妊娠していることがわかって喜んだのも束の間、早い人はすぐに「つわり」に悩まされることも。つわりにはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は、つわりの種類とそれぞれの対処法をご紹介します。
つわりとは?
つわりとは、妊娠初期に現れる吐き気や嘔吐などの消化器症状の総称です。つわりは妊婦の50~80%が経験し、特に初産婦の方がつわりになりやすいとされています(※1)。
ただ、つわりの原因はよくわかっていません。
妊娠中に多く分泌されるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)といったホルモンが、つわりを引き起こしているのではないかと考えられていますが、医学的にはっきりと解明されているわけではありません。
つわりの種類は?空腹で吐き気をもよおすのは?
医学的な分類ではありませんが、つわりは「吐きつわり」「食べつわり」「においつわり」「よだれつわり」の症状を訴える人が多いです。
頭痛や眠気、倦怠感、気分の浮き沈みなどの症状もつわりの一部として考えられることが多いですが、これらはホルモンの変化や自律神経の働きなどによるもので、医学的にはつわりと異なります。
先輩ママたちにアンケート(※)を行って集めた体験談を交えて、それぞれのつわりの特徴について紹介します。自分の症状がどれに当てはまるかをチェックしてみてください。
1. 吐きつわり
吐きつわりは、食事をしているかどうかに関わらず、吐き気に悩まされます。
症状が重いと食べ物がまったく喉を通らず、水分補給すら難しくなるケースもあります。吐きつわりで嘔吐を繰り返すと脱水症状や飢餓状態になってしまう危険性があります。
2人の子どもを出産しましたが、どちらとも妊娠7週目あたりから水を飲んでも吐く「吐きつわり」になりました。1人目の妊娠ではほぼ産むまで吐き続け、2人目の妊娠では6~7ヶ月くらいに治まりましたが、本当にしんどかったです。
30代女性
仕事中はましだったけど、帰り道は途中下車して吐きながら帰っていました。駅から家まで10分の道のりを、吐くためにコンビニに寄るから40分かけて帰宅。3kg痩せました。
20代女性
2. 食べつわり
空腹になると吐き気が現れるのが「食べつわり」です。食事と食事の時間が空いてしまうと胃がムカムカして胸焼けがしたり、吐き気をもよおしたりします。
ずっと口に食べ物を入れていないと落ち着かない人もいるので、食べつわりは体重増加に気をつける必要があります。
空腹になると気持ちが悪くなるため、仕事中も時間を見つけては何か口にしていました。おかげで安定期を迎えても間食の習慣が治らず、体重コントロールが大変でした。
30代女性
あまり吐かず、食べなきゃ気持ち悪いからと食べてばかりでした。なぜかさっぱりしたものがダメで油っこいものが食べられました。結果、初期で体重が増えすぎてしまい指導が入りました。
20代女性
3.においつわり
妊娠初期はにおいに敏感になるため、特定のにおいに刺激されて吐き気をもよおすことがあります。これがにおいつわりです。ただし、特定のにおいといっても、生ゴミの悪臭やタバコの煙のように誰もが臭いと感じるものだけではありません。
白米を炊いたにおいや特定の香水のにおいなど、普段の何気ないにおいにも敏感に反応するようになる妊婦さんもいます。においつわりでどのにおいが苦手になるかは、個人差があります。
すべてのにおいがダメで、常にマスクをしていました。いろんなにおいがするスーパーでは、マスクを二重に着用していました。このにおいつわりは妊娠5ヶ月目まで続きました。
30代女性
安定期に入るまでにおいがダメで常に吐いていました。冷蔵庫のにおいや玉ねぎ、お肉のにおいなどご飯作りがほとんどできませんでした。
20代女性
4. よだれつわり
よだれの分泌量が過剰になるのが、よだれつわりです。食事などで唾液の出る量が以前に比べて増える程度の妊婦さんもいれば、食べ物を食べるとき以外にも唾液が出続けて定期的に吐き出さないといけなくなる妊婦さんもいます。
よだれが少ないうちは飴やガムでごまかせますが、量が多くなってくると自分の唾液を飲み込むのも一苦労するほどです。
よだれづわりがピークのときは、タオルやティッシュを口にくわえていても、よだれがダラダラと出てきていました。そして、寝起きにはパジャマによだれのシミができていることもあり、切ない気持ちになりました。
20代女性
つわりの種類別対処法って?
つわりを根本的に解消することはできませんが、和らげることはできるかもしれません。つわりで悩まされている妊婦さんは、ぜひ、以下の対処法を実践してみてくださいね。
1. 吐きつわりの対処法
吐きつわり中は「食べられるものを食べられるときに食べる」のが基本です。ゼリーやプリンなどのどごしのよいもの、アイスや氷などの冷たいものが比較的食べやすいので、自分にあったものを見つけましょう。
2. 食べつわりの対処法
食べつわりの場合、空腹状態にさせないのが基本です。食事は複数回に分けて少量ずつ食べましょう。朝起きたときは空腹になっているので、枕元にすぐ食べられるお菓子やおにぎりなどを置いておくのがおすすめです。
3. においつわりの対処法
においつわりであれば、特定のにおいを遠ざけることが一番の対策です。炊きたてのご飯や炒め物、焼き魚など、火を通した食べ物はにおいが強くなるので、できるだけ避けてください。苦手なにおいを感じたら、すぐにマスクやハンカチで鼻を覆いましょう。
4. よだれつわりの対処法
よだれつわりでは、よだれが溜まったらすぐに吐き出せるようにするのがポイントです。ティッシュを常備してこまめによだれを吐き出しましょう。
つわりの種類にあわせて対処しよう
つわりは人によって現れる症状がさまざまです。今回ご紹介した方法を試して、少しでも症状が軽くなるといいですね。
どのような症状でも日常生活に支障をきたす場合には、医師に相談すると、必要に応じて点滴をしてもらえたり、休暇が必要と診断書を書いてもらえたりします。
つわりがつらい時は、早めに医師に相談してくださいね。
※アンケート概要
実施期間:2016年12月23日~26日
調査対象:妊娠中につわりを経験した「こそだてハック」読者
有効回答数:183
収集方法:webアンケート
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也先生
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
【参考文献】
※1 メジカルビュー社『プリンシプル 産科婦人科学2 産科編』p.290