大人は咳払いなどで痰を出すことができるものの、赤ちゃんは自分で痰を出すことができません。赤ちゃんや新生児が痰で苦しそうにしていると、すっきりさせてあげたくなりますよね。
そこで今回は、赤ちゃんや新生児に痰が絡んだときの痰の出し方などの対処法、痰の絡んだ咳が出たときの注意点、病院を受診する目安などをご紹介します。
赤ちゃんは痰が絡みやすい?ゼロゼロするのはなぜ?
赤ちゃんや新生児は気道が狭く、咳払いなどができないので、大人よりも痰が絡みやすいです。痰が喉の奥にとどまってしまうと、呼吸するときにゼロゼロと息苦しそうになることがあります。
痰は常に分泌されていますが、気道の表面から再び吸収されたり、喉まで上がってきた痰を無意識に飲み込んだりしているため、普段意識することはあまりありません(※1)。
ただし病気にかかると、痰はウイルスや細菌と戦った白血球の死骸を絡め取って、のどや気管などから排出するために量が増えて粘り気も出るため、絡みやすくなります。
赤ちゃんや新生児の痰の出し方や対処法とは?
赤ちゃんや新生児は自力で痰を出せないので、以下のような5つの対処法を試してみましょう。
部屋を加湿する
室内が乾燥していると、喉も乾燥します。喉が乾燥すると痰の量が増えて痰を出しにくくなるので、室内の湿度を高めに保つようにしましょう。
加湿器を使ったり、洗濯物を室内に干したりして、湿度を保つ工夫をしてくださいね。
水分で喉を潤す
喉が渇いているときに咳をしても痰は取れにくいですよね。
赤ちゃんや新生児が痰が絡んで苦しそうなときは、常温の湯冷ましや麦茶、あるいは母乳やミルクなどを多めに飲ませましょう。冷たい飲み物は気管を収縮させるので控えてくださいね。
背中を軽く叩く
赤ちゃんや新生児が咳をしたときに背中を軽く叩くと、喉に張りついている痰が振動して出やすくなります。胸や背中をさすってあげるのも効果的です。
咳と一緒に痰が出せるように、赤ちゃんや新生児の咳のタイミングを見ながら軽く叩いてあげてくださいね。
姿勢を変える
赤ちゃんや新生児が痰が絡んで寝苦しそうにしているときは、寝る姿勢を変えてあげましょう。
吐き戻し防止枕などを赤ちゃんの上半身の下に敷いて上体が少し起きるようにすると、咳が軽減することがあります。
首が据わっている赤ちゃんであれば、横向きで寝かせてあげるのも有効です。
鼻水を吸引する
赤ちゃんや新生児が鼻水を出しているようであれば、吸引してあげるのもおすすめです。
家庭でできる鼻水吸引器も市販されているので、用意しておくと風邪を引いたときに重宝しますよ。ひどい場合は、病院に行って、医療用の本格的な機械で鼻水吸引をしてもらいましょう。
ただし鼻水の吸引は詰まってつらそうな時だけにしてください。過度に行うと粘膜を傷つけることがあります。
赤ちゃんや新生児の痰が絡む咳はどうして起こる?
赤ちゃんや新生児の痰の絡む咳の多くは風邪によるものです。風邪を引くとネバネバした鼻水が喉へ落ち、痰のように絡んでしまいます。
咳をすると痰は喉元の上のほうに上がりますが、赤ちゃんや新生児は吐き出せないため、そのまま痰を飲み込んでしまいます。
一時的に痰の絡みは取れますが、時間が経つとまた、ゴホゴボと湿った咳をし始めます。
赤ちゃんや新生児が痰の絡んだ咳をしていたら、発熱や喘鳴(ゼーゼー、ゼロゼロと音がする)がないか確認してください。
発熱や呼吸が苦しい様子があればRSウイルス感染などによる細気管支炎や肺炎の可能性もあるので早めに小児科を受診しましょう(※1)。
赤ちゃんや新生児の痰が黄色い!これは治りかけ?
通常の痰はサラサラとした水っぽい状態で、無色透明です。
ところが、細菌に感染してしまうと黄色や緑色の痰になることがあります(※2)。
呼吸が早い、全身を使った呼吸をしている、熱がなかなか下がらない、食欲がないといった症状がある場合は、早めに小児科を受診するようにしましょう。
赤ちゃんや新生児の痰の絡みは病院で吸引できる?
赤ちゃんや新生児の痰の絡みがひどい場合は、病院で吸引してくれることがあります。
ただし、絡んだ痰を吸引するのは難しく、また新しい痰が絡むこともあるので、病院に行ったからといってすぐに痰の症状が良くなるということはありません。
そのため、まずは痰が起きている原因を治療しつつ、痰を切る飲み薬が処方してもらえることが多いです。
赤ちゃんや新生児の痰の症状がひどくなってからだと、治るのにも時間がかかります。痰の症状が気になったら、早めに受診してくださいね。
赤ちゃんや新生児の痰が絡む咳は早めの対処を!
痰が絡むのは不快で、赤ちゃんも常にぐずっているような状態になります。赤ちゃんや新生児に痰が絡む咳が現れたら、早期対処を心がけましょう。
赤ちゃんや新生児に痰を出しやすくする対処法をしてあげて、少しでも楽にしてあげてくださいね。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
※1 日本呼吸器学会 「呼吸器Q&A Q2せきとたんが3週間以上続きます」
※2 日本呼吸器学会「呼吸器Q&A Q6 黄色または緑色のたんが出ます」