デリケートゾーンのかゆみや臭いが気になると、毎日快適に過ごせないうえに、人にはなかなか相談しにくいですよね。原因を知り、少しでも早く対処したいもの。今回は、デリケートゾーンにかゆみや臭いがあるときに考えられる原因と対策、病気の可能性があるそのほかの症状についてご説明します。
デリケートゾーンはかゆみや臭いが出やすいの?
普通に生活しているだけでも汗や皮脂が分泌されるので、清潔にしていないと体臭が気になったり、肌がかゆくなったりすることがありますよね。
特にデリケートゾーンは皮膚が薄く、敏感なうえに、下着や生理用品によってムレたり、摩擦で皮膚がこすれたりすることが多いため、不快症状が現れやすいのです。
デリケートゾーンのかゆみや臭いの原因は?
デリケートゾーンにかゆみや臭いが生じる原因として、主に次の2つが挙げられます。
デリケートゾーンの「ムレ」
特に生理中は、長時間にわたってナプキンを当てているため、デリケートゾーンが経血や汗に触れて湿っている状態が続きます。
また、汗をかきやすい時期は下着を身につけているだけでもデリケートゾーンがムレやすく、かぶれてかゆくなったり、雑菌が繁殖して臭いが発生したりすることもあります。
デリケートゾーンの「乾燥」
ホルモンバランスが崩れていたり、トイレのウォシュレットなどでデリケートゾーンを洗いすぎたりすると、潤いが失われてしまいます。
デリケートゾーンが乾燥している状態だと、動くたびに生理用品や下着との摩擦で皮膚がこすれてしまい、かゆみが生じることもあります。
デリケートゾーンのかゆみと臭い対策は?
デリケートゾーンにかゆみや臭いを感じたときは、ノンアルコールなど低刺激のウェットティッシュでやさしく拭き取り、少し乾燥させたあとにナプキンやおりものシートを取り替えましょう。
デリケートゾーンのかゆみや臭いが気になるからといって、ゴシゴシ洗うのは禁物です。もともと腟内では、細菌などが入りにくいように酸性の状態に保つ「自浄作用」が働いているため(※1)、それを損なわない程度にやさしく洗いましょう。
デリケートゾーンを洗うときのポイントは、石鹸やボディソープをしっかり泡立て、強くこすらずに指の腹を使ってやさしくなでるように洗い、最後にシャワーでそっと洗い流すことです。トイレのウォシュレットも、使いすぎには気をつけてくださいね。
なお、体の免疫力が落ちていると腟内の自浄作用がうまく働かなくなってしまうので、疲れを溜めないように十分な睡眠をとることも大切です。
デリケートゾーンのかゆみや臭いは病気?
日常生活のなかでケアを見直しても、デリケートゾーンのかゆみや臭いが改善されない場合、「外陰炎」や「細菌性腟症」が起きている可能性もあります(※1)。
これらの病気は、性交渉を通じてかかる性感染症とは違い、いつもは悪さをしない常在菌がデリケートゾーン周辺で増えすぎることで起きる炎症です。
症状が軽ければ、特に治療しなくても数日で治まることもありますが、完治させないと再発してしまうことが多いので、症状が慢性化する前に婦人科を受診する方が良いでしょう。
一般的には、デリケートゾーンに直接塗る軟膏薬や、腟内に挿入する坐薬などが処方され、適切に使い続けることでかゆみや臭いが改善されますよ。
デリケートゾーンのかゆみや臭いのほかに、おりものの異常もあるときは?
デリケートゾーンがかゆい、臭いが気になるというだけでなく、おりものがいつもと違う状態の場合、次のような性感染症にかかっている恐れもあります。
それぞれの原因となる細菌やウイルス、原虫に合わせた治療をする必要があるので、すぐに婦人科で検査を受けましょう。
腟カンジダ(カンジダ腟炎)
デリケートゾーンのかゆみ、赤み、腫れのほか、ヨーグルト状のおりものが増えます。
淋菌感染症
デリケートゾーンに軽いかゆみが現れるほか、膿っぽく悪臭のするおりものが増えます。
トリコモナス腟炎(腟トリコモナス症)
デリケートゾーンがかゆくなるほか、黄色や淡い灰色で泡立った状態のおりものが見られます。
デリケートゾーンのかゆみや臭いを改善!
デリケートゾーンに関する悩みを持っている女性は多いので、「自分だけがおかしいのかも…」と不安になる必要はありません。何か違和感があるときは早めに婦人科を受診し、気になることを医師に相談するようにしましょう。
特に、性感染症を放っておくとパートナーにもうつしてしまったり、不妊の原因になったりすることもあるので、早めの対策が大切ですよ。
症状が改善されたあとも、こまめにナプキンを替える、締めつけの少ない下着をつける、疲れを溜めないといったことに気をつけて、デリケートゾーンを清潔で健康な状態に保つようにしてくださいね。
監修医師:産婦人科医 藤東淳也先生
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 株式会社メディックメディア『病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 第3版』pp.77-78,92-93