多くの赤ちゃんに起きる肌トラブル「乳児湿疹」。赤ちゃんによって現れる症状もさまざまですが、強いかゆみがあると、掻きむしったり、寝つけなかったりしてかわいそうですよね。
そこで今回は、乳児湿疹のケア方法や、かゆみがひどいときの対処法についてご紹介します。
赤ちゃんの乳児湿疹とは？
乳児湿疹とは、新生児期～乳児期の赤ちゃんの肌に現れる湿疹の総称です。
具体的には、乳児脂漏性湿疹、新生児ニキビ、乾燥性湿疹などがあり、それぞれ以下のような特徴があります。
乳児脂漏性湿疹・新生児ニキビ
生後2〜3ヶ月頃までの赤ちゃんは、ママから受け継いだホルモンの影響で皮脂の分泌量が多くなっています（※1）。
毛穴が小さく皮脂が詰まりやすいことから、「乳児脂漏性湿疹」や「新生児ニキビ」ができることがあります。
乳児脂漏性湿疹は、クリーム色のフケのようなものや黄色いかさぶたのようなものが頭皮やおでこ、まゆ毛、頬などに現れます。かゆみはそれほど強くありません。
新生児ニキビは、生後1ヶ月くらいまでの間によく見られる乳児湿疹で、白い芯が入っているような吹き出物や赤いブツブツが、顔や頬、おでこなどに現れます。
乾燥性湿疹
生後3ヶ月を過ぎてくると皮脂分泌量は落ち着いてきて、肌が乾燥してきます。この乾燥に肌が耐えられなくなると、炎症を起こし、「乾燥性湿疹」になります。
生後3ヶ月以降に見られる乾燥性湿疹は、お腹や背中などの面積が広い部分、頬や手足などの露出していて外気に触れやすい部分に起こりやすく、肌がひび割れしたり粉をふいたような状態になったりします。
乳児湿疹のケア方法は？
乳児湿疹は以下を参考に、毎日ケアをしてあげてくださいね。
乳児脂漏性湿疹・新生児ニキビのケア方法
乳児脂漏性湿疹や新生児ニキビは主に皮脂の詰まりによって起きるので、入浴の際に赤ちゃん用の石鹸やボディソープをしっかり泡立てて、丁寧に洗ってあげましょう。
シーツや枕カバーなどの肌に長時間触れる寝具をこまめに交換して、清潔さを保つことも大切ですよ。
また、乳児脂漏性湿疹でかさぶたができていたら、無理に剥がそうとせず、ベビーオイルやオリーブオイルをつけたコットンを10分ほど患部に当ててください。
かさぶたがふやけてきたらとって、しっかりと洗ってあげましょう。
乾燥性湿疹のケア方法
乾燥性湿疹ができた場合は、赤ちゃん用の保湿クリームや乳液を患部に塗り、肌の状態を整えてあげましょう。
保湿は肌にティッシュが貼り付くくらいを目安に、こまめに行ってくださいね。また、加湿器を使ったり、洗濯物を部屋干ししたりして、部屋の湿度を下げないようにしましょう。
乳児湿疹で病院へ行く目安は？
赤ちゃんがかゆくて泣き続けたり、発疹が全身に広がり症状が悪化していたりする場合は早めに病院を受診してください。
かゆみが強い場合、放置しておくと赤ちゃんが無意識に掻き壊して、細菌感染を起こしてとびひを引き起こしてしまうことがあります。
赤ちゃんが掻いてしまった場合に患部への傷を防ぐために、爪は短く切っておいてくださいね。
病院では、症状に合わせて赤ちゃんでも使えるステロイド系の薬が処方されることもあります。医師の指示に従って使用すると早く炎症がおさまりますよ。
乳児湿疹のかゆみがひどいときは受診しよう
赤ちゃんが乳児湿疹のかゆみで苦しんでいるときは、患部を冷やしてかゆみを和らげながら病院を受診しましょう。乳児湿疹による肌トラブルには、医師の指示のもと適切に対処してあげてくださいね。
監修医師：小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
※1 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021」
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