産後の生理はいつから再開されるの?初めてのときの出血量は?

妊娠中から産後しばらくは生理がないので、いつから再開するか知っておきたいですよね。出産すると、妊娠前と痛みや出血具合に違いがあるのかも気になっているのではないでしょうか。

そこで今回は、産後の生理はいつから再開するのか、産後初めての生理の出血量、生理がなかなか再開しない場合の理由などをご紹介します。

産後は生理が止まるの?

女性の体は、産後しばらくの間は生理が止まるようにできています。これは、産後に分泌される「プロラクチン」と呼ばれるホルモンが関係しています(※1)。

プロラクチンは母乳を分泌する作用がある一方で、卵巣の機能を抑制して排卵を止める働きがあります。赤ちゃんが母乳を飲めば飲むほど、おっぱいを吸う刺激によってプロラクチンの分泌量が増えます。

プロラクチンが多く分泌されている間は基本的に排卵が起こりにくいため、生理が来なくなります。

産後の生理はいつから再開する?母乳・ミルク・混合育児で違いがあるの?

完全母乳育児をしていると、プロラクチンの分泌量が多くなるため、生理が来ない期間が長くなる傾向があります(※1)。

ただし、母乳育児中に生理が絶対に来ないというわけではなく、卒乳・断乳前に生理が再開する人も多くいます。

一方で、完全ミルクや混合育児の場合は、プロラクチンの分泌量が少なくなりやすいため、完全母乳育児よりも早く排卵が再開する傾向があります。

産後の生理の再開時期の大まかな目安は、以下のとおりです。

● 完全母乳育児の場合
約1/3の人が産後4ヶ月までは再開します(※2)。ただし個人差が大きく、産後6ヶ月以降に再開する人もいます。

● 混合育児の場合
母乳を与える頻度が多いほど完全母乳育児の場合と近い時期に、少ないほど完全ミルク育児に近い時期に、生理が再開します。

● 完全ミルク育児の場合
平均で産後2ヶ月頃までに、9割以上の人が産後4ヶ月までには生理が再開します(※2)。

● 卒乳・断乳した場合
卒乳・断乳をすると、約9割の人が6週間以内に生理が再開します(※2)。

産後の生理は経血量や周期、痛みが違うの?

産後に生理が再開すると、経血量や生理中・生理前後の症状などが妊娠前と変わることもあります。特に産後最初の生理では、経血量が少ないと感じる人も多いようです。

またホルモンの影響で、「産後4ヶ月頃に一度再開したけど、その次に来たのは数ヶ月後だった」など、生理周期が乱れる人もいます。

一般的に産後は、妊娠前に比べて生理痛が軽くなるといわれていますが、医学的な理由は明らかになっていません。

育児の疲れやストレスなどによって、妊娠前より生理痛が重くなったという人もいます。

「生理再開=ホルモンバランスが完全に元に戻った」ということではないので、産後の生理に変化が見られるのは珍しいことではありません。

ただし、妊娠前の生理より痛みや不快症状が明らかにひどいときは、早めに婦人科を受診してくださいね。

産後に生理が来ない…ストレスが原因?受診の目安は?

産後1年経っても生理が来なかったり、卒乳したのになかなか再開しなかったりすると心配になるかもしれません。

しかし、生理の再開時期は、出産回数や年齢、健康状態、ホルモンバランス、授乳状況などさまざまな要因によって決まるものなので、平均よりも遅く来ることもあります。

また、ストレスが原因で生理が来ないということはよくあることです。

特に産後は、育児のストレスや疲れ、生活サイクルの乱れからホルモンバランスが崩れやすく、生理の再開が平均より遅れることもあります。

産後の生理再開の時期は人それぞれなので、どれくらい来なければ受診するべきという明確な基準は決まっていませんが、「生理が再開しなくて心配…」という場合は、早めに産婦人科に相談してみてくださいね。

産後の生理再開は個人差がとても大きいもの

産後の生理再開は、母乳育児かミルク育児かなどによって個人差が非常に大きいものですが、どのケースでも基本的には再開するまでに少なくともおおよそ2ヶ月前後はかかります。

しかし、生理が再開してないからといって妊娠しないわけではありません。生理再開前の排卵と性交のタイミングが重なれば、生理再開前に妊娠する可能性もあり得ます。産後すぐに妊娠を希望していない場合は必ず、避妊をするようにしてくださいね。

監修専門家:助産師 佐藤 裕子

助産師 佐藤裕子さん
日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助産院では、日々多くのママたちからの母乳相談や育児相談を受けています。具体的に悩みを解決でき、ここにくると安心してもらえる、そんな助産師を目指しています。

※1 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』p.368-370
※2 メジカルビュー社『プリンシプル産科婦人科学 産科編 第3版』p.172

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