【育児ストレスで限界のママへ】子育てが苦にならない心のキープ術

育児をしていると、幸せな瞬間もたくさんありますが、悲しい気持ちになってしまう瞬間もたくさんあります。

特に育児に一生懸命なママほど頑張り過ぎて、いつのまにかストレスを溜めてしまいがち…。育児ストレスによって、「子育てが苦しい」と感じてしまうのは、ママにとってもつらいことですよね。

今回はそんなママの力になれるよう、育児ストレスに負けない心のキープ術を臨床心理士の佐藤文昭先生に伺いました。

育児ストレスに苦しむママはたくさんいる

育児中のストレスに関してninaru babyでアンケート(※)を実施したところ、なんと831人ものママが悩める胸の内を明かしてくれました。

育児中に感じるストレス要因で、特にママの声が多かったのは以下の6つです。

ママを悩ませる育児ストレスの要因

順位 ストレスの要因 割合
1位 1人の時間が持てない 52%
2位 夫や家族に不用意な言葉を言われる 51%
3位 夫が育児、家事を手伝ってくれない 46%
4位 子どもを叱りすぎてしまう 36%
5位 家事との両立が上手くいかない 34%
5位 満足に眠れない 34%

※複数回答

ninaru babyでは、これらを「育児のストレス要因」と認定!

育児中のストレスで、今にも押しつぶされそうになりながら、1人で闘っているママたち。

今回はそんなママたちの負担が軽くなるように、臨床心理士である佐藤先生に育児ストレスの悩みに対してアドバイスをいただきました。

【1位】1人の時間が持てない

育児中のストレス要因として、一番多くのママから声が挙がったのが、「1人の時間が持てない」という悩み。

育児をしていると子どもにかかりっきりになってしまうことが多く、自分だけの時間なんて夢のまた夢…。育児中のママなら、一度は「1人になりたい」って思う瞬間はあるかもしれません。

1人になれないストレスを解消したい

1人の時間がもてないことが大きなストレスです。夫は仕事が大変だと思うけれど「1人で行動できて羨ましい」「たまには1人にさせてよ…」とイライラしてしまいます。

1人になれないストレスでつらいときの、イライラの解消法を知りたいです。(みっつんさん)

育児のストレス・悩みを誰かと共有して

【佐藤先生】
1人の時間が持てずイライラしてしまう感情は、小さい子どもを育てている多くのママが抱いています。

今のつらさは、子どもの望みをしっかりと叶えているという証拠

ただ、1人になれずにイライラする気持ちを、「そんなママじゃいけない」と排除しようとすると逆効果です。

イライラする自分やつらい気持ちに目を向け、「私、今イライラしている」と気持ちを言葉にして外に出してあげましょう。子どもに浴びせないように配慮すれば、独り言としてつぶやいても大丈夫ですよ。

そして、できるなら、子育てのストレスや悩みを誰かと共有しましょう。人に聞いてもらったり、先輩ママの体験を聞くことで、具体的なストレス対策を見つけられるかもしれません。

【2位】夫や家族に不用意な言葉を言われる

夫や義母は、良かれと思って言ってくれているのかもしれないけれど、「カチンときてしまう」「ついイライラしてしまう…」。そんな経験ありませんか?

スルーしようと思っても、育児で疲れていると「今、それ言わなくても良いでしょ!」と腹が立ってしまうことも。

夫や義母のひと言が気になってストレスに

相手に悪気がないと分かっていても、夫や義母の言葉のひと言ひと言になぜか過敏に反応してしまい、ストレスを感じてしまいます。気にならなくなる良い方法はありますか?(うきぽさん)

自分にとって何が大切かを見極めよう

【佐藤先生】
子育て中はどうしても周りの意見に過敏に反応してしまいます。子育てには不安がつきものなので、おかしなことではありませんよ。

しかし、些細な一言にも強いストレスを感じているとしたら、あなたは「良い母親でなければならない」と強く思っているのかもしれませんね。

良い母親を目指すのは悪いことではありませんが、夫や義母にとっての「よくできた母親(妻)」を目指しているのでしょうか?もし違うなら、一度育児に対する自分の気持ちを整理してみると良いかもしれません。

自分が何を大事にして、何を手放すかが見極められるようになると、周りの声は気にならなくなってくると思いますよ。

【3位】夫が育児、家事を手伝ってくれない

子どもがすぐそばで泣いているのに、育児疲れでクタクタのママが困っているのに、夫は見て見ぬフリ…。

ストレスも限界だと、「スマホを見たり、ゲームしたりする暇があるなら手伝ってよ!」と声を荒げてしまうママも少なくありません。

父親の自覚がない夫にイライラ

休みの日は、ソファで寝転がってスマホをいじってばかり…。すぐそばで子どもが棚に登ってしまっても、気付かない。そんな夫に注意するのもイライラ。

夫には、父親としての自覚を持って自ら手伝うようになって欲しいのですが、どう伝えれば良いか分かりません…。(そうママさん)

イライラの奥の素直な気持ちを伝えて

【佐藤先生】
旦那さんが何もせず、何も気付かず、その自覚もないのでは、あなたがイライラするのも理解できます。「もっと手伝って欲しい」と思う気持ちは当然です。これまで、1人でよく頑張ってきましたね。

こういうとき、旦那さんに一番伝わるのは、あなたの素直な気持ちです。「1人では寂しい」、「困っているから頼りたい」、「一緒に子育てを楽しみたい」など、思っていることを素直に伝えることが大切です。

イライラや怒りは、実は二次感情。その奥に隠れている本当の感情を見つけてください。旦那さんに素直な気持ちを言えること、困ったとき旦那さんを頼れることは、「あなたがあなたを大切にすること」にも繋がります。

子育ては息の長いマラソンのようなもの。ママが1人でガマンせずに、自分を大切にしながら、家族みんなで乗り切っていきましょう。

【4位】子どもを叱りすぎてしまう

育児ストレスが溜まってつい子どもを叱りすぎてしまい、あとで後悔した経験のあるママも多いと思います。

「子どもを深く傷付けてしまったんじゃないか…」「なんて悪い母親だろう…」と、ママが自分自身を責めてしまうのは、とてもつらい状況ですよね。

叱りすぎて自己嫌悪に陥ってしまう

初めは大目に見ていても、こっちの反応を見ながらわざとイタズラをされると、つい感情的になって子どもを叱り過ぎてしまいます。

子どもが泣いた瞬間、「しまった…またやってしまった」と叱り過ぎたことで自己嫌悪に陥るのがつらいです。上手な対処法はありますか?(もっちさん)

「ほど良い母親」でいることがポイント

【佐藤先生】
子育てをしていると、つい感情的になって声を荒げたり、叱りすぎてしまったりして、後で自己嫌悪に陥るということはよくあります。あなただけではありませんよ。

ママだって感情があるので、機嫌が悪くなったり、イライラしたりするのは当然のこと。それを「良くないことだから怒らないようにしよう」とするのは実は逆効果。

「私だって人間だから、怒ることだってある」「でもちょっと怒りすぎちゃったな。後でフォローしよう」くらいの「ほど良い母親」でいられると、ママも子どもも気がラクだと思います。

子どもがわざとイタズラしたり、ママを困らせるようなことをするのは、「かまって欲しい」のサインです。子どもの気持ちを汲めるようになると、ママの対応も自然と変わってくると思いますよ。

【5位】家事との両立が上手くいかない

育児中はとにかく予想外のことを子どもに連発されるので、計画通りにいかないのが当たり前。

子どものお世話をしながらだと、集中して家事をする時間もなかなか取れません。簡単には両立できないのが現実です。

楽観的に家事をこなす方法が知りたい

自分のペースを乱されるのがもともと嫌な性格なので、子どもに予想外のことをされると、計画的に進まないことでストレスが溜まってしまいます。

もっと楽観的に家事をこなす、育児と両立させる良い方法はありますか?(ちゃむさん)

できない自分を受け入れてみよう

【佐藤先生】
子育ては、思うようにいかないことの連続。今までとは勝手が違い、戸惑っているのかもしれませんね。

乳幼児期の子育ての目標の一つは、「ママ自身が、できない自分を受け入れる」ことだと思います。子育てにおいては、今までとは違い、できることよりもできないことの方がはるかに多いのです。

他のママは、楽しそうに家事と育児を両立しているように見えるかもしれません。ですが、そんなことはなく、どこの家庭も一日一日が精一杯。必死で子育てをしています。

なりふりかまわず、必死に子どもと向き合うのが子育ての本来の姿です。その点では、あなたが今やっていることは間違ってはいません。

自分のペースを乱されながらも、必死で育児に取り組んでいる。あなたはそのままの姿で十分に立派なママだと思いますよ。

【5位】満足に眠れない

子どもの夜泣きで眠れない日が続くと、さすがに体力も限界に…。体に余裕がないと、心の面でもゆとりを持つことは難しいですよね。

体力の限界…気持ちだけでも楽になりたい

子どもが夜泣きや早朝に目を覚まして泣くので眠れず、体力が持ちません。気持ちの面だけでも少し楽になりたいのですが、やはり成長を待つしか解決策はないのでしょうか。(ははーてんかさん)

常識にとらわれず、あなたのペースで進もう

【佐藤先生】
自分の体力を削ってまでも子どもの望みを叶えている、とても努力家のお母さんだと思います。

誰でも睡眠が不足してくると、体も心も元気が出なくなります。気持ちも沈みがちになり、できない自分を責めたりとネガティブ思考になりかねません。

そんなときは「ほど良い母親」を意識して、やらなきゃと思っていたこと(仕事・家事)や、上手くできなかったことにこだわらず、「ま、いっか」と一度手放してみると気持ちがラクになるかもしれません。

子育て中の「こうしなきゃ、ああでなきゃ」という常識を手放し、あなたのペースであなたたち親子に合ったやり方を探してみると良いかもしれませんよ。

子どもが小さいうちは、やはりママとの関係が一番大事になってきます。だからと言って、ママが1人で無理をして倒れてしまっては本末転倒。

限界になる前にパパや周囲の人を素直に頼って、少しでも睡眠時間が確保できるように協力を仰ぐことも大切です。

育児ストレスを抱えているママへメッセージ

最後に、育児ストレスを抱えているママに向けて、佐藤先生から応援メッセージをいただきました。

【佐藤先生】
わが子とは言え、自分以外の人のために自分の体力・気力・時間を削ってまで頑張ることができているママは、それだけで、「人を大切に思える力」がしっかりと備わっている人だと思います。

「人を大切に思える力」は、人が幸せになるための指標となる能力なので、子どもにもぜひ育んであげてください。

そのためには、まずママが1人で我慢せず、素直に気持ちを表現し、人に頼る姿をたくさん子どもに見せてあげることが重要です。そうすると、素直に人を頼ることができ、1人で悩みを抱えない、自分を大切にできる子どもに育ちますよ。

「ママは自分を大切にしているよ、だからあなたも自分を大切にしてね」とたくさん声をかけてあげられるよう、自分を大切にしながら日々の子育てに臨んで欲しいと思います。応援しています!

育児ストレスで苦しむママは1人じゃない

今回、多くのママが悩みの声を寄せてくれたように、育児ストレスで悩むママはあなた1人だけではありません。

それに、ストレスが溜まって感情的になるのは、ママが一生懸命頑張っている証拠。

育児中にストレスを感じた自分自身を責めるのではなく、素直に受け止め、前向きな力に変えられるママでありたいですね。

取材協力:臨床心理士 佐藤文昭先生

佐藤文昭
おやこ心理相談室 室長。カリフォルニア臨床心理大学院臨床心理学研究科 臨床心理学専攻修士課程修了。米国臨床心理学修士(M.A in Clinical Psychology)。精神科病院・心療内科クリニックの医療現場や群馬県スクールカウンセラーの教育現場での臨床経験を生かし、幼児・児童、思春期から成人に至るまで幅広い問題を扱っています。精神分析的心理療法を中心として、心理検査、知能検査なども実施。また、個人だけではなく、家族というより広い視野を持って取り組んでいます。

※アンケート概要
実施期間:2019年2月24日~2019年2月25日
調査対象:「ninaru baby」を利用しているママ
有効回答数:831件
収集方法:Webアンケート

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