卒乳はいつするの?平均時期は?早い、遅い場合の気になるリスクとは

赤ちゃんにとってママのおっぱいは、体だけでなく心の成長も支える大切な存在。しかし、赤ちゃんは、いつかはおっぱいとバイバイする時期を迎えます。

卒乳を検討しているママは、周りの赤ちゃんはいつ卒乳したのか、早い、遅いで違いはあるのかなど気になりますよね。

今回は、卒乳の平均時期はいつなのか?早い、遅いことでどんな違いがあるのか、先輩ママに卒乳の時期別に取材をして分析しました。ベテラン助産師さんからのアドバイスも、お見逃しなく!

卒乳とは?断乳とはどう違う?

「卒乳」と「断乳」、どちらも赤ちゃんがママのおっぱいにさよならすることに変わりはありません。しかし、お別れの仕方に大きな違いがあるんです。

「卒乳」とは、赤ちゃんが自ら母乳を必要としなくなり卒業していくこと。一方の「断乳」は、ママの意志で母乳育児をやめることを言います。

卒乳はいつ?先輩ママたちの平均時期は?

卒乳 いつ 卒乳時期グラフ

ninaru babyで、卒乳を経験した先輩ママにアンケート(※1)を取ったところ、多くの赤ちゃんが1歳前後で卒乳していることが分かりました。

離乳食を食べる量が増え、食事への興味も増してくる1歳前後は、赤ちゃんにとって卒乳しやすいタイミングなのかもしれませんね。

しかし、母乳は栄養面だけでなく、子供の精神的な安定剤になるという理由から、世界保健機関(WHO)では、2歳ごろまで母乳育児を続けることを推奨しています(※2)。

子供にとって卒乳に最適な時期はそれぞれ違うため、あくまで目安として判断してくださいね。

先輩ママ&助産師に聞く!
卒乳の時期別メリット・デメリット

この章では、卒乳が早かった・平均的・遅かった先輩ママそれぞれに、卒乳の時期ごとに感じたメリット・デメリットを聞きました。

25年以上のキャリアを持つベテラン助産師の河井先生からも、卒乳の時期別にアドバイスを伺っています。ぜひ参考にしてみてくださいね。

卒乳が早かったママ(生後9ヶ月以前)

メリット

離乳食をよく食べる子だったので、7ヶ月で卒乳しました。肩凝りがなくなったことで、体がかなりラクになりました。

みっちーさん

デメリット

卒乳が早いと自分の時間は持てるのですが、子供の肌に触れて接する機会が減ってしまうので、正直寂しさを感じます。

翔くんママさん

ー卒乳が早いときのメリットは?

河井先生

河井先生

「飲酒や薬の服用ができる」「授乳服を着なくても良い」「授乳室や授乳グッズ(ケープなど)を持ち歩かなくても良い」「家族に赤ちゃんを預けやすくなる」など、ママの負担を軽減できることが最大のメリットですね。

ー卒乳が早いときのデメリットは?

河井先生

河井先生

まずは、「やっぱりもっとあげたかった…」と思ってしまうママの気持ちですね。あと、卒乳後もママの食欲が旺盛のままだと、太りやすくなるリスクもあるので注意してくださいね。

子供に関しての懸念点は、栄養面。一般的に生後9〜11ヶ月だと母乳やミルクから40%、離乳食から60%の栄養を得ていると言われています。

そのため1歳未満で離乳食が十分に進んでいない場合は、十分な栄養を取るためにもミルクが必要です。

あとは、水分不足も心配ですね。母乳以外で水分を摂取できるよう、哺乳瓶からでも良いので、水やお茶、ミルクを飲めるように練習しておきましょう。難しい場合、最初はスプーンからでもOKですよ。

水分不足や栄養面での不安は、河井先生からのアドバイスやこちらの記事も参考にしてくださいね。

卒乳が平均時期(※)のママ(1歳前後)

(※)平均時期とは、あくまでも「ninaru baby」で実施したアンケートの結果によるものです。

メリット

離乳食を食べるようになってから、徐々に授乳の回数も減っていき、11ヶ月で卒乳に至りました。1歳から保育園に入れることを考えていたので、タイミング的にもベストでした。

アポロさん

デメリット

卒乳をしたのが好き嫌いが始まる時期と重なり、子供の食べムラが激しくなって困りました。徐々に改善しましたが、卒乳当初はひどかったです。

てんちゃんさん

ー卒乳が平均的なときのメリットは?

河井先生

河井先生

1歳前後だと、外へ遊びに行くことも多くなるため、そのときに卒乳すると授乳のことを心配しなくても良くなります。

動きが活発になってくる頃なので、同時に食欲も出てきて、食事が進むことも考えられます。母乳から得ていた栄養も、スムーズに食事で補えるようになりますよ。

ー卒乳が平均的なときのデメリットは?

河井先生

河井先生

子供の好き嫌いが出てくる頃なので、食べムラと卒乳が重なると栄養面を不安に思うママもいるかもしれませんね。あとは、グズりの長引き。

母乳を与えていたときは、グズっても母乳ですぐに落ち着くことが多かったと思います。しかし卒乳後は、それに代わるあやし方がないとグズりが長引く可能性があります。

そのために気をつけるポイントは、まず体重の増え具合などに問題がないかどうか、水分補給が十分できているかを確認すること。

1歳頃だとまだ食べたことのない食材も多いので、新しい食材は様子を見ながらチャレンジしていくと良いですよ。母乳の代わりに甘い飲み物を飲むことが、習慣にならないようにするのも大切ですね。

卒乳が平均的な場合は、母乳から食事への移行もスムーズにいく可能性が高そうです。

ただ、子供が心身ともにぐんと成長する時期と重なります。赤ちゃんがグズったときに授乳であやしていたママは、卒乳後は別の方法でしっかりケアしてあげてくださいね。

卒乳が遅めだったママ(2歳〜)

メリット

保育園に早く預けてしまった分、子どもに向き合えるところは向き合いたいと思い、卒乳したのは3歳になる前日でした。仕事で一緒にいられる時間は短いですが、授乳期間が長い分、スキンシップが多く満足感が高いです。

mikaさん

デメリット

2歳半を過ぎても母乳をあげていることを保育園のママ友に打ち明けたら、「えー!まだあげてるの?甘えさせすぎじゃない?」と言われてしまいました。

授乳室でも好奇の目で見られ、良かれと思ってやっていることが間違っているように感じてショックでした。

みさとママさん

ー卒乳が遅いときのメリットは?

河井先生

河井先生

まず、間違いなくスキンシップの時間が増えます。そして、ママが卒乳はゆっくりで良いと考えている場合は、十分に母乳を与えられたという満足感も得られますね。

ー卒乳が遅いときのデメリットは?

河井先生

河井先生

「まだ母乳を与えているの?」「いつになったらやめるの?」と周りから心ない言葉をかけられ、ママが悲しい気持ちになってしまう可能性は考えられますね。実際に、そのような話を聞くこともあります。

また、安心感を得るために母乳を飲むことが習慣になっていると、なかなか卒乳できない恐れもあります。

虫歯のリスクを気にするママもいますが、母乳を長い期間飲んでいることだけで、虫歯になりやすくなるわけではありません。

ただ、夜間の水分補給が母乳だけで、何度も飲む場合はリスクとしては高まるかもしれません。虫歯予防には歯の表面の汚れを落とすこと、甘いものはだらだら飲ませないことが重要です。

母乳から食事への移行がスムーズに行かない場合は、まず子供に食事の楽しさを教えるのが重要です。食事は無理に進めようとせずに、一緒に食べたり、楽しい雰囲気になるように気を配ったりしてみましょう。

卒乳が遅かったことで、周囲から厳しい視線や言葉をかけられてしまったママもいました。判断に迷うときは周囲の言葉ではなく、小児科医や助産師など専門家に相談して決められるといいですね。

卒乳を計画的に目指すママに必要な準備は?

卒乳を計画的に考えているママにとって、予めしておくと安心できる準備や心構えはあるのでしょうか?

引き続き、助産師の河井先生にアドバイスをいただきました。

河井先生

河井先生

そろそろおっぱいとバイバイすることを子供に話しておくことは大事ですね。また、母乳以外で水分を補給する回数を徐々に増やすことも重要です。

その他だと、卒乳前に助産師にどのようにすすめるか相談するのも良いですね。

自然に授乳回数が減っていくのを待つ場合は、長い期間、授乳をすることになるかもしれません。予め理解しておくといいですね。

卒乳後、子供に対して行うと良いケアは?

卒乳をした後は、おっぱいがなくて寂しそうにしている、眠れない、泣いてしまうなど、子供が不安定になるかもしれません。

最後に、そんなとき役立つ卒乳後の子供に対するケア方法を、助産師の河井先生伺いました。

河井先生

河井先生

おっぱいがなくて寂しそうだったら、「おっぱいがなくて寂しいのね」「おっぱいおいしかったね」など、子どもの気持ちを代弁してあげましょう。

ママは分かってくれていると思い、それで子供の気が済むこともありますよ。

日々の生活の中で、愛情表現をしてあげることも大切です。抱っこ、一緒に遊ぶ、笑顔を見せるなどの行動と共に「大好き」「大事な〇〇ちゃん」など、愛情たっぷりの言葉をかけてあげましょう。

また、卒乳後に子供が眠れない、泣くという行動は想定内のことです。母乳以外で、リラックスしたり安心できたりする方法を試してみてください。外遊びに誘ってみるのも良いですね。

赤ちゃんが卒乳する日を見守りましょう

卒乳のタイミングは、赤ちゃんによって差が大きいものです。

卒乳が1歳であろうと、2歳であろうと、大切なのはママがしっかりと子供に愛情を持って向き合えているかどうか。

それを忘れずに、赤ちゃんがおっぱいにバイバイする日を見守ってあげてくださいね。


取材協力:河井恵美

取材協力:河井恵美

助産師、看護師/エミリオット助産院


看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。救急、外科外来等も経験し、看護師教育や思春期教育にも関わっていました。助産師の仕事が大好きで、25年以上この仕事をしています。青年海外協力隊でコートジボアールとブルキナファソに赴任した後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。2008年から夫の仕事関係により、シンガポールに住んでいます。2人の子どもを育てつつ、現地の産婦人科に勤務し、日本人の妊産婦さん方に関わっています。

※1アンケート概要
実施期間:2019年2月7日~2019年2月10日
調査対象:「ninaru baby」を利用しているママ
有効回答数:220件
収集方法:Webアンケート

※2 東京都福祉保健局 東京都こども医療ガイド

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