赤ちゃんが産まれてやっとお腹がすっきり元通りになると思ったら、妊娠中とさほど変わらず、お腹がぽっこりしたままで驚いたママも多いでしょう。産後にお腹がへこまないのはなぜなのでしょうか。
今回は、産後にお腹がぽっこりしている原因と4つの解消法をご紹介します。
産後のお腹は、なぜぽっこりしているの?
赤ちゃんが産まれてもお腹がぽっこりしたままなのは、いくつかの原因が考えられます。
子宮の大きさが元に戻っていない
妊娠すると、もともと鶏卵程度の大きさだった子宮は、臨月には約5倍の大きさに、赤ちゃんを除いた子宮の重さは、妊娠する前の15倍である約1kgになります(※1)。
大きくなった子宮は、産後約4〜8週間かけて徐々に戻ります(※2)。産後すぐにお腹がぽっこりしているのは自然なことですよ。
骨盤底筋の働きの低下
骨盤底筋とは、直腸や子宮、膀胱などを支える筋肉です。妊娠・出産の影響で骨盤底筋の働きが低下すると、臓器が全体的に下がってしまって下腹部がぽっこりしてしまうことも。
また、妊娠中におなかを支えようと反り腰の姿勢を長く続けると、骨盤底筋や腹筋が弱くなり、産後のお腹ぽっこりにつながりやすくなります。
脂肪がついている
妊娠中はホルモンの影響で、脂肪がつきやすい状態です。赤ちゃんのために蓄積されている脂肪ですが、妊娠中に過度に体重が増加していると、お腹がぽっこりして見える原因になります。
産後のお腹ぽっこりは自然なことですが、気になるようであれば次のような解消法に取り組んでみてくださいね。
産後のお腹ぽっこり解消法1. 産褥体操
産後すぐは悪露が出るなど体の調子が整っていません。無理なエクササイズは避けて、寝ながらでもできる産褥体操をするといいですよ。
産褥体操は、衰えた骨盤底筋や腹筋を鍛えるだけではなく、尿もれや子宮脱の予防をする効果もあります(※3)。
体調と相談しながら、産後2ヶ月程度まで続けるのがおすすめです。
腹筋エクササイズ
産婦人科の医師から運動の許可が出たら、体調を見ながら腹筋エクササイズを始めましょう。
仰向けに寝て両ひざを立て、両手をお腹に当てておへそを見る感じで上体をゆっくり起こし、その状態を5秒間キープするというエクササイズがおすすめです。このとき、しっかりと息を吐きながら行い、吐ききるまでやってくださいね。
もし腹筋をはじめてから、腹筋に強い痛みが出た、悪露が増えた・また出始めた、などの症状が起きたら、安静が必要です。無理せずに十分な休息をとるようにしましょう。
産後のお腹ぽっこり解消法2 摂取カロリーを把握する
1日に必要なエネルギー量は、年齢やどれだけ体を動かすかによって変わってきますが、産後に授乳をする場合、大体2,050〜2,700kcalほど必要になります(※4)。
自分に適したエネルギー量をしっかりと守って生活をすると、体重は自然に落ちてきますよ。育児で忙しい時期ですが、食事のカロリーをおおまかに計算して、1日の適切なエネルギー量を守れるようにするといいですね。
栄養バランスも考えながら食事が摂れると、更に痩せやすくなりますよ。
コツコツお腹ぽっこり対策を続けよう
残念ながら産後のお腹ぽっこりには、すぐに効く解消法はありません。衰えた筋肉を鍛える運動やバランスの取れた食事は地道に続けていく必要があります。
育児で忙しい毎日ですが、体調と相談しながらできる範囲でコツコツ取り組んでくださいね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』p.39
※2 日産婦誌59巻10号研修コーナー『分娩の生理・産褥の生理』
※3 メジカルビュー社『プリンシプル産科婦人科学 産科編 第3版』p.281
※3 厚生労働省『日本人の食事摂取基準 2020年版』