2歳になると、少しずつ言葉をしゃべり始めたり、一人でできることが増えたりしますよね。新しいことをどんどん吸収していくこの時期に、挨拶や食事のマナーなどしつけをしっかりしたいと考えるママ・パパも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、2歳児のしつけについてポイントやコツ、注意点をご紹介します。
2歳児にはどんな特徴があるの?
2歳児の成長や発達の特徴には、主に以下のようなものがあります。
● 2語文を話したり簡単な質問をしたりするようになる
● ジャンプしたり走ったりと活発に動くようになる
● スプーンやフォークで食事をしたり、鉛筆やペンを握って紙に線を書いたりできるようになるなど
子どもの成長や発達には個人差が大きいため、上記のような特徴がみられなかったり、周りの子と比べて成長・発達が遅いと感じたりしても、健診などで指摘されていなければ問題はありません。
2歳児は一人でできることが増えるため、自分のことは自分でやりたいという欲求が生まれます。
同時に、思うようにできなかったり、言葉でうまく伝えられなかったり、求めている反応と違うものが返ってきたりするとイライラして、何に対しても「イヤだ」と反抗することが多くなります。
これは第一次反抗期で、「イヤイヤ期」や「魔の2歳児」とも呼ばれます。
2歳児にしつけは必要なの?
「しつけ」は、各家庭によって考え方がさまざまですが、一般的には、子どもの成長過程にあわせて、挨拶や礼儀、マナーなどを教えることをいいます。
しつけは、子どもが何歳になったら始める、何歳になったらやめる、というものではありません。
0歳でも、おしっこをしたらおむつを替える、スプーンを使って離乳食を食べさせるなど、大人がふだん行っているお世話が、トイレでおしっこをする、マナーを守って食事をする、という基本的なしつけにつながっていきます。
1歳を過ぎると、大人の表情を見て、「やってはいけないこと」「危険なこと」がわかるようになってくるので、少しずつ言葉や行動で伝えながらしつけができるようになります。
さらに2歳になると、少しずつ言葉をしゃべるようになり、大人の言っていることをある程度理解できるようになるため、しつけを習慣づけるのにぴったりの時期といえるでしょう。
2歳児をしつけるときのコツやポイントは?
2歳になってイヤイヤ期を迎えていると、しつけをするのが大変と感じる人も多いですよね。下記のコツやポイントを心がけるとスムーズに進みやすいですよ。
日々の生活の中でしつけをする
しつけはすぐに身につくものではありません。毎日の生活の中で継続的に言葉や行動で伝えて、子どもに理解させることが大切です。
たとえば、家で食事中に子どもがスプーンを振り回したときは何も言わないのに、レストランで同じことをしたときだけ「やめなさい」というのでは、しつけになりません。
また、「あのときスプーンを振り回したけど、よくないよ」と、しばらく時間が経ってから言うのも2歳児には通用しません。
日々の生活のなかでしつけが必要なときがあったら、場所や状況に関係なく行うようにしましょう。
大人が手本を見せながらしつけをする
子どもは親の行動を真似しながら育ちます。特に2歳になるとママやパパが楽しそうにしていることは真似したがるようになります。
寝る前の歯磨きを習慣づけたいときは、「ママとパパも歯をピカピカにしよう」と言って歯磨きを始めると、子どもも真似してやってみたいと思うものです。
まずは大人が正しいお手本を示すことも、しつけでは大切なことです。
目的を持ってしつけをする
しつけをするときは、「このようにしつけをしたら子どもにどのような影響があるか」といった目的を考えるようにしましょう。
玄関で靴を脱いだら揃えることは、しつけの基本ともいえますが、その目的をしっかり考えて子どもに教えることがポイントです。
つい、「訪問先で子どものしつけができていないと思われたくない」と考えてしまうこともあるかもしれませんが、それ以前に、左右の靴がバラバラで置かれていたり、脱いだときの方向のまま置かれていたりすると、誰もが気分がいいものではありません。
「心地よく過ごすためには自宅でも訪問先でも靴は揃える」といったシンプルな目的で構わないので、どうしてしつけをするのかを一度考えてから実践してみましょう。
2歳児のしつけで「叱る・叩く」はだめ?
しつけをするときは、大人が冷静になることも大切です。ついイライラしたり焦ったりしてしまいがちですが、下記の点に注意しながらしつけをしてくださいね。
叱らない
「しつけをすること」と「叱ること」は別なので、しつけをするときは叱るのではなく、言葉で説明をしたりお手本を見せたりするようにしましょう。
ただし、子どもが自分自身や友達を危険にさらすような行為をしようとしていたら、しっかり叱ってください。危ないことをしようとしたら本気で怒られるという経験を積むことによって、やってはいけないことを自然と理解するようになります。
叱るときは、怒鳴りつけたり叩いたりするのではなく、「何がいけなかったのか」を説明するにしましょう。
叩かない
子どもがなかなか言うことを聞かないと思わず手が出てしまうことがあるかもしれませんが、叩くことは絶対に避けてください。
叩かれると子どもは恐怖心を覚え、「なぜ自分が叱られたのか」を考える余地がなくなってしまいます。また、「悪いことをしたら叩かれる」と認識してしまうと、友達に嫌なことをされたときに暴力で対処してしまうおそれもあります。
しつけるときや叱る必要があるときは、ゆっくり丁寧に言葉で説明するように心がけてみてくださいね。
ママとパパで協力する
子どものしつけについて、ママとパパで共通の認識を持っておくことも大切なことです。
たとえば、どちらかが時間をかけてしつけようとしても、もう一方が感情的に一喝しては、しつけ方法が全く違うため、子どもが混乱してしまいます。
ママとパパで協力しながら子どもをしつけられるように、しつけ方法や教育方針について話し合う機会を作れるといいですね。
上達が遅いことを指摘しない
子どもが毎日のように食べこぼしをしたり、歯磨きを嫌がったりすると、「なんできちんとできないの」とついつい怒ってしまいがちです。
しかし、子どもも自分なりに努力をしていて、まだきちんとできるレベルに達していないから失敗続きになっているのかもしれません。
自分ができないことを指摘されると向上心が奪われ、その行為そのものが苦痛になって、しつけどころではなくなってしまうこともあります。
できないことを注意するのではなく、どうしたらできるようになるのかを教えてあげるようにしましょう。
今までできなかったことができるようになったときは、思いきり褒めてあげてくださいね。
2歳になったら、しつけについて考えよう
子どもへの愛情があるからこそ、親はしつけをしたいと思うもの。子どもも、大好きなママやパパから教えてもらったことは、知らず知らずのうちに身についているものです。
反抗的になったり活発に動き回ったりする2歳児の子育ては何かと大変ですが、さまざまなことを吸収する時期だからこそ、大人がお手本を見せながら上手にしつけをしていけるといいですね。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。