「一人目は自然に妊娠できたのに、二人目をなかなか授からないのはどうしてだろう?」と悩んでいる人は、「二人目不妊」の可能性も考えられます。
今回は、二人目不妊で考えられる原因、不妊治療は必要なのかなどをご説明します。
二人目不妊とは?
第一子を妊娠・出産したあと、二人目の赤ちゃんをなかなか妊娠できない状況に対して、「二人目不妊」という言葉が使われることがあります。
そもそも不妊とは、「妊娠を望む健康な男女が、避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、1年以上妊娠しない」状態のことと日本産科婦人科学会は定義しています(※1)。
不妊で悩んでいる・悩んだことがある人の35.6%が二人目不妊だという調査もあり、「一人目を自然に授かったから、二人目もすぐ授かると思ったのに…」というケースも多いようです(※2)。
二人目不妊で考えられる主な原因は?
二人目不妊になる主な原因は、次のとおりいくつか考えられます。
女性の年齢の変化
第一子が生まれたときから年数が経っている場合、それだけ年齢が高くなっています。
女性は生まれた段階で卵子に成長する原始卵胞の数が決まっており、加齢に伴って卵子の数は減っていくと同時に、原子細胞の質が低下していきます。
細胞の質が低下すると受精しにくくなるほか、遺伝子や染色体に異常が起こりやすくなるため、妊娠しにくくなることが考えられます(※3)。
男性の年齢の変化
男性も年齢を重ねると、精巣機能の低下に伴い、精液の量や精子の数が減少し、精子の運動率も低下する傾向にあります(※3)。
そのため、女性と同じように加齢とともに妊娠に至りにくくなると考えられます。
夫婦生活の減少
はじめての子育てや仕事との両立に忙しく、夜は子どもを寝かしつけたら自分も早く寝てしまう…という夫婦も多いかもしれません。
一人目の妊娠・出産を機に性交渉の回数が減ってしまい、なかなかタイミングを合わせられないのも二人目不妊につながる原因の一つです。
婦人科系疾患
女性は、年齢が上がるにつれて卵管炎や子宮筋腫、子宮内膜症など婦人科系の病気にかかる確率が増えます(※4)。
こうした病気が原因で、卵巣からうまく排卵されなかったり、卵子や精子、受精卵が卵管をうまく通れなかったり、受精卵が子宮内膜に着床しづらくなったりして、二人目不妊につながることもあります。
また、もともと妊娠しにくい状態であっても、一人目を妊娠・出産することができたことから、二人目で気づくケースも。一人目出産後に体が変化した可能性も考えられます。
二人目不妊で不妊治療は必要?
女性の年齢が35歳未満の場合は、妊娠を望んでから1年を過ぎた段階で妊娠しなければ、病院で不妊検査を受けることが推奨されています(※4)。
また女性の年齢が35歳以上の場合は、加齢により妊娠率が下がる傾向にあることから、アメリカの生殖医学会では6ヶ月を目安に不妊検査を受けることを提唱しています(※4)。
しかし女性側に何らかの婦人科系疾患がある場合や、男性側がうまく射精できない場合などは、妊娠しにくい原因の一つになっている可能性があります。
必ずしも治療が必要とは言い切れませんが、二人目不妊に悩んだり不安なことが少しでもあったりするときは、不妊期間にかかわらず、早めに婦人科を受診して医師に相談してみましょう。
二人目不妊は早めに相談しよう
不妊の原因は人によってさまざまですが、1人目のときと状況が変わっていたり、年齢が影響していたりすることが考えられます。
二人目不妊に悩んでいる場合は、パートナーとよく話し合い、できるだけ早く産婦人科やクリニックなどで医師に相談するのがおすすめです。
監修医師:産婦人科医 藤東淳也先生
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 日本産科婦人科学会「病気を知ろう:不妊」
※2 公益財団法人 1more Baby 応援団「夫婦の出産意識調査 2019」
※3 日本産科婦人科学会「1.妊娠適齢年令」
※4 日本生殖医学会「生殖医療Q&A」