妊娠、出産という大仕事を終えたママの体は、骨盤まわりの筋肉が弱っている状態です。産後から少しずつ筋肉を鍛えておくと、出産後に起きやすいトラブルを予防できたり、早く解消できたりしますよ。
今回は、自宅で簡単にできる骨盤まわりの筋肉を鍛える方法をご紹介します。
産後の骨盤まわりの状態って?
妊娠中は、ホルモンの影響で骨盤まわりの靭帯や関節が緩み、腰や足の付け根、骨盤などに負担がかかりやすい状態になります(※1)。
また妊娠中や出産後は、なかなか思うように体を動かせないため、子宮や膀胱、腸などを支えている「骨盤底筋」という筋肉が衰えやすくなります。さらに、赤ちゃんが産道を通るときに骨盤底筋は大きなダメージを受けます。
このように、妊娠・出産により骨盤まわりは大きな負担をかかえていて、産後は腰痛や骨盤痛など痛みが出たり、頻尿や尿もれなどの症状が起こったりすることがあります。
症状を予防するため、そして痛みを慢性化させないためにも、産後は骨盤体操で骨盤まわりの筋肉を鍛えておくといいですよ。
骨盤体操はいつからしていいの?
産後6~8週間は「産褥期」といって、体が妊娠前の状態へゆっくりと戻っていく期間です。出産したことでホルモンバランスが急激に変化して、体やメンタル面に変化があったり、子宮が元の大きさに戻るために収縮して痛みがあったり、悪露が続くこともあります。
まずは、体を慣らすために簡単な「産褥体操」からはじめ、本格的なエクササイズは、産後のママの1ヶ月健診で回復が順調と判断されてから行うようにしましょう。
産後は何よりも体の回復を優先することが大切なので、体調を最優先にしてくださいね。
骨盤体操の簡単なやり方とは?
ここでは、簡単にできる骨盤体操をいくつかご紹介します。
腰をぐるぐる回す体操
1. 足を肩幅に開き、両手を腰に添える
2. 右に10回、左に10回交互大きく回す
背筋は伸ばし、顔は上げて前を向いて行うのがポイントです。背中を丸めたり、お腹のところで体を曲げたりすると効果がないので注意してください。
上半身を前に倒す体操
1. 足を肩幅に開き、両手をまっすぐ前に出す
2. そのまま、お腹を曲げてゆっくりと上体を前に倒し、床に両手がつく所まで曲げる
3. 10回繰り返す
腹筋など筋肉をよく使うのでおすすめですが、体がかたくて手が床にはつかない場合は、無理のない範囲で少しだけ勢いをつけてみましょう。
上体を後ろにそらす体操
1. 足は肩幅に開いたまま、両手は腰に添える
2. 手を支点として骨盤を止めたままゆっくりと上体を後ろに反らす
3. 反らせるところまで反らして、ゆっくり元の位置に戻る
上体を後ろに反らす体操は、骨盤まわりの筋肉がほどよく伸びますよ。
骨盤体操は体の回復を優先して行おう
産後はまず体の回復を優先して、赤ちゃんの昼寝の合間にできるもの、テレビをみながらできるものなど、簡単なものから取り入れるのがおすすめです。
無理をすると体力の消耗やストレスにもつながり、赤ちゃんのお世話に支障がでてしまうことも。休むときはしっかり休み、できる範囲で続けてくださいね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也先生
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
【参考文献】
※1 現代書林『産前・産後の 筋肉&骨盤ケア』P.63,90