【人には聞けない産後の生理】産後は生理痛が重くなった!原因と対策は?

「産後は生理痛が軽くなる」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

一般的にそのように言われることもありますが、「産後は生理痛が重くなり、その痛みに悩まされている」というママも少なくありません。

そこで今回は、産後は生理痛が重くなる原因と対策について、先輩ママの体験談と専門家の解説を交えてご紹介します。

6割の人は産後、生理痛が軽くならなかった

産後 生理痛 グラフ

「産後は生理痛が軽くなる」と一般的には言われていますが、実際はどうなのか、生理が再開しているママにアンケートを実施(※)。

すると、予想に反して約6割のママは「生理痛は軽くならなかった」と回答。そのうち約30%のママは、「産後、生理痛が重くなった」と回答していました。

妊娠前、生理痛に悩まされていたママからは、「軽くなると聞いていたのに…」と落胆の声も寄せられました。

産後の生理痛は、育児の疲労が影響する?

生理痛 腹痛

「産後は生理痛が重くなった」と回答したママに、痛みや不調について教えてもらいました。

もともと生理痛は重めでしたが、産後は生理痛がさらに重くなりました。

育児をしていると自分のペースで休めないので、疲れとストレスがたまっていることが痛みが重くなった原因かな?と思います。生理が久しぶりなので、痛みを余計に強く感じているのかもしれません。(フルーツママさん)

妊娠前は生理痛はほとんどなかったのですが、産後は生理痛がとても重いです…。

育休中で外出する機会も少なく、体を動かしていないことが影響しているのかな?と思います。(よしみえママさん)

生理痛はあまり変わらなかったのですが、排卵痛が出るようになったのと、PMSが重くなりました

PMSがひどいと起き上がれないこともあり、仕事を休んでしまうことも。慣れない育児で体力が落ちていることも影響しているかもしれません。(ゆきママさん)

出産による子宮や骨盤へのダメージだけでなく、育児での疲れやストレス、産後の運動不足などで生理痛が重くなったとママ達は考えているようです。

出産による体のダメージ、育児による疲労やストレスは、妊娠中からある程度の予想はつきますよね。それではなぜ、「産後は生理痛が軽くなる」と考えられているのでしょうか。

産後に生理痛が重くなる理由とは?

助産師で看護師の河井さんに、産後は生理が軽くなると考えられている理由、逆に、産後は生理痛が重くなってしまう原因について教えてもらいました。

産後、生理痛が軽くなるとされている理由

【河井さん】
出産で子宮頚管が広くなるためです

生理痛は、経血を排出しようとして子宮が収縮するときの痛み、経血が子宮頚管を通るときに生じる痛みと考えられています。

出産をするときに子宮頚管が広がるため、出産後は経血が子宮頚管を通りやすくなります。そのため、生理痛が軽くなると考えられているようです。

産後、生理痛が重くなる原因は?

【河井さん】
疲れやストレス、ホルモンが影響しています

産後、ホルモンバランスの変化によって、生理痛を引き起こす「プロスタグランディン」という物質(※1)が増加するため、生理痛がひどくなることがあると考えられています。

また、赤ちゃんのお世話で睡眠不足が続いたり、体をゆっくり休めなかったりして、産後のママは体調を崩しやすい状態が続きます。慣れない育児でストレスが溜まっている人も多いでしょう。

体調がすぐれなかったり、ストレスが溜まっていると痛みに過敏になり、生理痛を強く感じることがあります。

産後、生理痛に悩まされているママは、必要以上に無理をしてしまっているのかもしれません。痛みは体からのSOSだと思って、体をいたわってくださいね。

次の章では、産後の生理痛の対処法とその効果についてご紹介します。

産後の生理痛、対処法とその効果は?

産後の生理痛 対処法

赤ちゃんへの影響を考えて鎮痛剤を飲むのを控えたり、ケアをしたくてもその時間が取れない人もいるようです。

多くのママが取っている対処法について、河井さんからアドバイスをいただきました。

① 体を温める

妊娠前も生理痛はありましたが、産後の生理痛はかなり重いです…。対処法は基本的に体を温める程度で、腰にカイロを貼ることが多いです。(れもんママさん)

【河井さん】
気持ちよいと思う場所を温めましょう

体を温めると生理痛がやわらぐ人が多いですね。痛む場所や、温めて気持ちいいと感じる場所をカイロなどで温めるといいでしょう。夏は冷房で体が冷えやすいので、冷え対策もしてくださいね。

② 鎮痛剤を飲む

痛みがあまりにひどいので、産婦人科で処方してもらった痛み止めを飲んでいます。母乳育児をしているので、市販薬を飲むのは抵抗があります。(あにゃママさん)

【河井さん】
授乳中でも飲める薬はありますよ

多くのママが、「授乳中は薬を飲んではいけない」と考えてしまうようです。授乳中でも飲める薬はありますし、体がつらいときは早めに対処することが大切です。

「アセトアミノフェン」という成分は母乳に移行する量が少なく、授乳中でも使用できるとされています(※2)。『カロナール』『タイレノール』という商品名で販売されています。

『カロナール』は産院に置いてあり、入院中に処方されることが多い薬です。産院で飲んだことがある身近な薬だと、ママも飲みやすいかもしれませんね。

『イブA錠』に含まれる「イブプロフェン」も、母乳を介して赤ちゃんが摂取する量はごくわずか(※2)。用量・用法を守っていれば、授乳中に飲んでも大きな問題はないでしょう。

赤ちゃんのお世話を優先し、自分の体のケアを後回しにしてしまうママも少なくありません。自分の体をいたわることも、子育ての上で大切なことですよ。

③ 横になって休む

育児の疲れが、生理痛の痛みを強くしている気がします。痛みが強いときは、なるべく安静にするようにしています。(アサコママさん)

【河井さん】
日頃から休息を心がけましょう

産後は赤ちゃんのお世話で睡眠不足が続いたり、ゆっくり休めないことが多いと思います。体調がすぐれないと痛みが増すので、日頃から体を休めるようにしてくださいね。

④ ガマンする

母乳で子供を育てているのに、早々に生理が再開してしまいました。薬を飲むのは抵抗があり、痛みが強くてもガマンしています。(のんのんママさん)

【河井さん】
痛みは大きなストレスになります

生理痛をガマンして赤ちゃんのお世話をするのはつらいですよね。痛みはかなりのストレスになるので、余裕を持ったお世話や、正しい判断ができない可能性もあります。

産後は寝不足や慣れない育児でストレスがかかりやすくなるので、余計なストレスは避けてほしいと思います。痛みが強いときは、鎮痛剤の力を借りることも考えてくださいね。

⑤ 骨盤の矯正をする

骨盤を矯正するストレッチはしていますが、今のところ生理痛はあまり軽くなっていません…。そのうち効果が出るといいなと思っています。(ぞのママさん)

【河井さん】
科学的な根拠はわかっていません

骨盤を矯正して生理痛が和らいだという話はよく聞きますが、じつは、科学的な根拠が示された報告はありません。

骨盤矯正の整体に行ったり、骨盤矯正ベルトを使ったりすると、骨盤周辺の筋肉の緊張がほぐされたり、姿勢がよくなって血行が促進されたりすると考えられます。すると、体調がよくなり、生理痛が緩和されたと感じるのかもしれません。

骨盤矯正をしたからといって、必ずしも生理痛が緩和されるわけではありません。ですが、骨盤を矯正をすることで、生理痛が軽くなったと感じるママがいることも確かですね。

⑥ 適度な運動をする

妊娠前は生理痛が軽かったのに、産後は重くなりました。運動不足が痛みの原因だと思い、適度な運動をしたり体を温めたりして、血行をよくするようにしています。(さっくんママさん)

【河井さん】
経血が出やすくなりますね

血流が悪くなると子宮の筋肉が硬くなる可能性があるので、経血を押し出すのにより強い力が必要になります。すると、生理痛がひどくなることがあります。

また、骨盤内の血流が悪くなると経血がスムーズに流れなくなり、強い痛みを感じることも。

適度な運動をして血流をよくすると経血が流れやすくなり、痛みが軽くなります。

産後の生理痛、受診の目安は?

赤ちゃんのお世話を優先して、産後の生理痛をガマンしているママも少なくありません。ですが、産後の生理痛には婦人科の病気が隠れていたり、ホルモンになんらかの異常がある可能性もあるそうです。

以下の症状があるときは、産婦人科・婦人科を受診してください。

【河井さん】
①鎮痛剤を飲んでも痛みが引かない
子宮内膜症や、他の婦人科の病気が潜んでいる可能性があります。

②何ヶ月も生理不順が続く
産後は、生理不順になることもあります。ですが、何ヶ月も周期が整わないときは、婦人科の病気が潜んでいる可能性もあります。

また、ホルモンの状態が整っていないことも考えられるので、今後、体調を崩してしまったり、妊娠しにくくなるというケースもあります。

生理痛がひどいときは、無理をしないで

産後の生理は子宮回復の、生理痛はママの体調のバロメーターと言えます。

赤ちゃんのお世話を優先して痛みをガマンしたり、赤ちゃんへの影響を考えて鎮痛剤の服用を控えているママも少なくありません。

ですが、河井さんが言うように、痛みをガマンして赤ちゃんのお世話をするのはとても大変ですよね。

ママの体のためにも、赤ちゃんのためにも、生理痛がひどいときは無理をせずケアをしてくださいね。

取材協力:助産師、看護師/エミリオット助産院 河井恵美さん

河井恵美 助産師 看護師
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。さまざまな診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わっていました。助産師の仕事が大好きで、25年以上この仕事をしています。青年海外協力隊でコートジボアールとブルキナファソに赴任した後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。2008年から夫の仕事関係により、シンガポールに住んでいます。2人の子どもを育てつつ、現地の産婦人科に勤務し、日本人の妊産婦さん方のサポートをしています。Web上でエミリオット助産院を開設し、助産師オンラインサービスでさまざまな相談も受けています。

※アンケート概要
実施期間:2019年5月12日~2019年5月23日
調査対象:子育てアプリ「ninaru baby」利用者
有効回答数:438件
収集方法:Webアンケート

※1 日本産婦人科医会「女性の健康Q&A」
※2 南山堂『薬物治療コンサルテーション 妊娠と授乳』pp.217-222

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