ゆるふわの裏側から

2017.06.06

辻 真貴子
メディアプロデューサー

まっすぐに、誠実に、心から

これは、わたしが所属するこそだてハック商品編集チームのビジョン。

2年半前にドキドキしながらエバセンの扉を開いたことは今でも鮮明に覚えている。
14:00からの面接。私は13:57からドア付近で待機していた。
あと3分で仕上げたい仕事、あと3分で終わるミーティングがあるかもしれない。
だから私は13時59分30秒になったところでピンポンを押す…。これがエバセンとの出会い。

入ってしばらくの間は「妊娠○週目」シリーズをひたすら執筆した。
やっと生まれたと思ったら、次は「生後○週目シリーズ」。

最初は章立てが苦しかった。情報の取捨選択が難しい。
森に迷い込んでしまうこともよくあったけれど、自分で何かを生み出して誰かに届くと思うとうれしかった。
書くことも楽しかった。

そんなときにたまたま目に留まったのが「こどもの日に贈りたいプレゼント10選」という記事。
正直言って、欲しいものが全然載っていなかった。

「商品を紹介する記事を書きたいです」
と、牧野さんとのはじめてのランチで話した(どこに行くのかなと思ったら、モスだった)。

「こういう記事はセンスがいるからねぇ・・・」

だめなのかな、と思ったけれど書かせてもらえた。

それから2年。こそだてハック編集部に2つのチームができた。
妊娠・出産・子育てに関わる全般的な情報を届ける「基本編集チーム」と
商品や施設をセレクトして提案する「商品編集チーム」。私はこっち。

まっすぐに、誠実に、心からおすすめしたいアイテムをセレクトし、言葉を載せている。
提案したアイテムによって、暮らしに彩りを添えたい。妊婦さんやママの暮らしを少しでもサポートしたい。

20代のわたし、30代のわたし

私は朝4番目に会社に来て、7番目くらいに会社を出る。
たまに遅くまで残っていると「珍しいですねぇ」と言われる。

10年前は違った。毎日遅くて、タクシーで帰ることもよくあった。
0時頃にやっているお店って、ラーメン屋かモスくらい。どちらか食べて帰る。

今では「17:30に帰る人」と思われている。合っているけど半分は違う。
インターネットさえあれば、子供が寝たあとに家で仕事ができるからだ。

・欲をいえば仕事ばかりしたい。
・一方で子供がいて一定の時間に帰らなくてはいけないこと、子供に関わることで、
 人としてのバランスが取れているのかも。
・子供が悲しまないレベルで仕事はがんばりたい。

今年のキャリアパス(目標)シートに、こう書いた。
子供がいることで、人間らしい暮らしを送れている。衣食住が整うのは、完全に娘のおかげだ。
一方で仕事もしたい。

「ママだから」「独身だから」「若いから」「女だから」

ラベルを貼るのは簡単だけど、私は分類されたくないし、保険もかけたくない。
ママである前にわたしは変わらずわたし。子供がいるからといって限界を設けたくない。
時間の制約はある。でも仕事の質に対しては、誰もが平等だ。

子供がいるおかげで、プライベートを仕事に持ち込める。逆に、仕事をプライベートにも持ち込める。

家で商品セレクトをしていると、「見せてー」と娘がやってくる。
「これは可愛い」「これはださい」と言い合いながらアイテムを決めていく。
学校公開に行ったときには、娘の姿を見ながら、何かネタはないかとヒントを探す。
子供の友達が知らないおもちゃで遊んでいたらやらせてもらう。次に書くときにその体験を盛り込む。

娘は「ママの仕事、いいなぁ」と言う。私の仕事が好きらしい。私も仕事が好き。
娘のことも大好き。どっちも大切にしたい。
1日に仕事にかける時間が10時間くらい。娘には5時間くらい。
どちらも私の生活を構成する大事なもの。登場していないけど大事な夫もいる。夫もエバセンが好き。

(夫ではありません)

読者に対しても、仕事に対しても、まっすぐに、誠実に、心から向き合いたい。
自分の考えが甘くて嫌になる。自信がないことがたくさんある。

だからこそ自分で決めた目標くらいは達成したい。
毎日1%プラスすれば、良い未来が開けると信じている。

できない自分も認める。
できないから今は嫌だけど、やらなきゃできるようにならないから、まずはやってみる。
ちゃんと心を入れてまっすぐに取り組めば、きっとできるようになる。

そう思ってやってきた2年半、できるようになったことはたくさんある。

(これまでお世話になった愛しの高道ビル)

6人だったエバーセンスは、40人になった。
組織ができて、チームになった。
たくさんの人にサービスを使ってもらい、たくさんの人に「話を聞きたい」ボタンを押してもらえるようになった。

「仕事と家庭のバランスを取りたい」という人がたくさん来てくれる。
それは嬉しいけれど、ちょっと違和感を覚える。

エバーセンスにいる人は、ものすごく仕事ができる人ばかりだ。だからしっかりアウトプットが出せる。
エバーセンスは、成果主義だ。だから自由にさせてくれる。
時間に制約があるママたちは、大きい声では言わないけれど、夜や朝に時間を作って家で仕事をしている人も多い。
それはだれかに強制されるものじゃない。個人が自分の役割と責任と、ありたい姿があって自由に選択している。

私は1%プラスしたいから、少しずつ無理をする。
1%の無理が続けば、気がつけばそれが当たり前になる。そしたらどんどん頑丈になっていく。

これは私の選択で、チームメンバーやまわりの人には求めていない。

ただ、ご機嫌に仕事をしたいなら、達成と成長は必要不可欠だと思う。
成長するには達成が必要で、そのためには努力がいる。簡単に達成するなら成長できないから、ちょっと難しいチャレンジが必要になる。

何が言いたいかというと、仕事と家庭のバランスがゆるっと取れるほど甘くはない。
その裏には努力と成果がある。その結果、自分なりのご機嫌なバランスが見えるんだと思う。
エバセンの人たちは「ゆるふわ」という上手い言葉を使って筋肉を隠す。

商品編集チームはもうすぐ8人。仲間が増えることに、うれしさと同時にプレッシャーもかかる。
一緒にいるメンバーが心を等しくしてまっすぐにユーザーに向き合う。
質を高める。心に響く文章を届ける。

シンプルなかけ算ができるように。まっすぐに、誠実に、心から向き合いたい。