赤ちゃんのかわいい乳歯が見えてくると、成長を実感できますよね。「何本生えたらいいのかな?」「いつ生え揃うのだろう?」と、気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、乳歯のことについて、本数や生える時期、生え変わる時期から永久歯の本数まで、気になる子どもの「歯」についてまとめました。
乳歯の本数は何本?
乳歯は、生後6〜8ヶ月頃から生え始め、前歯から奥歯へと順番に生えていきます(※1)。1歳前後で離乳食に慣れ始めてきた時期には、乳歯の前歯がほぼ生えそろい、奥歯が顔を出し始めます。
3歳頃には前歯が上下で12本、奥歯が上下左右合わせて8本の合計20本の歯が生えそろいます。
乳歯は徐々に抜けていき、永久歯が生え始めるのは5~7歳くらいになります。
乳歯の役割は?
乳歯はいずれ抜けて永久歯に変わってしまうため、その役割を忘れられがちです。しかし乳歯には噛むこと以外にも以下のような役割があります。
● 顎の発達を促す
● 舌の位置を固定して発音をしっかりとさせる
● 永久歯が生えかわるスペースを作る
乳歯が生えてきたら、虫歯にならないようにしっかりとケアしてあげてくださいね。
乳歯の本数が少ないこともある?
歯が生える時期には個人差があり、生後8ヶ月を過ぎても生えてこない子もいます。生える時期が遅くても、3歳半頃までに20本生え揃っていれば問題ありません。
ただし、生後1歳3ヶ月を過ぎても歯が生えてこないときには、歯科医に診てもらう必要があります。
歯の芽ができない「先天性欠如歯」や、顎の骨が固すぎる、歯茎が厚すぎるといったことが原因になっている可能性もあります。
歯が生えてこない原因はレントゲン撮影などで確認してもらえます。1歳児検診のときなどに歯のトラブルを指摘されたときには、歯医者へ行くようにしましょう。
乳歯の本数が少ない確率は?
乳歯の本数が少なくないか気になるママやパパも多いですが、日本小児歯科学会によると乳歯の先天性欠如があったのは、歯科を受診した7歳以上の子どもの0.5%です(※2)。
また、永久歯の先天性欠如は10.1%と思いの外多いです。乳歯が生えそろっていたとしても、永久歯が生えずに歯の本数が少なくなることもあります。
治療することで対応できるので、慌てずに歯科医に相談してくださいね。
乳歯や永久歯の本数が足りないときの治療法は?
乳歯や永久歯の本数が足りないときには、年齢や状況に応じて治療を選択します。
赤ちゃんのうちは、先天性欠如で乳歯の本数が少ないときでも、永久歯が足りないとは限らないため、経過をみていくことがほとんどです(※3)。
ただし、乳歯の本数が少ないときには永久歯も少ないことが多いので、まずは歯科医に相談するようにしましょう。レントゲン撮影を行い、以下のように対処していくことになります。
乳歯をできるだけ残す
顎の成長が落ち着き、矯正治療が可能になる頃までは、今ある乳歯を残すように治療を行います。
乳歯は虫歯になりやすいため、家庭での歯磨きに気をつけながら、定期的な歯科医でのケアが必要になります。
矯正治療を行う
矯正治療を行うかどうかは、顎のバランスや噛み合わせなど、歯の状況によって判断されます。生えるべき永久歯が生えたら歯並びを矯正していきます。
インプラントや入れ歯で補う
乳歯を可能な限り保ち、矯正治療で歯並びを整える治療を行いますが、歯が多数足りないときには、インプラントや部分入れ歯での治療に切り替えます。
切り替え時期はだいたい20歳前後で、骨の成長が止まることを待って歯を補う治療法を検討します(※4)。
乳歯の本数が多いこともある?
上顎の真ん中から小さい歯が生えて、乳歯の本数が多いこともあります。
過剰な歯は基本的に抜歯によって対応します。抜歯を行うかどうかは、永久歯が生え変わる際に邪魔にならないかがポイントで、歯並びを悪くする可能性があれば早めに抜歯することを選択します。
乳歯から永久歯への生え変わりではなく、前歯あたりに歯がもう一本見え始めるようなことがあれば、小児への対応も行っている歯科を受診するようにしましょう。
乳歯の本数を保つのに大切な虫歯対策は?
乳歯の状態は永久歯の生え方に影響するため、乳歯の段階でいい歯の状態にしてあげる必要があります。以下のような虫歯対策をしてくださいね。
糖分の高い飲み物や食べ物はなるべく控える
ジュースやスポーツドリンクのような糖分が高い飲み物や甘いものを摂り続けると、口の中は虫歯ができやすい環境になります。
糖分の高い飲食物はなるべく控えて、水分はお水やお茶を飲ませてあげてくださいね。
小さいうちから歯磨きに慣れさせる
上の前歯やだんだん生えてくる奥歯は唾液があたりにくく、歯の溝に垢がたまりやすいこともあって虫歯になりやすいといわれています。
虫歯になった乳歯を放置して重症化すると、永久歯が生えてきたときに、歯の変色や虫歯のリスクが高くなる可能性があります。
虫歯で乳歯を失ってしまうと、噛み合わせや歯並びにも影響が出てきます。
この時期から歯磨きをしっかりして虫歯の予防をすることで、永久歯がしっかりと生えてこられるようにサポートしてあげてくださいね。
乳歯の本数を保つ、歯のケアを嫌がるときはどうする?
赤ちゃんは好奇心が旺盛なので、落ち着きがなく、ゆっくり歯を磨くのは難しいですよね。まず、できるだけ短時間で磨くようにしてみましょう。
嫌がって泣いているのに無理をして磨き続けると歯磨きが嫌いになってしまい、ますます歯磨きを習慣づけることが難しくなります。
「こわい虫歯になるよー」などと怖がらせるのではなく、絵本やテレビなどを見る、歌を歌ってあげるなどして、赤ちゃんにとって楽しい雰囲気を作ってあげられるといいですね。
乳歯が虫歯にならないようケアしてあげよう
乳歯は永久歯が生えるサポートをしてくれる大切な役目があります。乳歯の本数が保たれるように、赤ちゃんの歯が生え始めたら、しっかりとケアしてあげてくださいね。
監修医師:歯科医師 角田 智之
1992年に明海大学卒業後、日本大学医学部歯科口腔外科にて診療に従事。久留米大学医学部口腔外科などを経て、2008年に開業。現在は福岡市博多区にて診療を行う。予防歯科や心理的要因にて発症するといわれている舌痛症を専門的に診察している。
※1 厚生労働省「子ども家庭総合評価表」
※2 日本臨床矯正歯科医会「ご存じですか?10人に1人の子どもに足りない歯があるってこと」
※3 日本小児歯科学会「子どもたちの歯並び・かみ合わせの治療に関するQ&A Q5 歯が足りないといわれました。どうすればいいでしょうか?」
※4 日本小児歯科学会「中学生・高校生 Q6 大人の歯がないと言われていましたが、乳歯がぐらぐらで抜かなければならなくなりました。今後は歯のない部分はどうしたらいいでしょうか?」