「耳かきは不要」と聞いて、子どもに耳かきをしても良いのか悩んでいる人は多いのではないでしょうか。耳かきだけのために耳鼻科に行ってもいいのかも気になりますよね。
今回は、子どもの耳かきや耳掃除をしたほうが良いのか、耳鼻科で耳掃除してもらえるのかなどについてご説明します。
子どもの耳掃除は必要なの?耳垢の役割って?
実は、人にはそれほど耳掃除は必要ないとされています(※1)。
耳垢は耳の穴から鼓膜までの「外耳道」と呼ばれる部分に、古くなった皮膚や外から入ったほこり、皮脂、分泌物が混ざり合ってできます。
つい取りたくなってしまう耳垢ですが、以下のような大切な役割があります。
● 細菌やカビなどが外耳道で繁殖するのを防ぐ
● 敏感な耳の中の皮膚を守る
● 虫などの進入を防ぐ
耳垢は自然に排出されるため、多少であれば取る必要はないことを知っておいてくださいね。
子どもの耳かきをするときの注意点は?耳鼻科で耳掃除はしてもらえる?
耳掃除は不必要とはいっても、耳の中の汚れが気になることもありますよね。このような場合は、耳鼻科で耳掃除をしてもらいましょう。
こんな理由で受診してもいいのかな…と悩んでしまう人もいますが、耳掃除だけで受診しても全く問題ありません。
先生がしっかりと耳の奥まで掃除してくれるので、すっきりとしますよ。
もしどうしても自宅で耳掃除をしたい場合は、以下の点に気をつけてくださいね。
耳掃除をしすぎない
耳掃除をしすぎると、外耳道に引っかき傷ができ、細菌が感染して外耳道炎などのトラブルを起こすおそれもあるので注意が必要です(※1)。
耳の奥までいじらない
耳の奥までいじりすぎると、逆に耳垢を押し込んで詰まってしまうこともあります。
耳垢をかきだすのではなく、1cm程度の見える範囲の耳垢を綿棒でそっと拭き取る程度にとどめましょう。綿棒の太い部分までしか入れないようにするといいですよ。
周りをよく確認する
耳掃除をしているときにきょうだいなどがぶつかってくると非常に危険です。鼓膜を破ってしまうこともあるため、周りをよく確認するようにしましょう。
子どもが耳かきを嫌がるときはどうすればいい?
子どもが耳掃除を嫌がるとじっとしていられず手を動かしてしまう場合は、無理に行う必要はありません。
どうしても気になる場合は、3歳以下の小さな子なら、バスタオルやタオルケットで体をぐるっとまき、手足が動きにくい状態を作って耳掃除をすると安全に行えます。
それよりも大きな子であれば、お人形やぬいぐるみなどを持たせて興味をそらせている間にそっと耳掃除を行いましょう。
耳垢が気になったら耳鼻科に行こう
自宅での耳掃除は思っている以上に危険を伴います。基本的にお風呂上がりに耳まわりをぬぐうくらいで十分なので、無理に耳掃除をする必要はありません。耳垢が気になるという場合は、耳鼻科に相談してみてくださいね。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
※1 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「子どものみみ・はな・のどの病気 耳垢」