ママの抱っこは赤ちゃんに安心感を与えるのはもちろん、心地良い眠りを促す寝かしつけ方法としても最適です。しかし、抱っこでの寝かしつけに苦労している…というママの声も多く聞かれます。
そこで今回は、抱っこの専門家に新生児や赤ちゃんがすぐに寝る、抱っこでの寝かしつけの極意を伺いました!
赤ちゃんの寝かしつけには抱っこが定番?
先輩ママに、赤ちゃんが寝ないときの対策に関してアンケート(※1)を取ったところ、赤ちゃんの寝かしつけに「抱っこする」と回答したママが一番多いという結果に。「寝かしつけ=抱っこ」はママの間では、もはや定番なんですね!
抱っこをしても赤ちゃんがすぐ寝ない!
次に、抱っこをしてから赤ちゃんがすぐ寝てくれるのか先輩ママにアンケート(※2)を取ったところ、60%のママがいいえと回答。
寝かしつけには抱っこが定番だけれど、すぐに赤ちゃんが寝てくれず悩んでいるママは全体の半数以上いることが分かりました。
専門家に聞いた!
赤ちゃんが寝付きやすい抱っこの極意
ママの悩みを解決するために、抱っことおんぶの専門家に徹底取材しました。
今回取材をしたのは、「NPO法人だっことおんぶの研究所」から認定された、ベビーウェアリングコンシェルジュの柳川さん。
抱っこを知り尽くした柳川さんに、寝かしつけ抱っこのコツや、知って得する抱っこ紐とスリングを使った寝かしつけのポイントを伺いました。
柳川さん
赤ちゃんが寝付きやすい抱っこというのは、赤ちゃんが心地良いと感じる抱っこと深く結び付いていると私は思います。
赤ちゃんが心地良いと感じる抱っこは、赤ちゃん自身の好みの姿勢や、ママの身体の感覚でそれぞれ異なります。まずは、親子でその感覚を探っていくことから始めるのがベストかもしれません。
赤ちゃんが心地良い抱っこのポイント
柳川さんがママたちに伝えている心地良い抱っこのポイントは、赤ちゃんにとって自然な姿勢であることが大きな条件です。下記3つのポイントを意識することが、とても重要になります。
1. 股関節をM字に開脚する(カエル足)
2. 背中からお尻にかけて緩やかなCカーブをつくる
3. ママが赤ちゃんのおでこにキスできる位置で抱く(キッサブル)
以上のポイントを確認しながら、まずは道具を使わずに抱っこをしてみましょう。そうすれば親子の抱っこの感覚を事前に確認することができますよ。
このときにママの体、手の平でお尻を支えず、腕全体で抱けているか確認できると、腱鞘炎予防もできるかもしれません。首座り前の子供の場合は、頭部を支えてあげてくださいね。
専門家に聞いた!
抱っこ紐を使った寝かしつけの極意
素手での抱っこがスムーズにできるようになったら、抱っこ紐へそのまま応用することも簡単です。ただ、抱っこ紐を使う前に忘れてはいけない注意点があるそうです。
柳川さん
抱っこ紐でも心地良い抱っこの姿勢をキープするためには、まず最初にベルトやバックルの位置を調節することが重要なポイントです。
特に抱っこ紐をパパと兼用している方は、ベルトが緩くなっていることがあります。ママの身体に沿うようにベルトをしっかり締めて、赤ちゃんの身体が下がりすぎないようにしっかりと抱きながら装着をしてくださいね。
抱っこ紐での寝かしつけポイント
赤ちゃんが抱っこ紐の中に収まったら、以下のポイントを確認しましょう。
1. 赤ちゃんのお尻の位置をママのおへそより上にする
2. お尻の部分の布にシワがなくピンとした状態に張る
3. ママが赤ちゃんのおでこにキスできる位置で抱く
ひとことポイント
柳川さん
赤ちゃんを寝かしつけたいときはこの後も重要!背中をさするか、やさしくトントンして歩きましょう。「暗い方が寝てくれるから」と、まだ起きている赤ちゃんの頭に抱っこ紐のヘッドサポートをかぶせると、暴れる場合があります。
赤ちゃんにする行為は、全てママ自身に当てはめて考えてみると分かりやすいかもしれません。背中をたたかれるのとさすられるの、どちらが気持ち良い?いきなり頭に布をかぶせられたら、どう思う?
自分がされて心地良いことを、赤ちゃんにもしてあげられるように心がけると良いですよ。
専門家に聞いた!
スリングを使った寝かしつけ抱っこの極意
スリングの抱っこも、赤ちゃんの姿勢のポイントは同じです。スリングの形状によりますが、リングのあるスリングであれば自然なM字開脚・背中~お尻のCカーブ・キッサブルの位置は、抱っこ紐よりさらっと調整できてしまうかもしれません。
柳川さん
スリングでの抱っこは、布に包まれた心地良さで赤ちゃんが自然と眠りにつきやすいケースが多く、寝かしつけにはおすすめですよ。
専門家に聞いた!
スリングを使った寝かしつけポイント
赤ちゃんがスリングの中に収まったら、以下のポイントを意識してやってみてください。
スリングの布の上から、赤ちゃんのお尻の上あたりにある仙骨をやさしくなでる
ひとことポイント
柳川さん
赤ちゃんの背中からお尻にかけて、特に仙骨(脊椎の下部に位置する大きな三角形の骨)を中心に撫でまわすと、体が暖まり、眠りにつきやすいようです。
とても心地良く感じるポイントなので、撫でながら歩いている間に、赤ちゃんがそのまま眠ってしまうこともよくありますよ。赤ちゃんを寝たまま降ろすこともラクにできるのが、スリングの大きな魅力でもありますね。
寝かしつけにスリングを使いたいママはこちら
なかなか寝付かない赤ちゃんにイライラしてしまうママへ
抱っこ紐やスリングを使って抱っこしても、特に外の場合は落ち着かないのか、赤ちゃんが全然寝てくれなくて「ついイライラしてしまう」というママからの声も良く聞かれます。そんなママへ、柳川さんからアドバイスをいただきました。
柳川さん
イライラしてしまう自分に嫌気がさしたり、母としての自信をなくしそうになったり…本当にママは、毎日お疲れ様です。
でも大丈夫、赤ちゃんは眠かったら眠ります。だからママが辛くならないように、快適に抱っこできるように、まずは正しい使い方や赤ちゃんの心地良い姿勢を確認することから始めてみましょう。
助産師が教える簡単寝かしつけ抱っこのコツ
最後に、抱っこ紐やスリングがない場合でも簡単に自宅で実践できる寝かしつけ抱っこのコツを、今まで多くの赤ちゃんと接してきたベテラン助産師さんと保育士さんに伺いました。
まず最初にアドバイスを伺ったのは、助産師歴25年以上、現在はシンガポールで2人の子供を育てながら、現地の産婦人科に勤務されている助産師の河井さん。
河井さん
赤ちゃんを抱っこで寝かしつけたい場合や、抱っこで寝かしつけた状態でスムーズにベッドへ移動したいときは、以下の方法を実践してみましょう。
赤ちゃんの身体とママの身体をピッタリとくっつける
河井さん
ママの心臓の鼓動や体温を感じられるので、赤ちゃんも安心できますよ。
赤ちゃんをくるむ
河井さん
子宮の中にいるような安心感があります。大判のガーゼタオルなどで、割としっかりくるむのがポイントです。
たて抱っこをする
河井さん
赤ちゃんのお腹がママの身体に触れているので、それが安心に繋がり眠りを促す効果も。
C字型に抱っこをする
河井さん
生後半年頃までは、赤ちゃんの背骨はC字型にカーブしているので、その体勢を保つように抱っこするのも良い方法です。
ママの呼吸と赤ちゃんの呼吸を合わせる
河井さん
呼吸の動きが赤ちゃんの身体に伝わるように身体を密着させたり、息遣いを聞かせたりすると良いですよ。赤ちゃんの呼吸は早いので、赤ちゃんが2回呼吸するのに合わせて、ママが1回呼吸するイメージで良いと思います。
赤ちゃんの呼吸に合わせてトントンする
河井さん
赤ちゃんの呼吸に合わせて、背中やおしりの辺りを軽くトントンと叩いてあげるのも効果がありますよ。
赤ちゃんが抱っこで眠りにつき、ベッドへ移動した後もスムーズに寝かしつけたい場合は、以下のポイントを意識してみましょう!
ベッドに移動後スムーズに寝かしつけるポイント
眠ってから10〜15分頃にベッドへ移動
河井さん
赤ちゃんの睡眠パターンから考えると、眠ってから10〜15分ほどすると深い眠りに入っています。その頃にベッドに寝かせると、途中で目が覚めることなくぐっすり眠れるようですよ。
保育士が教える簡単寝かしつけ抱っこのコツ
続いて保育士歴15年、現在は中学校の支援学級のサポートを行うなど、多くの子供と関わってきたかおる先生に抱っこのコツを伺いました。
かおる
先生
保育園では部屋を暗くしてオルゴールの様なやさしい曲をかけて、まず落ち着ける環境をつくることから始めています。縦抱きができる赤ちゃんの場合は、その子が一番リラックスできる姿勢で抱っこして、小さく揺すったりトントンして歩きながら歌を聞かせて寝かしつけます。
このときに、タオルケットや、冬なら毛布でくるんであげると、落ち着くのかすぐに寝てくれるのでおすすめです。
くるむアイテムは、脇にボタンが付いたタイプのエプロンでも応用できますよ。脇のボタンを外して、赤ちゃんをスリングの様にくるんで揺らしてあげれば、寝かしつけ便利アイテムに早変わり!
寝かしつけに使えるアイテムはこちら
赤ちゃんの寝かしつけに悩んでいるママは、抱っこが学べる教室もおすすめ
今回取材にご協力をいただいた柳川さんが所属している「だっことおんぶの研究所」では、ベビーウェアリングコンシェルジュによる抱っこの教室を全国各地で定期的に開催しています。
抱っこの基本を学べるのはもちろん、同じように小さい子供を持つママと知り合うきっかけにもなるので、ぜひ参加してみてはいかがですか?
詳細はこちらから→だっことおんぶの研究所
取材協力:河井 恵美先生/助産師、看護師(エミリオット助産院)
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。救急、外科外来等も経験し、看護師教育や思春期教育にも関わっていました。助産師の仕事が大好きで、25年以上この仕事をしています。青年海外協力隊でコートジボアールとブルキナファソに赴任した後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。2008年から夫の仕事関係により、シンガポールに住んでいます。2人の子どもを育てつつ、現地の産婦人科に勤務し、日本人の妊産婦さん方に関わっています。
取材協力:柳川友紀さん/ベビーウェアリングコンシェルジュ
NPO法人だっことおんぶの研究所認定 ベビーウェアリングコンシェルジュ。
産後に授乳服メーカーにて子連れ勤務を経験。そこでスリングと出会い、ベビーウェアリングコンシェルジュの資格を取得。2016年10月より独立。年間約500組の親子に、抱っこやおんぶの講習をしている。2児の母。「抱っこと授乳はDNAをつないでゆく」と信じて、親子が幸せになれる抱っことおんぶのお手伝いをしています。http://yanagawayuuki.sakura.ne.jp/
取材協力:中川 薫さん/保育士
保育士歴15年。保育園、知的障害者支援施設を経て、現在は中学校のスタディメイトとして発達障害を持つ子どもの支援をしています。子どもがわかりやすく安心して学校生活や学習ができるようなサポートを提供。男の子と女の子の2児の母。
※1アンケート概要
実施期間:2018年12月2日~2018年12月3日
調査対象:「ninaru baby」を利用しているママ
有効回答数:850件
収集方法:Webアンケート
※2アンケート概要
実施期間:2018年12月9日~2018年12月10日
調査対象:「ninaru baby」を利用しているママ
有効回答数:776件
収集方法:Webアンケート