妊娠してから、なんとなくイライラしやすくなったと感じる人は多いのではないでしょうか。自分では制御できない変化に戸惑っているかもしれませんね。
そこで今回は妊娠初期のイライラの原因やストレスとの関係、胎児への影響、対処法についてもご説明します。
妊娠初期にイライラするのはなぜ?ストレスのせい?
妊娠初期の女性の約8割がイライラを感じたという報告があります(※1)。
妊娠初期には、主に以下のような理由でイライラしやすくなります。
妊娠に伴う体の変化
妊娠すると、体内のホルモンバランスが急激に変わることで心や体の状態に変化が現れます。
特に妊娠初期はホルモンバランスが最も大きく変化するタイミングなので、影響が大きく精神的に不安定になってイライラしやすくなります。
つわり
つわりは一般的に妊娠5~6週頃から現れ、妊娠12~16週頃まで続くとされています。症状には個人差があるものの、吐き気や嘔吐、食欲不振などが起こります(※2)。
つわりがひどいと体調の悪さに加え、体力を消耗して余裕がなくなり、イライラの原因になってしまいます。
妊娠・出産への不安
妊娠初期は赤ちゃんが順調に成長してくれているかがわかりにくく、流産したらどうしようと心配になる人もいます。
特に食べ物や薬などへの不安も感じやすい時期で、我慢をしたり、気にしたりすることでストレスを感じてしまう人も多いです。
環境の変化
妊娠初期はまだ周囲に妊娠報告をしていない人が多いでしょう。職場などに妊娠の報告をできないもどかしさがストレスになってしまうこともあります。
一方で妊娠を報告した両親など、周囲からの干渉でストレスを感じることも。
妊娠すると環境や周囲との関係が変化せざるを得ないことも多く、それがストレスとなってイライラを引き起こします。
パートナーとのすれ違い
妊婦さんはめまぐるしい心身の変化が起こりますが、パートナーが妊娠前と変わらない生活を送っていると、すれ違いが起こることも。
つらいときに寄り添ってもらえないとイライラしてしまうこともあります。
妊娠初期のイライラはいつまで続くの?
妊娠初期のイライラはさまざまな原因が引き起こしていますが、ホルモンバランスが落ち着く安定期(妊娠16週以降)に入る頃までには落ち着いてくるのが一般的です。
安定期にはつわり症状があった人も落ち着いてくることが多く、妊娠生活に慣れて精神的にも安定するのも大きな要因です。
ただし人によっては、体調や環境の変化などでイライラが出産するまで続くこともあります。
毎日少しでもいいのでリラックスできる時間を作り、なるべくストレスをためないように心がけてくださいね。
妊娠初期のイライラは赤ちゃんに影響を与える?
妊娠初期にイライラしていたからといって、赤ちゃんにすぐ悪影響を与えることはありません。しかし、日々のストレスが大きく、イライラがずっと続くようなら注意が必要です。
イライラが続くと、睡眠時間が不足したり、食事をしっかり取れなかったり、生活習慣が不規則になってしまうことが考えられます。
たとえば、ストレスを解消するために甘いものを食べすぎて太りすぎると、妊娠糖尿病などのリスクが高まることもありえます。
妊娠糖尿病は、早産の可能性を高めたり、母体や胎児の発育に影響を及ぼしたりするおそれがあります(※2)。
また反対にストレスで食べられなくなって痩せすぎることも、胎児の発育に影響がある可能性も。
お腹の中の赤ちゃんが健康に育つためには、妊婦さんがイライラをためこまないようにすることが大切です。
妊娠初期のイライラ対策は?ストレスを解消するには?
妊娠初期にイライラしてしまうのは仕方がないことなので、以下のような方法で上手にストレスを解消しましょう。
話を聞いてもらう
一人で不安や悩みを抱え込むとストレスがたまってしまいます。誰かに打ち明けるだけでも気持ちが落ち着きますよ。
話すことで心の中が整理できて、ストレスへ対処しやすくなります。
軽く体を動かす
妊娠初期の激しい運動はおすすめできませんが、気分転換で散歩に出かける程度なら問題ありません。体調が良いときは軽く体を動かすとストレス解消につながります。
妊娠中ならではの作業に没頭する
子ども服をハンドメイドで作ったり、エコー写真のアルバム作成をしたりするのもおすすめです。指先を動かして集中していると、イライラを忘れられますよ。
カラオケに行く
カラオケで大きな声を出すのも、体の負担が少なくストレス発散できておすすめです。子どもが生まれてからは行く機会も減ってしまいがちなので、今のうちに楽しんでくださいね。
妊娠初期はイライラしやすいことを知ってもらおう
妊娠は女性の体や心に大きな変化をもたらします。特に妊娠初期は、パートナーや周囲の目に見えない部分に変化があるため、症状が伝わりにくく、つらい思いをする妊婦さんが多いようです。
しかし、妊娠初期の変化を家族が理解してくれることは、妊婦さんにとって大きな支えになります。ぜひパートナーなど周りの人には、妊娠初期のイライラしやすい原因を知ってもらい、一緒につらい時期を乗り越えられるといいですね。
監修専門家:助産師 鶴町 はるな
茨城県立中央看護専門学校助産学科卒業後、総合周産期センターの産婦人科・NICU勤務を経て、クリニックでのフリースタイル分娩や無痛分娩にも携わってきました。現在は産後ケアや母乳外来を中心に活動しています。お母さんと赤ちゃんに寄り添いながら、妊娠生活や出産、育児が楽しめるようなサポートを心がけて、日々働いています。現在、IBCLC(国際ラクテーションコンサルタント)取得のために奮闘中です。
※1 日本助産学会「現代の妊婦のマイナートラブルの種類,発症率及び発症頻度に関する実態調査」
※2 メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』p.42,76,82-83,98