赤ちゃんが生後5ヶ月を迎える頃になると、離乳食を開始しようと考える人も多いですよね。いざスタートしようと思っても、いつからどのようなステップで進めたらいいのか迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。
今回は、離乳食初期の進め方について、食べさせる量や食材の固さ、スケジュール、注意点をご紹介します。
離乳食はいつから始める?
離乳食はだいたい生後5ヶ月を過ぎた頃を目安に、赤ちゃんに以下のようなサインが見られたら、始めてもよいタイミングです。
□ 首がしっかりすわっている
□ 周りの人が食事をする様子に興味を示す
□ 赤ちゃんの口に指を添えても舌で押そうとしない
□ 5秒以上ひとりで座れる
□ よだれの量が増えている
上記はあくまでも目安ですが、「食べたい!」という仕草が見られ始めたら、赤ちゃんの体調がよい日にスタートしてみてください。
これらのサインが見られない場合でも、遅くとも生後6ヶ月にはスタートできるとよいでしょう。
離乳食の進め方のきほん
離乳食を始める前に、まずは進め方の基本をおさえておきましょう。
1. 食物アレルギーをチェック
赤ちゃんが食物アレルギーを起こす割合が最も高いのは、三大アレルゲンの「卵・小麦・牛乳」です。
特にこれらをはじめて与えるときは、アレルギー症状が出た場合や心配ごとに備えて、かかりつけの医療機関を受診できる曜日の午前中に与えましょう。
なお医師から指示がある場合を除き、アレルギーが心配だからと自己判断で離乳食を始める時期を遅らせたり、特定の食材を除去したりしないようにしてください。
2. はじめての食材は1日1口から
卵・小麦・牛乳に限らず、基本的には全ての食材で食物アレルギーが起こる可能性があります。
もしもアレルギー症状が出た場合に原因の食材を特定しやすいように、はじめての食材は必ず1日1口から始めましょう。
赤ちゃんの様子を見ながら、少しずつ量を増やすようにしてください。
3. 食材の食べられる時期を確認
離乳食期の赤ちゃんは消化器官が未発達です。脂質や繊維の多い食材は消化しにくく赤ちゃんの体に負担がかかるので、まずは消化のよい食材を使うようにしましょう。
また弾力がある肉類や繊維が多い野菜などは、モグモグと噛む力がつくまでは食べさせないほうが安心です。
なお以下の食材は、離乳食期の赤ちゃんに食べさせてはいけないものなので注意してください。
●はちみつ
●黒砂糖
●刺身
●魚卵
●貝類
●餅・もち米
●肉加工品
●そば
●豆・ナッツ類
●カフェインを含む飲み物
4. 食材は加熱する
赤ちゃんが消化・吸収しやすいように、離乳食をつくる食材は加熱して与えるのが基本です。
また、赤ちゃんは細菌への抵抗力が弱いため、食中毒のリスクや衛生面を考えて食材は加熱すると安心ですよ。
果物は加熱することでアレルギーの原因となる成分を壊すことができるので、はじめて食べるときは加熱をして、慣れてきたら生で少量ずつ試してみましょう。
5. 赤ちゃんのペースにあわせる
離乳食の進み具合には個人差があります。赤ちゃんのペースにあわせて、ゆっくり進めていきましょう。
赤ちゃんが嫌がったら無理に食べさせる必要はありません。体調がよくないときは、離乳食をお休みして様子を見てくださいね。
離乳食は「食べる力をつける」ことが大切なので、なかなかスケジュール通りに進まなくても焦る必要はありませんよ。
離乳食初期の1日のスケジュールは?
離乳食初期は、1回食が基本です。離乳食を始めてから1ヶ月ほど経ち、1回食の量や食材に慣れてきたら、2回食を少しずつ試してみましょう。
1回食と2回食のスケジュールは、以下を目安にしてくださいね。
※スケジュールは一例です
授乳と離乳食とのバランス
離乳食初期の栄養の割合は、離乳食から約10%、母乳・ミルクから約90%。授乳からの栄養がほとんどなので、離乳食をあまり食べなくても栄養面での心配はいりませんよ。
1日の授乳は食後も含めて5〜6回を目安にし、食後は赤ちゃんが欲しがるだけ母乳・ミルクをあげるようにしましょう。
離乳食を始めてから母乳・ミルクを飲まなくなった場合は、離乳食の量を減らしてみてください。
離乳食初期の進め方は?
離乳食初期は、上記のような順番を目安に進めてみましょう。
すりつぶした10倍がゆ小さじ1からスタートして、赤ちゃんの体調に問題がなければ、翌日から小さじ1ずつ増やしてみてください。
量を増やして嫌がるようなら、食べられる分だけトライすればOK。この通りに進まなくても、焦らずゆっくり、赤ちゃんのペースにあわせてあげてくださいね。
食材の固さの目安は?
どろっとしたもの・つぶつぶとした食感があるものは、赤ちゃんにとって初めての経験なので最初はうまく飲み込めません。
赤ちゃんが飲み込みやすいように食材をなめらかにすりつぶし、ポタージュスープくらいトロトロにしましょう。ざらつきが気になる場合は裏ごしもします。
始めてから1ヶ月ほど経ち慣れてきたら、赤ちゃんの様子を見ながら、水分量を減らしてどろっとしたヨーグルト状にしてみてください。
離乳食初期1食分の目安量は?
今回ご紹介する分量はあくまで目安ですが、初期前半から後半にかけて少しずつ食材の量を増やしていきます。
個人差があるので、赤ちゃんにあわせて量を調整してくださいね。
初期前半
【炭水化物】
● 10倍がゆ 小さじ1〜
【ビタミン・ミネラル】
● にんじん なら 5gほど(厚さ1cm半月切り)
● かぼちゃ なら 5gほど(1cm角切り)
● ブロッコリー なら 5gほど(小房1/2個)
● ほうれん草 なら 5gほど(葉先2枚)
いずれかでOK
【たんぱく質】
● しらす なら 3gほど
● 豆腐 なら 10gほど
● 卵黄 なら 耳かき1杯分〜小さじ1/2ほど
● 白身魚 なら 3gほど
いずれかでOK
初期前半は、栄養素の組み合わせを考えなくてOKです。
初期後半
【炭水化物】
● 10倍がゆ なら 大さじ3〜4
● ゆでうどん なら 15g
● 食パン(8枚切り)なら 1/8〜1/4枚
いずれかでOK
【ビタミン・ミネラル】
● にんじん なら 10gほど
● かぼちゃ なら 10gほど
● ほうれん草 なら 10gほど
いずれか
+
● バナナ なら 10gほど
● キャベツ なら 10gほど
いずれか
【たんぱく質】
● ヨーグルト なら 15gほど
● 豆腐 なら 25gほど
● 卵黄 なら 耳かき1杯分〜小さじ1ほど
● 白身魚 なら 10gほど
いずれかでOK
初期後半から各栄養素を組み合わせ始めますが、栄養バランスよりも、様々な食材に慣れていくことが大切です。
離乳食の食べさせ方は?
大人の膝の上に、授乳のときより少し体を立たせるイメージで座らせて与えましょう。赤ちゃんにとって安定感のある抱っこの姿勢にしてあげます。
離乳食を与える時は、必ず離乳食用スプーンを使ってくださいね。
1口の量
赤ちゃんが食べやすいように、1口で与える量は離乳食用スプーン1/3程度が目安です。
食べさせ方
① 顔の真正面からスプーンをさしだす
② 下唇にスプーンをあてて、自分で口をひらくのを待つ
③ 上唇をとじたらスプーンを引き出す
注意ポイント
● 一度にたくさん与えない
● 口の奥に入れたり、上顎にこすりつけたりしない
● 自分から食べるまでゆっくり待つ
最初はうまく飲み込めず、口の端からはみ出してしまっても問題ありません。
食べ物を舐めるだけで口を開けないこともありますが、「食べてみようか!あーん!」など楽しく声かけをして、赤ちゃんが自分から食べるまでゆっくり待ってあげてくださいね。
離乳食中期に移行する目安は?
離乳食を始めて1〜2ヶ月ほど経った生後7ヶ月頃を目安に、赤ちゃんに以下のようなサインが見られたら中期へ移行し始めてもよいでしょう。
□ ヨーグルト程度の固さのものが飲み込める
□ 1回に大さじ3程度の量が食べられる
□ 1日2回の離乳食が食べられる
月齢で決めるのではなく、赤ちゃんの食べる様子を見て少しずつ中期にチャレンジしてくださいね。
監修専門家:管理栄養士・フードコーディネーター 中村 美穂
東京農業大学卒業。保育園栄養士として乳幼児の食事作り、食育活動、地域の子育て支援等に携わった経験を活かし、離乳食教室や子どもから大人まで楽しめる料理教室「おいしい楽しい食時間」を開催。書籍、雑誌等へのレシピ提供・監修も行っています。著書に『きちんとかんたん離乳食』(赤ちゃんとママ社)、『1~3歳発達を促す子どもごはん』(日東書院)など。2児の母。