肥満で妊娠するとリスクがあるの?妊娠中の注意点は?

「自分は太っている」と感じている女性のなかには、妊娠や出産について不安を抱く人もいるかもしれません。「肥満だと妊娠しにくいの?」「肥満で妊娠するとリスクがあるの?」といった疑問を持つこともあるのではないでしょうか。

そこで今回は、肥満と妊娠について、不妊の原因になるのかやリスクや注意点、妊娠中に肥満にならないためのポイントをご紹介します。

そもそも肥満とは?

体重計 女性

一般的に「肥満」とは、体重が標準より多い、または体脂肪が蓄積している状態のことを指します。肥満かどうかを判断する指標の一つにBMI値があります。

BMI値の計測方法

BMIの計算式=体重<kg>÷(身長<m>×身長<m>)

たとえば、身長158cmで体重55kgの人のBMI値は、55÷(1.58×1.58)=22.0となります。

脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMI値が25.0以上だと、肥満とされています(※1)。

肥満だと妊娠しにくいの?不妊の原因になる?

標準体重の女性に比べて、肥満の女性は無排卵や月経異常になりやすく、こういった状態になってしまうと不妊につながる可能性があります(※2)。

また、不妊の原因となる病気に、肥満が関係している場合もあります。たとえば、排卵障害が起こる「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」は、ホルモンの関係で肥満になりやすいです。

排卵日付近に性交渉をしているのになかなか妊娠できないという人は、婦人科を受診してみてくださいね。

肥満で妊娠するとリスクがあるの?

妊娠前に肥満だった人が妊娠すると、妊娠中や出産時に下記のような合併症が起こるリスクが高くなります(※3)。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群とは、妊娠中に何らかの原因によって起こる高血圧のことです。

肥満をはじめ、40歳以上で妊娠した場合や、多胎妊娠、遺伝といったことが原因になると考えられています。

妊娠糖尿病

妊娠前は糖尿病と診断されていなかった人が、妊娠の影響で発症する糖代謝異常の一種です。

肥満だけでなく、家族に糖尿病の人がいる、35歳以上の出産、過去に巨大児を出産したことがある、といった人も妊娠糖尿病になりやすい傾向があります。

微弱陣痛

出産時の陣痛異常の一つです。子宮収縮が強くならない、陣痛と陣痛の間隔が長い、陣痛の継続時間が短いといったことが起こり、分娩が進まなくなります。

お産が長引き、母子に危険が及ぶと判断されたときは、吸引分娩や鉗子分娩、緊急帝王切開が行われることもあります。

妊娠してから肥満になることもあるの?原因は?

妊娠中は、赤ちゃんが大きくなるにつれて自然とママの体重も増えていきます。

しかし、過度に体重が増えると、ママの体にも赤ちゃんの発育にも悪い影響を与えてしまいます。

厚生労働省が推奨している妊娠中の体重増加の範囲は上の表のとおりです(※4)

適正な体重増加の範囲は、妊娠前のBMI値によります。

妊娠前に肥満と診断されていた人は、できるだけ体重増加を抑える必要があるので、医師や助産師の指導のもと、個別に体重増加量の目安を出してもらいましょう。

妊娠前は標準であった人でも、妊娠中に食べすぎや運動不足が続くと推奨体重増加量を大幅に超えてしまうので、生活習慣に気をつけてくださいね。

妊娠中に肥満にならないためのポイントは?

妊娠前に肥満と診断されていた人や、妊娠中に推奨体重増加量を大きく超えてしまいそうな人は、下記のポイントに注意しましょう。

食事内容を見直す

妊娠中は、妊娠前と比べて、妊娠13週6日までで+50kcal/日、妊娠14週0日から27週6日で+250kcal/日、妊娠28週0日以降で+450kcal/日を摂取することが推奨されています(※4)。

ただし、妊娠前に肥満だった人は、1日のカロリー摂取量が必要量よりオーバーしている可能性があります。まずは、医師や栄養士に相談して、妊娠前の体重と摂取カロリーをもとに、妊娠時期別に必要なカロリー量を指導してもらいましょう。

カロリーや脂肪分の摂取量に気をつけると同時に、栄養価の高い食材を取り入れて、バランスのとれた食事を心がけるようにしてくださいね。

適度に運動をする

妊娠中に軽い運動をして体を動かすことで、カロリーを消費して体重増加を抑えることができます。

安定期に入って医師の許可がおりたら、マタニティヨガやマタニティスイミングを始めるのもおすすめです。

ただし、お腹が張ったり気分が悪くなったりしたときは、すぐに中断して安静にしましょう。

体重を記録する

こまめに体重計に乗ることで、体重の変化への意識が高まります。

妊婦健診のときに体重測定をしますが、できれば週1回は体重を測ることで体重の増え方を把握しておくと良いでしょう。

もしも急な体重増加が気になる場合は、医師や助産師に相談してくださいね。

妊娠と肥満の関係を知って健康的な生活を送ろう

肥満を防止するためには、食事内容に気を配り、定期的に運動をすることがポイントです。生活習慣を見直すことで、体も心もリフレッシュして、健康的な生活を送れるといいですね。

監修医師:産婦人科医 藤東 淳也

産婦人科医 藤東淳也先生
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。


※1 メジカルビュー社『プリンシプル 産科婦人科学1 婦人科編』p.136
※2 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
※3 株式会社メディックメディア『病気がみえる Vol.10 産科 第4版』p.80,102-103,200,264,418
※4 日本産科婦人科学会『産婦人科診療ガイドライン産科編2020』
※5 厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくり」

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