子どもが眠っている最中に、突然叫んで飛び起きたり、歩き回ったりしたことはありませんか。このような症状があるときは夜驚症(やきょうしょう)かもしれません。
今回は夜驚症について、原因や症状、治療法、ケア方法などをご紹介します。
夜驚症とは?原因は?
夜驚症(睡眠時驚愕症)とは子どもの睡眠障害のひとつで、悲鳴や叫び声をあげて急に起き上がる症状があらわれます(※1)。
子どもの1〜6.5%に起こるとされていて、通常5〜12歳で起こりはじめますが、成長とともに見られなくなることがほとんどです。
夜驚症の原因ははっきりとわかっていませんが、遺伝や睡眠不足、不規則な睡眠習慣、光や音などの不適切な睡眠環境、ストレスなどが関係しているといわれています(※2)。
夜驚症の症状は?
夜驚症では、睡眠のはじめの1/3の深い眠りに入った時間帯に、以下のような症状が起こります。
● 叫び声や悲鳴をあげる
● 泣き出す
● 汗をかく
● 脈が早くなる など
発作は1日に1〜2回しか起こらず、数秒から数十分以内の短い時間で自然に治まります(※2)。
何事もなかったかのように再び眠りにつき、翌日に本人はほとんど自分がしたことを覚えていないのも特徴のひとつです。
夜驚症の治療法は?受診する目安って?
夜驚症自体は健康に悪影響を与えないため、特に治療を必要とせず、自然に治まるのを待つのが一般的です。
ただし、本人が動き回るなど怪我をするような危険な症状がある場合は、かかりつけの小児科に相談してみてくださいね。
もし一晩に何度も起こったり、一回の時間が数十分以上続いたりする場合は、他の病気の可能性もあるので早めに病院を受診しましょう(※2)
夜驚症のケア方法は?
子どもが夜驚症を起こす場合は、まずは以下のような対応をして睡眠の質を高めましょう。
● 十分な睡眠時間を確保する
● 起きる時間・寝る時間をある程度一定にする
● 暗く静かな環境を作る
● 夕方以降には緑茶などカフェインが入った飲み物は控える
もし夜驚症が起きた場合は、症状が出ている間は起こさないようにしましょう。無理に起こすとかえって興奮してしまうことがあります。
症状が起きても怪我をさせないように、寝室に危険なものは置かないようにして、部屋や窓から飛び出さないように柵をつけるなど安全対策を行うようにしてくださいね。
夜驚症が起こっても慌てずに対応しよう
毎晩子どもが夜驚症の発作を起こしていると、不安な気持ちになるかもしれません。しかし、夜驚症は成長するにつれて自然に治まっていくことがほとんどです。
子どもに不安を感じさせないためにも、ママやパパが落ち着いて対処していきましょう。夜驚症がひどくて、本人も家族みんなも睡眠不足で悩んでいるというときは、医師に相談してくださいね。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
※1 小児耳鼻咽喉科学会 34巻(2013)1号「小児の睡眠関連病態」
※2 臨床神経生理学 2020;48(1),45-49「ノンレムパラソムニア」