流産の種類や確率、原因は?妊娠週数や年齢と関係があるの?

妊娠がわかるとうれしい反面、何かと不安に感じることも多いですよね。その中でも、特に心配なのは「流産」ではないでしょうか。

今回は、流産の種類や確率、原因について、妊娠週数や年齢によって違いがあるのかも含めてご説明します。

流産の種類って?どんな症状があるの?

出産 産後 入院 新生児

流産とは、妊娠22週0日より前に妊娠が継続できなくなってしまうことです(※1)。

流産は、以下のようにいくつかの種類に分類されます(※1,2,3)。

稽留(けいりゅう)流産

胎児(胎芽)の発育が停止したまま子宮内に留まっている状態です。

出血や腹痛などの自覚症状がほぼないため、通院中にはじめて確認されることがほとんどです。

稽留流産と診断されたら、胎児(胎芽)が自然に外に出てくるのを待つ場合と、手術をして胎児(胎芽)を取り出す場合があります。どちらにするかは、妊婦さんと医師が相談しながら決めていきます。

進行流産

進行流産は、子宮口が開いて出血がはじまり、流産が進んでいる状態です。

出血量が多く、生理痛よりも強い下腹部痛がみられることがあります。

進行流産は止めることはできず、次に挙げる不全流産と完全流産のどちらになるかによって、対処法が異なります。

不全流産

不全流産は、胎児(胎芽)や胎盤などが完全に排出されず子宮内に一部が残っている状態です。

出血や下腹部痛の症状が続いていることがほとんどです。自然にそのまま排出されるか、子宮内から胎児(胎芽)や胎盤などを取り出すための手術が必要になることがあります。

完全流産

完全流産は、胎児(胎芽)や胎盤などが、子宮の外に全て流れ出た状態です。

完全流産になると、出血や下腹部痛の症状はなくなり、手術は不要です。しかし、子宮が元の大きさに戻ろうとする「子宮復古」の過程で、子宮収縮剤や鎮痛剤、止血剤などが処方されることもあります。

化学流産(生化学妊娠)

化学流産(生化学妊娠)とは、妊娠検査薬が陽性反応を示したものの、超音波検査で妊娠を確認する前に流産した状態をいいます。

症状として月経のような出血がみられるため、妊娠検査薬を使用しなければ、妊娠と気づかないまま月経と捉えて過ごしてしまうことも多いです。治療は特に必要なく、経過観察となります。

切迫流産ってどんな状態?ほかの流産とどう違うの?

よく耳にする「切迫流産」は、流産の一歩手前の状態のことです(※1)。

ほかの流産は妊娠を継続することはできませんが、切迫流産は妊娠を継続できる可能性があります。

切迫流産の兆候として、少量の出血や下腹部痛、腰痛などの症状が見られることがあります。このような症状があれば、速やかにかかりつけの産婦人科を受診するようにしてくださいね。

切迫流産の特効薬はないため、基本的に安静に過ごして自然に経過をみることが多いですが、妊娠16週以降で子宮収縮がある場合は、子宮収縮抑制薬が使用されることもあります。

流産の確率は?妊娠週数によって違うの?

流産は起こる時期によって2つに分類され、妊娠12週未満の流産を「早期流産」、妊娠12週以降22週未満の流産を「後期流産」といいます。特に妊娠12週未満の流産が多く、流産全体の80%以上を占めます(※1)。

全流産のうち妊娠週数別の割合は次の通りです(※2)。

  • 妊娠5〜7週:22〜44%
  • 妊娠8〜12週:34〜48%
  • 妊娠13〜16週:6〜9%

この数字からも、妊娠12週未満の早い時期での流産が多く、妊娠13週を過ぎると少なくなることがわかります。

流産の原因も妊娠週数によって異なるの?

流産の原因は、早期流産か後期流産かによって次のような違いがあります(※3)。

早期流産の原因

妊娠12週未満で起こる早期流産は、赤ちゃんの染色体異常が原因であることがほとんどです。妊婦さんが体を動かしたり仕事で無理をしたりしたことなどが原因で流産が起こることは、ほぼありません(※1)。

後期流産の原因

妊娠12週以降に起こる後期流産は、感染症による絨毛膜羊膜炎や子宮頸管無力症、子宮奇形など、母体側の原因が多くなります。ほかにも、過度なストレスや交通事故などによる外傷などが原因となることがありますが、非常にまれです(※2,4)。

妊娠16週からは「妊娠中期」いわゆる「安定期」に入りますが、まだ流産が起こる可能性はあるので、無理をしないことが大切です。

流産の確率は年齢とともに上がる?

高齢妊娠も流産の原因になる可能性があるといわれています。特に35歳を過ぎると、流産の確率がぐっと高くなることがわかっています(※2)。

年齢を重ねるにつれて流産の確率が高まるのは、加齢とともに卵子の質が低下し、染色体異常の発症率が増加するからだと考えられています(※2)。

流産の可能性を心配し過ぎないことも大切

妊娠初期は「流産したらどうしよう」と気になってしまうものですが、心配し過ぎてストレスが溜まると、ママにも赤ちゃんにも良くありません。

不安なことがあったら、かかりつけの医師や助産師に相談しつつ、できるだけ心を落ち着かせてマタニティライフを過ごせるといいですね。

監修医師:産婦人科医 間瀬徳光

産婦人科医 間瀬徳光先生
2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。板橋中央総合病院、沖縄県立中部病院などを経て、現在は医療法人工藤医院院長。産婦人科専門医、周産期専門医として、産科・婦人科のいずれも幅広く診療を行っている。IBCLC(国際認定ラクテーション・コンサルタント)として、母乳育児のサポートにも力を注いでいる。

※1 日本産科婦人科学会「切迫流産、流産」
※2 日本生殖医学会「一般のみなさまへ:Q23.女性の加齢は流産にどんな影響を与えるのですか?」
※3 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』pp.90-91
※4 日本産科婦人科学会 「No.99流産のすべて II.流産の原因 1.総論」

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