「出血があり、いつも通りの生理だと思っていたら妊娠していた」ということがあると、驚きますよね。この場合、出血の原因は何だったのか気になる人が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、生理並みの出血の後に妊娠していた場合の原因や、受診の目安をご紹介します。
生理並みの出血のあとに妊娠していたら着床出血なの?
妊娠が成立した場合、普段の生理予定日になっても生理が来ないことで妊娠に気づくケースが多くあります。
そのため、妊活をしていて生理と同じような出血があると、今回は妊娠していなかったと判断するのが一般的です。
しかし、生理並みの出血のあとに妊娠検査薬を使ったら陽性反応が出た、というケースもあります。
このときの出血の原因の一つとして考えられるのが、「着床出血」です。
着床出血とは?
「着床出血」とは、卵子と精子が受精し、受精卵が子宮内膜に着床するときに起こる、軽い不正出血のことです。
妊娠検査薬で陽性反応が出るのは一般的に妊娠5週頃ですが、着床出血は受精卵が着床する妊娠4週頃に起こるといわれています。
着床出血の有無や出血量、回数には個人差があり、妊婦さん296人を対象に編集部が行ったアンケート(※)によると、着床出血を経験した人は14.2%でした。
着床出血の際は、生理痛に似たお腹のチクチクするような痛みを伴うことがあり、生理と見分けることが難しいとされています。
生理並みの出血があった後に妊娠が判明すると不安になるかもしれませんが、着床出血は妊娠初期に起こる「妊娠初期症状」の一つとされているため、母体や胎児への心配は必要ありませんよ。
着床出血以外に妊娠判明の前後で出血する原因は?
妊娠判明前に起こる出血の原因の多くは着床出血といわれていますが、以下のような別の原因の可能性もあります。
化学流産(生化学的妊娠)
流産が起こったタイミングで、生理並みの出血を伴う場合があります。妊娠検査薬で陽性だったものの、超音波(エコー)検査で妊娠が確認できる前に流産した状態を「化学流産(生化学的妊娠)」といいます(※2)。
化学流産は珍しいことではなく、若い健康なカップルでも30〜40%の確率で起こるとされています(※3)。
化学流産では妊娠を継続できなかったものの、一度は着床しているため、妊娠検査薬が陽性反応を示すことがあります。
子宮外妊娠(異所性妊娠)
卵管や卵巣など、子宮内膜以外の場所で受精卵が着床する「子宮外妊娠(異所性妊娠)」が起こった場合も、妊娠検査薬で陽性が出ますが、この場合も妊娠を継続することはできません。
無症状の人もいますが、検査薬で陽性反応が出る前に軽い不正出血や腹痛を伴うことがあります。
胞状奇胎
「胞状奇胎(ほうじょうきたい)」とは、染色体異常により、胎盤などを作る細胞が異常に増えてしまった状態です。
出血などの症状が見られ、妊娠は継続できません。
生理並みの出血、受診の目安は?
妊娠判明の前後に起きた出血の原因が着床出血だった場合は問題ありませんが、他の原因との違いを見分けるのは難しいですよね。
明らかに生理のときより出血量が多かったり、腹痛を伴っていたりするときは、着床出血以外の原因を疑って産婦人科を受診しましょう。
出血のあとに妊娠検査薬で陽性を確認した場合、まだ産婦人科を受診していなくてかかりつけ医がいない人が多いかもしれませんが、原因によっては緊急の対応が必要になる場合もあるので、不安なことは病院で遠慮なく相談してくださいね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 メジカルビュー社『プリンシプル 産科婦人科学2 産科編 第3版』p.293-295
※2 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」
※3 日本産科婦人科学会「1. 生化学的妊娠(Biochemical pregnancy)の扱い方」
※アンケート概要
実施期間:2019年5月25日~5月29日
調査対象:妊娠11週目までの妊婦さん
有効回答数:296件
収集方法:Webアンケート