海外旅行が好きな人にとって、赤ちゃんとの海外旅行は楽しみなイベントのひとつですよね。そうはいっても、長時間のフライトでグズグズしないか、現地で具合が悪くなったらどうしようと、気になることはたくさん。そこで今回は、赤ちゃんとの海外旅行はいつから行ってよいのかや、持ち物や保険についてご説明します。
赤ちゃんとの海外旅行はいつから?
赤ちゃんとの海外旅行は、いつから行ってよいという明確な基準はありません。
赤ちゃんにも一人ひとり個性があるので、初めて行く場所やうるさい場所ですんなりねんねできる子もいれば、神経質になってグズグズしっぱなしになる子もいます。
赤ちゃんにも、ママやパパにも負担にならず、よい思い出になると判断できたときが、赤ちゃんと海外旅行に行くタイミングと考えるとよいでしょう。ただ、基本的なワクチン接種が終わる生後5ヶ月を待ったほうがよいかもしれません。
赤ちゃんと初めて海外旅行に行く場合、フライト時間が短く時差が少ない、気候が日本と近い、ママかパパが行ったことのある国などから選ぶと安心ですね。
赤ちゃんとの海外旅行で飛行機はどうする?
赤ちゃんが飛行機に乗れるのは、全日空・日本航空ともに生後8日目以降としています(※1,2)。
全日空の場合、大人1人が2歳未満の子どもを同伴できるのは2名までです。その場合、子ども1名分は座席を確保しなくてはなりません(※1)。
全日空、日本航空ともに、乳幼児の搭乗人数に上限を設けていたり、そのほかの制約を設けている場合があります。また、コードシェア便に搭乗する場合は、制約が異なるケースもあります(※1,2)。
海外旅行をすることになったら、航空会社の窓口に連絡して確認するようにしましょう。
赤ちゃんが飛行機で快適に過ごすコツとは?
まずは、座席の位置から検討してみましょう。
赤ちゃんが長時間、ママやパパの膝でじっとしているのはなかなか難しいこと。
グズグズしたときにさっとあやしに行けるように、ギャレーやトイレの近くの、通路側を確保した人が多いようです。
また、機内エンターテインメントには、子ども用のプログラムが用意されていますが、赤ちゃんが気に入って見るかどうかはわかりませんよね。
お気に入り映像はスマートフォンなどにダウンロードして持っていくと安心です。
さらに、お気に入りのおもちゃだけでなく、新しいおもちゃを持って行った人もいました。
新しいおもちゃは赤ちゃんにとって目新しいので、しばらく静かに遊んでくれたようです。
赤ちゃん連れの海外旅行の注意点は?
赤ちゃんと海外旅行に行くときには、赤ちゃんの健康管理に十分な注意が必要です。ここでは、赤ちゃんと海外旅行をするにあたって注意したいことについてご説明します。
飛行機や車での移動時のアクシデント
飛行機が上昇したり下降したりすると、耳が強く痛むことがあります。
赤ちゃんは耳抜きができないので、耳を触ったりして不機嫌になっていたら、水分補給をさせて症状を和らげてあげましょう。
座席前のポケットに赤ちゃん用の飲み物を入れておくと、いつでも取り出せるので安心です。
また、飛行機が上昇すると、酸素が地上の80%程度にまで薄くなります。呼吸器や心臓になんらかの基礎疾患があり通院している場合は、かかりつけの小児科医に事前に相談するようにしてください(※3)。
旅行先で車での移動を予定している場合は、現地でチャイルドシートをレンタルできるか確認しておきましょう。
肌のトラブル
旅行する地域にもよりますが、蚊を媒介して感染症にかかることもあります。また、赤ちゃんの肌は大人より薄いため、日焼けをすると症状が重くなりがちです。
旅行先で赤ちゃんの肌トラブルを起こさないように、下記に気をつけましょう。
● エアコンや網戸のあるホテルに宿泊する
● なるべく長袖、長ズボンを着用する
● 日差しがきつい地域、時期は、なるべく日陰で過ごす
● 肌が出ている部分には、虫除けスプレーや日焼け止めを使う
● ホテルに戻ったら、虫除けスプレーや日焼け止めを洗い落とす
食べ物や水のトラブル
赤ちゃんは消化能力が未熟なので、旅行先で下痢を起こすこともあります(※3)。
赤ちゃんの食べ慣れた離乳食や飲み物を十分に用意し、旅行先のものは極力食べさせないようにしましょう。
旅行先では水道水を飲ませるのは避け、日本のスーパーなどで購入したミネラルウォーター(軟水)を持参すると安心です。機内には100mL以上の液体を持ち込めないので、100mL未満の容器に移すか、スーツケースに入れて預けましょう(※4)。
また、手はこまめに洗い、必要に応じてアルコールジェルや除菌シートを使うとよいでしょう。
赤ちゃんとの海外旅行で必要な持ち物は?
旅行する国、季節、期間、赤ちゃんの月齢によって異なりますが、赤ちゃんとの海外旅行に必要な持ち物、役に立つ持ち物をご紹介します。
旅行先で購入すると赤ちゃんの体質などに合わないこともあるので、多めに用意しておくと安心ですね。
必要な持ち物
● パスポート(赤ちゃんも必要です)
● 赤ちゃん用の日焼け止め
● 赤ちゃん用の虫除けスプレー
● 哺乳瓶やストローマグ(哺乳瓶は使い捨てタイプが便利)
● 哺乳瓶の洗浄剤(粉末や錠剤タイプ)
● ミルク、飲み物(粉末タイプ)
● 魔法瓶タイプの水筒(ミルクのお湯を入れる)
● ベビーフードや赤ちゃん用のおやつ
● 赤ちゃん用のスプーンやフォーク
● おむつ・おしりふき(海外で購入すると、赤ちゃんの肌に合わないことも)
● 常備薬(服用しているものがあれば)
役に立った持ち物
● ウェットティッシュ
● アルコールジェル
● 赤ちゃん用シャンプー・リンス・ボディソープ(ホテルのアメニティは赤ちゃんの肌に合わないことも)
● 赤ちゃん用保湿剤
● 母子健康手帳のコピー(病院にかかる際、予防接種の履歴がわかると診察がスムーズなことも)
● お気に入りのおもちゃ
● おしゃぶり(飛行機に乗っているときに使うと耳抜きできることも)
● ジッパー付きのビニール袋(使用済のおむつをいれる)
● 抱っこ紐
● 洗濯ばさみ(授乳するときにブランケットを留めたりできます)
赤ちゃんとの海外旅行は保険に入るべき?
赤ちゃんは免疫力が弱いため、体調を崩したり、ケガをしたりしてしまうことも珍しくありません。
言葉や習慣が異なる海外で病院にかかるのは不安が大きく、日本より治療費が高くなる可能性があるので、旅行保険には必ず入るようにしましょう。
旅行保険が付いているクレジットカードもありますが、対応が十分ではないこともあります。事前に対応内容を確認するようにしましょう。
そのほか、下記の準備をしておくと安心です(※3)。
● 外務省の「在外交官医務官情報」で旅行先の医療施設の情報をチェックする
● 赤ちゃんが使用している薬があれば、処方箋のコピーを用意する
● 必要な連絡先を英語、もしくは現地語で書いておく(旅行先の日本大使館、領事館、日本の家族、日本のかかりつけ医)
万全な準備で赤ちゃんと海外旅行を楽しもう
赤ちゃんと海外旅行ができる日を楽しみに、計画を立てているママやパパも多いことでしょう。
しかし赤ちゃんは免疫が弱く、大人のように変化に順応することは得意ではありません。あくまでも赤ちゃんに負担がなく、家族みんなのよい思い出になるタイミングを見計らって、海外旅行に行くようにしましょう。
赤ちゃんと海外旅行に行くことになったら、準備を万全に整えて楽しんでくださいね。
監修医師:小児科 武井智昭先生
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
※1 ANA『小さなお子様連れのお客様 [国際線]』
※2 JAL『お子さまの国際線ご利用についてのご案内』
※3 厚生労働省検疫所『FORTH 海外で健康に過ごすために』
※4 JAL ABC『水が合わないと海外旅行は大変!飲料水を持って行くときの注意点』