたが、利益は6倍くらいになっていて、事業は順調に成長し、経営は安定しています。
そこで得た利益を新規事業にも投資して、賞与や給与にも反映していける。
いいモノ作りをしながらも、結果としての売上や利益はついてきているから、この循環をより良くしていきたい。

「カルチャーを犠牲にしてまで、売上を立てたいとは思っていないのです。」
この言葉を単なるきれいごとにしないように、頑張りたいなぁ。
「ビジョンを実現する」という結果を出せるかどうかが、全てだから。

そして、「小さい会社だからできること」と言われたら、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
僕らはそれに挑戦していきたい。

日々、ご機嫌に働きながら。

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↑今日も社員の前澤はご機嫌です。