ファーストシューズとは、赤ちゃんが外で歩くために履く初めての靴のこと。赤ちゃんが歩き出しそうになると、ファーストシューズを用意しようかな?と考えるママは多いのではないでしょうか。
そこで今回は、靴の専門家である上級シューフィッターの寺杣さんに、ファーストシューズの選び方や注意点、足のサイズの測り方、用意する時期とサイズアップの目安について教えてもらいました!
赤ちゃんのファーストシューズはいつから必要なの?
赤ちゃんが1、2歩ほど歩けるようになったら、ファーストシューズが必要なのかな?と思うママは多いかもしれません。
しかし赤ちゃんにとって、靴を履いて歩くのは難しいこと。少し歩けるようになっても、いざ靴を履いてみると歩けない、ということもあります。
赤ちゃんは最初、膝や足のつま先を持ち上げる筋力が弱く、足をするように歩くので、靴を履くと足が持ち上がらなくなってしまい、うまく歩けません。
ですので、ファーストシューズは赤ちゃんが室内で20歩ほど歩けるようになったら用意しましょう。
その頃になると、赤ちゃんは少しずつ膝を持ち上げて歩くようになるので、ファーストシューズを履いても歩けるようになりますよ。
ファーストシューズの選び方で大切なことは?
赤ちゃんのファーストシューズは、どのように選べば良いのでしょうか?
ninaru babyでママたちにアンケート(※)をとったところ、形やデザイン、履かせやすさなど、ママ目線でファーストシューズを選んでいる人が多くいました。
しかし寺杣さん曰く、ファーストシューズを選ぶときは「赤ちゃんの足のサイズに合っているかどうか」が1番大切だそう。
赤ちゃんの足に合わない靴を履いていると、足の成長を妨げたり、足のトラブルにつながったりします。
赤ちゃんの足に合ったファーストシューズを選ぶことで、赤ちゃんの足の成長をサポートしましょう。
赤ちゃんの足のサイズに合った靴を選ぶためには、まず赤ちゃんの足の特徴を知ることが大切です。
ここからは、大人の足と赤ちゃんの足の違いをご説明します。
1. 赤ちゃんの足はやわらかい!
大人の足には、この写真の左の模型のように、アーチ(土踏まず)があります。座っていても立っていても、このアーチは潰れません。
しかし、赤ちゃんの足の骨の連結はまだ柔らかいため、座っているときには土踏まずがあるのに、立って足に体重がかかると、写真の右の模型のように足のアーチは隠れてしまうのです。
赤ちゃんの足はそれだけ柔らかく、外からの影響も受けやすいので、ファーストシューズを選ぶときに注意する必要があります。
2. 赤ちゃんの足の裏は不安定
大人は、体を支えるだけの足の筋肉があり、足のサイズも大きいため、足の幅が狭くても全身のバランスを取ることができます。
しかし、赤ちゃんの足の筋肉はまだ発達途中。皮下脂肪が多くポテッとした足の裏は、全身の体重を支えるにはとても不安定です。
大人は、かかと・親指の付け根・小指の付け根の3点で全身のバランスを取りますが、赤ちゃんは足の指をしっかり使って踏ん張ることで、足裏全体を使ってどうにか立っているのです。
そのため、足の形が合わない靴を履くと、足裏のバランスが不安定になり、赤ちゃんは正しい歩き方ができなくなってしまうので、足に合ったファーストシューズを選ぶことが大切です。
赤ちゃんの足に合ったサイズのファーストシューズの選び方!
では、「赤ちゃんの足に合ったサイズのファーストシューズ」は、どのように選べばいいのでしょうか?
ここからは、ファーストシューズの選び方を、順を追って解説していきます!
STEP1:足のサイズを測る
まずは、赤ちゃんの足のサイズを測りましょう。
①A4サイズの紙を用意する
②紙の横半分の位置に定規でまっすぐ線を引く
③引いた線が壁に対して垂直になるように紙を置く。このとき、紙を壁にぴったり合わせる。
④赤ちゃんのかかとを壁にぴったりつけて、紙の上に足を乗せる。このとき、引いた線の上に、かかとの中心と人差し指を合わせる。
⑤赤ちゃんの足の1番長い指の先に合わせて、壁と平行に線を引く
⑥紙の端から⑤までの長さを測る
先述のように、赤ちゃんの足の骨はやわらかいため、座った状態と立った状態では足のサイズが1cmも違うことがあります。
そのため、必ず赤ちゃんが立った状態で足のサイズを測りましょう。
また、左右で足のサイズが異なることもあるので、両方の足のサイズを測ることを忘れずに。左右でサイズが異なる場合は、基本的に大きい方に合わせて靴を選んでくださいね。
赤ちゃんは足の指をきゅっと縮めがち。足のサイズを測るときは、赤ちゃんの足の指を完全に伸ばして測ってくださいね。
STEP2:靴底をチェックする
赤ちゃんの足のサイズが分かったら、次は靴底の曲がり方をチェックします。
人は歩くとき、かかとから着地し、親指の付け根のあたりを曲げて蹴り出します。
赤ちゃんが歩くときにしっかり蹴り出せるように、足の指の付け根のあたりが曲がる靴を選びましょう。
靴底が曲がる位置は、写真の上の靴のようにつま先から3分の1あたりが目安です。
靴底が真ん中で曲がってしまう靴や、靴底が全く曲がらない靴は、ファーストシューズとしてお勧めできません。
STEP3:中敷の上に赤ちゃんの足を乗せる
実際の靴のサイズは、表示のサイズより大きかったり、ぴったりだったりと、実はメーカーによって異なります。
そのため、サイズ表示だけを見て決めてしまうと、靴が赤ちゃんの足に合わないことも。
靴のサイズが足に合っているかどうかは、靴の中敷の上に足を乗せると分かりやすいですよ。
このとき、つま先から1cm程度余裕があるか、足幅がぴったりすぎないかどうかを確認しましょう。
ただし、靴から中敷を出す前に、必ず店員さんに確認をすることを忘れないでくださいね。
赤ちゃんの足はすぐ大きくなるからといって、大きめのサイズを買うのはやめましょう!サイズが大きすぎると、靴の中で足が動いてしまい、足の関節に負担がかかってしまいます。
STEP4:靴のきつさをチェックする
サイズの合う靴が決まったら、最後は靴を履いたときのきつさをチェックしましょう。
足のサイズが合っていても、足の厚みや幅が合っていないと、靴の中で赤ちゃんの足が動いてしまい、うまく踏ん張ることができません。
靴のきつさは、必ず正しく靴を履いた状態で確認してください。
①靴に赤ちゃんの足を入れ、かかとをトントンする
②足のかかとと靴のかかとをぴったり密着させたまま(=つま先をあげたまま)靴のベルトをしめる
靴を履いてみて、甲の部分がブカブカしていたり、歩いてみてかかとが抜けてしまったりする場合は、その靴は赤ちゃんの足に合っていません。他の靴をチェックしてみましょう。
立つと足に体重がかかるので、靴を履くときよりも足の厚みは薄くなります。
ベルトをゆるく締めると、立ったときにさらにゆるくなってフィット感が分からないので、ベルトはぴったり目に締めましょう。
ファーストシューズを選ぶときは、サイズ以外にこの2つもチェックしてみよう!
ファーストシューズは、赤ちゃんの足に合っていることが1番大切ですが、他にも気にした方が良いポイントを寺杣さんに聞いてみました。
靴の形はハイカットがおすすめ
寺杣さんがファーストシューズとしておすすめするのは、ハイカットの靴です。
かかと〜足首の関節がしっかり固まるのは、なんと10〜12歳。足の骨と同じように、赤ちゃんの足首周りの関節はとても柔らかいのです。
かかと〜足首の部分は、体を支えるための土台となるところなので、赤ちゃんの靴は足首周りをしっかり固定してあげることが大切だそうです。
もともと足首の関節がゆるいお子さんは、写真の左の模型のように、足首周りを固定しないと、歩いたときに足首が内側に倒れやすくなります。
ローカットの靴は足首の可動域が広いので運動には向いていますが、私としては、ハイカットの靴をおすすめします。
靴の素材は通気性が良いものを
ファーストシューズは、通気性が良い素材のものがおすすめ。
赤ちゃんは新陳代謝がよく、汗っかきなので、通気性が良い素材の方が衛生的ですよ。
ちなみに、革の靴は通気性がよく、足に馴染みやすいのが特徴です。足馴染みが良いと歩きやすいので、シューフィッターとしてはおすすめです。
ファーストシューズはいつまで履ける?サイズアップの目安は?
赤ちゃんの足はどんどん大きくなります。ファーストシューズが履けるのは、大体2〜3ヶ月くらいです。
サイズアップをする目安は、中敷の上に足を乗せてみて、つま先の余裕が5mmくらいになった頃。
もうすぐ親指と小指が靴に当たるようになるので、ファーストシューズを卒業してセカンドシューズを用意しましょう。
赤ちゃんの足は柔らかいので、靴がどんなにきつくても、痛みがなく履けてしまいます。サイズの小さな靴は足の成長の妨げになるので、定期的に靴のサイズがあっているかどうかをチェックしてくださいね。
赤ちゃんのファーストシューズは足に合ったサイズのものを選ぼう!
赤ちゃんの足に合っていないサイズの靴を履いていると、外反母趾や内反小趾、扁平足といった足のトラブルだけでなく、膝や腰にも影響が及ぶこともあります。
将来の足のトラブルを防ぐためにも、赤ちゃんの足に合ったサイズのファーストシューズを選んで、赤ちゃんの足の発達をサポートしてあげましょう。
寺杣さん曰く、もし靴選びに不安がある場合は、幼児こども専門シューフィッターのいるお店に行くと安心して任せられるそうです。FHA(足と靴と健康協議会)のホームページでシューフィッターのいるお店を検索することができますよ。
お気に入りのデザインで、赤ちゃんの足に合っているファーストシューズが見つかるといいですね。
※1 アンケート概要
実施期間:2018年11月22日〜11月24日
調査対象:生後7ヶ月〜2歳の赤ちゃんをもつママ
有効回答数:98件
収集方法:webアンケート
取材協力:上級シューフィッター 寺杣敦行さん
FHA(足と靴と健康協議会)認定 上級シューフィッター、幼児子ども専門シューフィッター。かかりつけ医のように長期間にわたって足の健康に関すること全般をサポートしていく完全予約制の子どもの革靴専門店『ジェンティーレ東京』代表。