妊娠中期(妊娠16〜27週)の超音波検査では、初期と比べてお腹の中の赤ちゃんの様子をはっきり見ることができ、毎回の健診が楽しみという妊婦さんも多くいます。
今回は、妊娠中期の妊婦の超音波検査について、時期や回数、内容などをご紹介します。
妊娠中の超音波検査とは?
「超音波検査」はエコー検査とも呼ばれ、超音波断層撮影装置を使います。胎児の発育を確認するとともに、胎盤、臍帯、羊水などに異常がないかなど、子宮の中を検査します。
柔らかいものや液体を透過させ、硬いものを反射させる超音波の性質を活かして、胎児の姿を画像化します。
妊娠中の超音波検査には、「経腟超音波検査」と「経腹超音波検査」と2種類があり、それぞれ次のような特徴があります(※1)。
経腟超音波検査
・プローブ(検査器具)を腟内に挿入し検査する
・初期の検査で使うことが多い
・経腹超音波より周波数が強く、近いところがよく見える
経腹超音波検査
・プローブをお腹に当てて検査する
・中期以降の検査で使うことが多い
・経膣超音波より周波数は少ないが、深いところまでよく見える
妊娠中期の超音波検査の目的と内容は?
妊娠中期の超音波検査では、主に以下をチェックします(※2)。
● 胎児の発育・健康状態
● 子宮・胎盤・臍帯・羊水の状態
● 胎児の頭部、腹部、大腿骨などの長さ
● 羊水量
頭部や大腿骨などを計測することで、推定児体重を計算できます(※2)。あくまでも目安ですが、体重を知ることは胎児の発育不全やトラブルを早く見つけることにつながります。
上記に加え、一般的に妊娠中期の20週頃、妊娠後期の30週頃など節目のタイミングに「超音波スクリーニング」という検査を行うこともあります。心臓、肺、肝臓血管などの臓器の形や、胎盤・臍帯の位置や構造に問題がないかを確認します。
超音波スクリーニングでは、赤ちゃんの向きによって見づらい場所が出てくることもあります。1回の検査で全てが確認できないときは、数回にわたって行われます。
妊娠中期の超音波検査の時期や回数は?
妊娠中期(16週0日~27週6日)に行われる超音波検査の時期や回数に明確な決まりはありません。
厚生労働省による標準的な妊婦健診の例では、超音波検査は、以下の時期・回数で行うよう示されています(※3)。
● 妊娠初期〜23週:2回
● 妊娠24~35週:1回
● 妊娠初36週〜出産まで:1回
ただ実際のところ、妊娠中期に超音波検査を行う時期や回数は、医療機関の方針や妊婦さんの体調、胎児の発育状態によって異なります。健診の度にほぼ毎回行う医療機関もあるようです。
妊娠中期の超音波検査で見られる赤ちゃんの様子は?
妊娠中期の超音波検査では赤ちゃんの心臓や内臓が見えてくるようになり、医師からは、胃や腎臓、消化器、泌尿器などの大きさや位置を聞くことができます。
妊娠20週頃に入って赤ちゃんの向きがうまくあうと、目や鼻、唇がしっかり確認できるようになります。さらに週数が進み、妊娠後期に入ってくると、赤ちゃんが大きくなるため、エコー写真を撮影しても顔がみづらくなってきます。
妊娠中期の超音波検査で性別がわかる?
早いと妊娠16週以降に、超音波検査で赤ちゃんの性別がわかることもあります(※4)。ただし、超音波検査による性別の判定は、あくまでも予測で確定ではありません。
赤ちゃんが足を閉じていたり、背中やお尻を向けていたり、体のほかの部分が性器にかぶさっていたりすると、判別できないこともあります。
性別判断の時期は産婦人科や医師の方針によって違うので、焦らずに判別できるタイミングを待ちましょう。
超音波検査で赤ちゃんの成長を感じよう
妊娠中期の超音波検査では、胎児の詳しい様子がわかるので、より一層、赤ちゃんの存在を実感できるようになるのではないでしょうか。
超音波検査の後にエコー写真をもらったら、大切に保管しておきましょう。お腹の中の赤ちゃんの成長記録や妊娠期間中の思い出として、出産後に振り返ることができますよ。
監修医師:産婦人科医 城伶史先生
日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は産科・婦人科および不妊治療と産婦人科全般にわたって診療を行っております。
※1 日本産婦人科医会「2. どちらからアプローチ?」
※2 日本産科婦人科学会「推定胎児体重と胎児発育曲線」 保健指導マニュアル
※3 厚生労働省「妊婦健診Q&A」
※4 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』p.8