赤ちゃんを出産するという大仕事をやってのけたママ。産後は育児に追われる日々ですが、だんだんと抜け毛が気になりだします。産後の抜け毛は産後脱毛症や分娩後脱毛症とも呼ばれ、経産婦の多くが経験しているといわれています。今回はそんな産後の抜け毛について、いつからいつまで続くのか、対策や予防法などについてご紹介します。
産後の抜け毛とは?髪の毛が急に抜けるの?
出産後にやっと落ち着いてお風呂に入って、シャンプーをしたり髪を乾かしたりしているときに、ごっそりと髪が抜ける、という状況に驚くママは多いようです。このままずっと抜け続けるのではないかと不安になってしまいますよね。
しかし産後の抜け毛は、病気など、何か異常があっての抜け毛ではありません。赤ちゃんを育てるために、産後のママの体にはさまざまな変化が起きていて、それによる影響で髪が抜けやすくなるとされています。
しばらくしたら落ち着くので、安心してくださいね。
産後の抜け毛の原因は?
産後の抜け毛は、女性ホルモンの分泌量の変化が主な原因だとされています。
妊娠中は女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)が増えることで(※1)、髪の毛が抜けにくくなるとされています。実際、妊娠中は髪の毛や体毛が増えて毛深くなったという妊婦さんもいます。
しかし、赤ちゃんを産むと女性ホルモンが急激に減少し、妊娠中に抜けなかった髪が一気に抜けてしまうのです。
また女性ホルモン以外にも、慣れない子育てへのストレスや、赤ちゃんのお世話による睡眠不足、不規則な食事なども産後の抜け毛の原因になりえます。なかには、抜け毛によるストレスでさらに抜け毛が進む…という悪循環に陥ってしまう人もいるようです。
産後の抜け毛はいつからいつまで?
髪の毛は、基本的には次のようなサイクルで生える、抜けるを繰り返します(※2)。
● 成長期(髪の毛が生える時期):3〜7年間
● 退行期(髪の毛が抜ける時期):2~3週間
● 休止期(髪の毛が生えるまでの休みの時期):約3ヶ月間
産後の抜け毛の場合、多くの髪の毛が一気に退行期を迎えて抜けてしまい、休止期に入ると考えられます。一時的に髪が少なく、薄くなってしまうのはそのせいです。
その後、3ヶ月ほど経つと休止期が終わって再び成長期に入り、髪がだんだんと生え始めて量も改善されていきます。
しかし産後の抜け毛の原因である女性ホルモンの分泌量や生活習慣には個人差があるため、抜け毛が起きる期間がいつからいつまでなのかという点については、人によって異なります。
一般的には、産後すぐから抜け毛が見られ、産後6ヶ月頃、遅くとも産後1年で戻ることが多いようです。
産後の抜け毛に対策は必要?脱毛を放っておいていいの?
産後の抜け毛は、生理的なことだと考えれば特に心配する必要はありません。ただ、あまり抜け毛を放っておいても、ストレスが溜まってしまいますよね。そこで、少しでも早く回復したいという人は、次のような抜け毛対策を心がけましょう。
● 規則正しい生活をしてリズムを整える
● 質のよい睡眠を多く取る
● ストレスを溜めない
● ストレッチなど、適度な運動をする
産後の抜け毛予防になる食事とは?
上で述べたような対策が取れると良いですが、赤ちゃんが生まれたばかりだと何かと慌ただしく、お世話をしながら規則正しい生活をするのはなかなか難しいと思います。そんな人におすすめなのが、食生活の改善です。
以下に、抜け毛予防に効果的な食材を栄養素別にご紹介します。忙しいかもしれませんが、これらをちょっと意識して食べることで、抜け毛の量を減らしたり、予防したりできるかもしれませんよ。
タンパク質
髪の毛の99%はタンパク質で構成されています(※3)。そのため、タンパク質が多く含まれている大豆や肉、卵などを積極的に摂りましょう。
大豆イソフラボン
大豆に含まれているイソフラボンは女性ホルモンに似た働きをし、髪の毛の成長を促すと考えられています。
大豆イソフラボンの1日の摂取目安量の上限は、70~75mgで、納豆1パック分ほどです(※4)。いつもの朝食に納豆を1つ追加するだけで手軽に摂取できますよ。
ビタミンB2
豚肉やレバー、サンマなどに多く含まれているビタミンB2は、新陳代謝を活発にし、健康な髪や皮膚などを作ったり、成長を促したりする栄養素です。ビタミンB2は熱に強い性質があるので、炒め物や煮物などで摂取するのがいいですね(※3)。
ミネラル(亜鉛、鉄)
昔からわかめやひじきは髪にいいと言われますが、これらにはミネラルが豊富に含まれています。また貝類には亜鉛が、ホウレン草やレバーなどには鉄が含まれており、健康的な髪を育ててくれる働きがあるとされています。
産後の抜け毛に、専用の育毛剤やシャンプーもある?
生活習慣や食事による対策・予防も行いながら、産後の抜け毛専用の育毛剤やシャンプーを使ったという先輩ママも多くいます。
なかには授乳中のママと赤ちゃんへの影響のことも考えて作られた、産後の抜け毛専用オーガニックシャンプーもあるので、授乳中の母乳への影響が気になる人はこれらを選ぶといいかもしれませんね。
ただし、いずれも効果には個人差があり、専用シャンプーを使ったからといって必ず抜け毛が治るわけではありません。自己責任であることを理解した上で、使うかどうかを判断してくださいね。
産後の抜け毛は気長に対策を
産後の抜け毛にショックを受けるのは仕方のないことですが、楽しく育児をするためにも、あまり考えすぎず、自然に改善されるまで待つことが大切です。
パートナーにも相談しながら、できる限り無理をしないように、気長に対策を続けられるといいですね。
※1 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』p.34
※2 徳島県医師会「女性の脱毛症」
※3 新星出版社『図版オールカラー 栄養成分の事典』pp.58-60,226
※4 食品安全委員会「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」