子どもの口内環境を整える方法は?虫歯を防ぐ習慣や食生活とは?

子どもの歯を守るために、毎日の歯磨きやおやつ選びに苦労している人は多いですよね。口内環境を整えるためには、日頃の習慣も大きく影響しているのはご存知でしょうか。

そこで今回は、子どもの口内環境を整える方法として、虫歯を防ぐ習慣や食生活についてまとめました。

子どもの口内環境が良い状態とは?

赤ちゃん 口を開ける 会話 23757873_m

子どもの口内環境が良い状態とは、口の中に虫歯の餌となる食べかすが残らず、唾液をしっかりと分泌している状態です。

さらに、歯茎や歯列に問題がなく、顎の発達や噛み合わせなどが正常であることも含みます。

そもそも虫歯は、酸を作って歯を溶かす「虫歯菌(ミュータンス菌など)」と「酸に溶けやすい歯の性質」、虫歯菌のエサとなる「糖質」、糖質の摂取回数や時間などの好ましくない条件が重なって起こります。

常に歯をきれいにしておくことで、虫歯菌の増殖を防ぎ、唾液中に含まれるカルシウムが、溶けた歯の部分に沈着して再石灰化を促すため、虫歯の予防につながります(※1)

虫歯になると、子どもの成長に伴う顎の発達や歯並び、噛み合わせに悪影響を与える可能性があるので、しっかりと予防したいですね。

子どもの口内環境を整える方法は?

子どもの口内環境を整えるためには、普段の歯磨きはもちろん、以下のような生活習慣から虫歯ができにくい環境を作ることが重要です。

● 毎食後の歯磨きとフロスを習慣化する
● 食生活を整える
● 歯医者で定期健診や虫歯の予防処置をする

「食生活を整える」のなかには「食育」も関わります。

食育の目標である「生涯を通しておいしく食べる」ことは、厚生労働省と日本歯科医師会が推進している「8020運動」の「80歳まで20本以上歯を残す」という目的にも添っており、歯科の面から見ても食育は大切なものです(※2,3)。

子どもの健全な発育をサポートするためにも、まずは日常生活の習慣や食生活を見直すことで、ママやパパが口内環境を整えてあげましょう。

子どもの口内環境を整える習慣とは?

子供用歯磨き粉 ブリアン 歯ブラシ

子どもの口内環境を整えるためには、歯が生え始めたときからケアを習慣化することが大切です。

以下に、子どもの口内環境を整える主な習慣をご紹介します(※4,5)。

歯磨きとフロスの習慣をつける

舌の前歯(乳歯)が生え始め、離乳食が進んでいる状態であれば、食後に白湯やお茶で汚れを流しつつ、ガーゼ磨きから始めます。

慣れてきたら、赤ちゃん用の歯ブラシで歯をちょんちょんと歯に触れさせることからはじめて、慣らしていきましょう。

はじめは遊び感覚でかまいません。楽しんで行うことが大切です。

上下の前歯が生え揃ったら、赤ちゃん用の歯ブラシを使って、1本5秒を目安として歯と歯の隙間を重点的に磨きます(※6)。

慣れるまでは、子どもの機嫌が良い時間帯やママ・パパの余裕があるときに行い、慣れてきたら毎食後に行いましょう。

寝ているときは唾液が少なくなるので、虫歯菌が繁殖しやすくなります。寝る前には必ず仕上げ磨きを行ってくださいね。

歯と歯の間は歯ブラシでは清掃しにくいエリアなので、この頃から子ども用のデンタルフロスを習慣化していきましょう。

定期健診へ行く

乳歯の虫歯は永久歯とは異なり、生え際に白い線のようなものができるのが特徴です。黒くならない分、ママやパパが仕上げ磨きをしていても気づかないことも多いです。

また、永久歯が生え始めるときによくあるのが、乳歯列の一番奥に生える「第一大臼歯(6歳臼歯)」の虫歯です。

生えたての永久歯は虫歯になりやすいです。生えきるのに1年程かかり、その間に歯茎や歯の隙間に汚れが溜まりやすいのですが、奥歯なので、初期の虫歯に気づきにくいのです。

自治体や学校などで行っている定期検診や、自主的に歯医者を受診して、早い時期に虫歯やトラブルを発見できるようにしましょう。

虫歯の予防処置をする

普段のケアに加え、歯医者でフッ化物を塗布してもらうなど、虫歯の予防処置も効果的です。

フッ化物は歯を硬くする効果があり、乳歯・永久歯が生えた直後に塗るのが最も効果的とされています(※6)。

歯医者で塗布してもらうほか、フッ化物を含む歯磨剤を使うのもおすすめですよ。スプレーやジェルタイプなら、うがいができない時期からでも使うことができます。

子どもの口内環境が整う食生活とは?

子どもの口内環境を整える食生活は、顎の発達を促すものをはじめ、歯に健康を維持できる食べもの、食べ方を意識しましょう。

以下に、口内環境を整える食生活についてまとめました(※4,7)。

よく噛んで食べる

噛む回数が多いほど、唾液を分泌するようになります。唾液に含まれるカルシウムによって再石灰化が促されるので、しっかりと噛んで食べる習慣をつけましょう。

また、離乳食が終わり、幼児食に入って奥歯でしっかりとものが噛めるようになってからは、少しずつ噛みごたえのあるものも取り入れてみてください。

噛みごたえのあるもので歯の表面についた汚れを取りつつ、顎の発達も促せますよ。

食べる時間を決めてメリハリをつける

離乳食の時期から、食事の時間はある程度決めましょう。いつまでも続けて食べていると、歯に汚れが付着したままになり、虫歯ができやすい状態が続きます。

特に、夜中は唾液の量が減少して虫歯になりやすいため、寝る直前の食事や間食は控えるようにしてください。どうしても欲しがるときは、白湯やお茶にして、夕飯の量を調節するなど工夫しましょう。

おやつは甘味を控える

「おやつ=甘いもの」のような概念が根強いイメージがありますが、幼児期は補食として朝・昼・夜の3回食で補えない栄養素を捕食(おやつ)で摂取するためにあります。

ジュースや糖分の多いお菓子では成長期に必要な栄養素をまかなえないため、特に成長期に必要なタンパク質を含むおやつをおすすめします。

<おすすめのおやつ>

魚またはひき肉を使用してチャーハンおにぎりにする、納豆ご飯、しらすおにぎり、ゆで卵、焼き鳥、卵を使用したマフィンやホットケーキなど。

飴やガムが食べられる年齢であっても、口の中に糖分を含んでいる状態が続くため、控えたほうがいいでしょう。

また、飴やガムだとお腹が満たされず追加でおやつを食べることになるためダラダラ食べにもなりかねません。

おやつ(捕食)の選び方を変えるだけで虫歯予防だけではなくお子さんの成長発育をサポートすることもできます。

食後に水分を摂るようにする

食事やおやつを食べるときに水分を一緒に摂ることで、口の中に残った食べカスを洗い流すことができます。

特に、自分で歯磨きができない、歯磨きに慣れていない乳幼児に効果的。水分を与えるときは、食べものを流し込まないよう、口の中のものが食べ終わってからにしてください。

栄養はバランスよく摂る

バランスの良い食事は、歯のエナメル質や象牙質の土台作りに重要です。カルシウムの代謝や歯の石灰化を促す効果もあるので、食事からさまざまな栄養素を摂るようにしましょう。以下の栄養素は意識的に食事に取り入れてみてください。

● カルシウム…ひじき、チーズ、しらす
● リン…米、牛豚肉、卵
● タンパク質…、卵、豚肉、鶏肉、牛肉、納豆、魚
● ビタミンA…レバー、ほうれんそう
● ビタミンC…キウイ、バナナ、パイナップル、みかん、パプリカ
● ビタミンD…バター、卵黄、干し椎茸

子どもの口内環境を整えるには生活習慣が大切

口内環境は一朝一夕で整うわけではなく、日々の生活習慣や食生活によって変わってきます。

子どものお世話は、歯以外にも気を配ることがたくさんあって大変ですが、毎日少しずつでもいいので実践していけるといいですね。

監修医師:歯科医師 石川 宗理

歯科医師 石川 宗理先生
千葉センシティ矯正歯科院長。北原学院千葉歯科衛生士専門学校非常勤講師。歯学部卒業後、矯正専門のドクターとして、多数の歯科医院、医療法人でさまざまな患者と向き合う。2022年6月、千葉市で自身の医院である千葉センシティ矯正歯科を開業。矯正治療を通じてすてきな笑顔と、健康に協力できることを心より願っている。
2020.2021年度インビザライン プラチナエリートプロバイダー
2021.2022年度インビザライン ダイヤモンドプロバイダー
2022.2023年度インビザライン ブラックダイアモンドプロバイダー

※1 厚生労働省「むし歯の特徴・原因・進行」
※2 日本小児歯科学会『「食育」推進についての日本小児歯科学会からの提言』
※3 日本歯科医師会 『8020運動』
※4 医歯薬出版『乳幼児の口と歯の健診ガイド 第二版』p.52-63
※5 日本小児歯科学会「こどもたちの口と歯の質問箱」
※6 日本小児歯科学会「こどもたちの口と歯の質問箱 産まれてから2歳頃まで」
※7 日本歯科医師会「むし歯の予防」

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