うなぎやレバーは栄養価が高く、体に良いイメージがありますよね。妊娠中には控えたほうが良いと耳にして、理由が気になっている人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、妊娠中はうなぎやレバーを控えたほうがいい理由や食べてもいい量、食べ過ぎた場合のリスクについてご紹介します。
妊娠中はうなぎやレバーを控えたほうがいい理由は?
うなぎやレバーには、ビタミンAの一種であるレチノールが豊富に含まれています。
レチノールは目や皮膚、粘膜の健康に保つために妊娠中にも欠かせない栄養素ですが、過剰に摂取してしまうと胎児が奇形・先天異常などの障害を持った状態で生まれてくる可能性が高まるといわれています(※1,2)。
うなぎやレバーは栄養価が高く、つい積極的に食べたくなりますが、妊娠中は摂取量に気をつけるようにしましょう。
妊婦はうなぎやレバーを1日どれくらい食べられる?
妊婦さんの1日のビタミンA推奨量は妊娠時期や年齢によって異なり、650~780μgRAE、1日の摂取上限量は2,700μgRAEとされています(※3)。
鶏レバーや豚レバーは約5g、うなぎのかば焼きは約50gで推奨量に達します。
特にレバーはレチノールを豊富に含んでいるので、焼き鳥(25g)を1本食べただけで上限量を超えてしまいます。
妊娠中は以下の食品のレチノール量を参考にしながら、摂取量に気をつけてくださいね。
食品100g当たりのレチノール当量(※2)
● 鶏レバー(生):14,000μg
● 豚レバー(生):13,000μg
● 牛レバー(生):1,100μg
● やつめうなぎ(生):8,200μg
● うなぎのかば焼き:1,500μg
● ぎんだら(生):1,100μg
● あなご(生) :500μg
● 鶏卵全卵(ゆで) :130μg
● プロセスチーズ :260μg
妊娠初期はうなぎやレバーを食べてはいけないの?
妊娠初期には胎児の重要な器官が作られているため、食品や薬などで奇形を引き起こしやすい時期です(※4)。
そのため、特に妊娠15週まではうなぎやレバーはなるべく控えておくと安心です。
ただし、少し食べてしまったからといってすぐに悪影響を及ぼすわけではありません。
1日の摂取推奨量や上限量を参考に、食べ過ぎたら週単位、月単位で食べる量を調節するようにしてくださいね。
授乳中もうなぎやレバーを控えたほうがいい?
出産後は、授乳中であってもうなぎやレバーを食べても問題はありません。
うなぎやレバーは栄養価が高く、たんぱく質も多く含んでいるので、出産後の女性にはおすすめの食品です。
特にレバーは、出産後の女性の7割が不足しているといわれる鉄分を補ってくれる力強い味方になります。
ただし、食べ過ぎはレチノールの過剰摂取になってしまうことに変わりがありませんので、バランスよく食べるように注意してくださいね。
妊娠中はうなぎやレバーは量を控えよう
妊娠中にうなぎやレバーを食べるときは、摂取上限量に気をつけて、一度にたくさん食べ過ぎないようにすることが大切です。他の食品との栄養バランスにも気をつけつつ、健康的なマタニティライフを送れるといいですね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の素材情報データベース ビタミンA(レチノール)
※2 内閣府 食品安全委員会 ビタミンAの過剰摂取による影響
※3 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
※4 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』p.385