子どもを保育園に入れると、「なんで!?」と驚くような謎ルールに出会うことがあります。
そのひとつが、「キャラクターものは禁止」というルール(※すべての保育園にあるルールではありません)。
なぜキャラクターが使われているアイテムを園に持っていってはいけないのでしょうか?現役保育士の中村大我さんに、保育士としての目線から解説してもらいます。
保育園でキャラクター禁止の理由とは?
今日は保育園のお決まりとも言える、キャラクターものの禁止について話したいと思います。
保育園や幼稚園の中には、アンパンマンとかキティちゃんなんかで園のバスや園内をそのキャラクター一色に揃えているところなんかもあります。
しかしながら、園児の持ち物に関してはどこの保育園もキャラクターものを原則禁止しているところが多いものです。
これはいったいどうしてなんでしょうか?
その理由を調べてみると、「子ども同士のトラブルを防ぐ」「想像力がつきやすい環境作り」など様々な理由が挙げられています。
確かにその通りだと思います。
キャラクターは子どもたちにとって宗教みたいなものなのですから。
というわけで、その理由を詳しく説明していきましょう。
キャラもの禁止の理由1:
子どもの想像力を広げたいから
例えば「運動会で楽しかったこと」とか「遠足に行った絵を描きましょう」なんて活動をしたとします。
ところが、日常的にキャラクターものとばかり触れ合っている子だと、運動会や遠足に出てきてもいないアンパンマンを描くなんてことが結構あるんですね。
遠足に行った公園でアンパンマンと遊んだとか、運動会でドラえもんのダンスをしたとか。
「そんなことしていないよ」って言いたくなるような結果が待っています。
もちろん年長のクラスでそんなことを言う子はいませんが、想像力を働かせていろんなことをものを作って欲しい3、4歳児クラスの時にそういうふうになってしまうんです。
これはやっぱりとても良くないことで、
「自分の中の世界観が固定されてしまう」
「新しいことを考えられない」
「自分が体験した事を振り返ることができない」
といったことに繋がります。
やはりそういった面から考えると、キャラクターの世界観に捉われず、自由な発想で絵を描ける(作品を生み出せる)ことは大切なことなのかもしれません。
キャラもの禁止の理由2:
家庭と違う環境で成長してほしいから
家庭でキャラクターものがない環境を作るのは結構難しいと思います。
別にそんな環境が作れないからどうと言う話ではありませんが、せっかく保育園に通っているのですから、日常とは違った環境に身を置くのも良いでしょう。
そんな家庭とは違った環境で過ごすことは、いつもと違った発見や経験に繋がっていきます。
そういった経験を通して、新たな発見から成長へと繋げていってほしいのです。
キャラもの禁止の理由3:
自分だけの遊びで完結してほしくないから
これが最も大切なポイントです。
保護者にとってキャラクターは子どもたちを動かす力になります。
例えば「アンパンマンのスコップがあるから一緒に砂場遊びをしよう」と誘ったとします。そうすれば、子どもたちは喜んで砂遊びに参加するでしょう。
ところが、そのスコップがないと遊びは止まってしまいます。
このような場合、砂遊びに満足しているのではなく、スコップを持っていることに満足しているだけなのです。
そのため、友だちと「かして」「いいよ」のやりとりもできません。
そのスコップでないと砂場にいる意味は無いのです。
最初に宗教とは言いましたが、このように「そのキャラクターがいないとやらない」と遊びがそこから先に進まなくなることもあるんです。
まさに友だちとの関わりをシャットアウトしてしまい、遊びが広がらなくなってしまうんですね。
ちなみに「キャラものNG」のよくある理由として、「子ども同士のトラブル」というのが多く取り上げられますが、これは私は言い訳に過ぎないと思います。
確かにおもちゃの取り合いで「〇〇君の持ってるおもちゃが私も欲しい」なんてことは起こりますが、あれは皆で使うおもちゃだからこそ起こるトラブルなのです。
誰かの所有物をめぐって取り合いになるなんて事は、一歳児クラスならあってもおかしくはないでしょう。でも基本的にはありえないような話です。
この話は保護者に分かりやすく伝えるために、よく取り上げられるのかもしれませんね。
というわけで、キャラクターものが良しとされない理由は意外にも多くありました。
「1つのことにいつまでも入り込まない」とか、「自発的な行動を促していく」ためにも、キャラクターものは禁止していると考えるのが1番良いでしょう。
自分の子どもが保育園に入園する時にキャラクターものが禁止だということを知った人がほとんどなのではないでしょうか。
保護者としてはこういった決まりにいろんな考えや意見があると思い思いますし、やはり前向きに捉えられない方もいると思います。
しかしながら、保育園では家庭とは違った遊びや生活を楽しんでもらうためにも、こんなルールがあっても良いのかなと私は思います。
記事提供:中村大我(うほうほ保育園)
作者:うほうほ保育園 中村大我さん
東京都の23区内で働く保育士。子育て支援のための活動を精力的に行っている。最近はnoteに子どもに関する記事を書いたり、絵本の制作協力を行ったりしている。子育て支援のためクラウドファンディングも立ち上げた。「口だけではない子育て支援」をモットーに日々力を入れて活動中。24歳、2児の父。