赤ちゃんが母乳やミルクを飲んでいると、それ以外に水分補給は必要ないのかと疑問に思うかもしれませんね。赤ちゃんにはいつ、どんなときに水分補給をしてあげればいいのでしょうか。
今回は、赤ちゃんの水分補給について、タイミングや量、水分補給するときの注意点などをまとめました。
赤ちゃんの水分補給は必要?
赤ちゃんの水分補給には、基本的には離乳食が始まる頃までは母乳やミルクで十分とされています。
離乳食が始まってミルクや母乳を飲む量が減ってきたら、水や赤ちゃん用の麦茶などで水分補給をしてあげるようにしましょう。
はじめは母乳やミルクと味が違うためびっくりして嫌がることもありますが、徐々に慣れていきますよ。
赤ちゃんが水分補給をするタイミングは?
赤ちゃんは大人よりも体重あたりの水分量が多いので、大量に汗をかくと脱水症状になりやすいです。体温調節の機能もまだ未熟なので、大人よりも注意が必要になります。
赤ちゃんに水分補給が必要かどうかを知るわかりやすい目安は、おしっこの回数です。
水分が足りなくなるとおしっこの回数が減るので、普段おむつ替えをするタイミングでおしっこをしていなければ、水分が足りていない可能性があります。
特に、以下のようなタイミングでおむつチェックをしてみましょう。いつもより明らかに汗を大量にかいていれば、チェックしなくても水分を与えてくださいね。
● 外出後
● 沐浴やお風呂上り
● 夏場の外出中
● 汗を大量にかいたとき
● 発熱しているとき
● 下痢や嘔吐をしているとき
● 咳や鼻水がひどいとき
● 泣いたあと
赤ちゃんにはどれくらい水分補給すればいいの?飲まないときは?
乳児が1日に必要な飲水量は、体重1kgあたり30〜50mLとされています(※1)。
ただし、毎日細かく量を気にする必要はありません。母乳やミルク、白湯や麦茶の量は、赤ちゃんが飲みたいだけ飲ませてあげましょう。
喉が潤って満足すれば、自然と口を離します。口元におっぱいや哺乳瓶の乳首、コップのふちを当てても顔を背けるようであれば、無理に飲ませず切り上げてくださいね。
もし赤ちゃんに水分補給したくても嫌がって飲まないときは、無理に与える必要はありません。
そのときの気分もあるので、少し時間を空けてたり、飲みものを変えて試してみたりしてみましょう。
水分を飲まない状態が続くと脱水のおそれがあるので、早めにかかりつけの小児科を受診してくださいね。
赤ちゃんに水分補給するときの注意点は?
赤ちゃんに水分補給するときは、以下の点に注意してあげましょう。
水や麦茶以外はなるべく控える
赤ちゃんにはジュースなどの甘い飲み物は与える必要はありません。
熱中症の際などに飲ませるイオン水は体に良さそうなイメージがありますが、糖分を多く含んでいるので日常的には与えないようにしてくださいね。
カフェインも赤ちゃんには刺激が強いので、ウーロン茶や煎茶、緑茶などは避けて赤ちゃん用の麦茶などを選ぶようにしましょう。
ミネラルウォーターは軟水を選ぶ
市販の水は産地によって「硬水」「軟水」と水の種類が異なります。「硬水」はミネラル分が多く、消化機能が未熟な赤ちゃんのお腹には負担となって下痢をすることもあります。
ミネラルウォーターを与える場合は、「軟水」を選んでくださいね。
水道水は煮沸して冷ましてから与える
日本の水道水は赤ちゃんでも飲める「軟水」に分類されます。ただし、水道水にはカルキ(残留塩素)などが含まれるため、赤ちゃんの体に負担がかかってしまう可能性があります。
水道水は、煮沸したあとに冷ましてから飲ませてあげましょう。
夏場は涼しい場所で水分補給する
赤ちゃんはおっぱいや哺乳瓶を吸うだけでも体力を消耗しています。暑い場所ではさらに体力を使ってしまうので、冷房がきいている場所に移動するなど、環境を整えてあげましょう。
飲み物は常温か、人肌くらいの温かさにする
飲み物は母乳やミルクと同じくらいの温かさを基本にしましょう。特に夏場の暑い日や大量に汗をかいているときは、勢いよく冷たい水を飲んでしまい、胃腸を刺激してお腹がゆるくなることもあります。
下痢や発熱したときは経口補水液を与える
下痢や発熱時は、脱水を効率よく予防できる経口補水液を与えてあげるのも一つの方法です。症状があるときだけ飲ませてあげてくださいね。
母乳育児中のママは自分の水分補給にも注意する
母乳育児中はママ自身が多くの水分を必要とします。特に夏場はいつもより汗をたくさんかくので、水分補給が大切です。
赤ちゃんのお世話をしていると自分のことは後回しになってしまいがちですが、意識的に水分を摂るように心がけてくださいね。
赤ちゃんの水分補給は様子をみながら与えてあげよう
赤ちゃんは脱水症状になりやすいとはいえ、普段から母乳やミルクがしっかり飲めていれば過剰に心配する必要はありません。
気温が高かったり、空気が乾燥していたりする場合は、環境の変化に合わせて赤ちゃんの様子を見ながら水分を与えてあげましょう。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。