大切な子どもを預けるとなると、どこにしようかと悩みますよね。どのような違いがあるか知っておくと、迷いが解消されるかもしれません。
そこで今回は、保育園・幼稚園・認定こども園・地域型保育の違いや、学力や費用に差が出るのかについてご紹介します。
子どもの預け先を選ぶ基準は?
保育園・幼稚園・認定こども園・地域型保育は、まず入園できる年齢が異なります。
ただ、多くの家庭は入園年齢だけではなく、家庭や仕事の都合に合わせて選択しています。
たとえば、妊娠した頃から仕事に復帰することを考えて保育園や認定こども園を検討している家庭もあれば、初めから幼稚園と決めていて、入園までの期間を家で育児する家庭もあります。
このように各家庭の環境や方針に合わせながら、子どもにとって一番良い預け先を選択することが多いです。
保育園・幼稚園・認定こども園・地域型保育の違いは?
具体的に保育園・幼稚園・認定こども園・地域型保育にはどのような違いがあるのでしょうか。国や自治体に認可されている施設についての利用時間や利用料などについてまとめました。
なお、認可されていない施設(認可外)については、この限りではありません。施設ごとに異なるので、詳しくは各施設に確認してくださいね。
幼稚園と保育園
まずは幼稚園と保育園についてご紹介します(※1,2,3)。
保育園 | 幼稚園 | |
役割・位置付け | 仕事などにより家庭で保育できない保護者に代わって保育する施設 | 小学校以降の教育の基礎をつくるための幼児期の教育を行う学校 |
利用できる保護者 | ●0〜2歳 共働き世帯、親族の介護などにより家庭で保育できない人 ●3〜5歳 誰でも利用できる |
共働き世帯、親族の介護などにより家庭で保育できない人 |
利用時間 | 夕方まで ※園によっては夕方以降の延長保育を実施 |
昼過ぎ頃まで ※園によっては午後や土曜日、夏休みなどの長期休業中の預かり保育を実施 |
保育料・利用料 | ●0〜2歳 住民税非課税世帯は無料、それ以外の世帯は世帯年収に応じて変わる ●3〜5歳 すべての子どもが無料 |
園の定めた利用料を支払う。 住民税非課税世帯の0〜2歳の子ども・全ての3〜5歳の子どもは月額2.57万円まで無料 |
職員の保有資格 | 保育士 | 幼稚園教諭 |
利用手続きの申請先 | 自治体 | 幼稚園 |
認定こども園と地域型保育
次に認定こども園と地域型保育についてご紹介します(※1,2,3,4)。
認定こども園 | 地域型保育 | |
役割・位置付け | 幼稚園と保育園の機能や特長をあわせ持ち、地域の子育て支援も行う施設 | 保育園(原則20人以上)より少人数で0〜2歳の子どもを保育するサービス |
利用できる保護者 | ●0〜2歳 共働き世帯、親族の介護などにより家庭で保育できない人 ●3〜5歳 誰でも利用できる |
共働き世帯、親族の介護などにより家庭で保育できない人 |
利用時間 | ●0〜2歳 夕方まで ※園によっては夕方以降の延長保育を実施 ●3〜5歳 昼過ぎ頃までだが、保育を必要とする場合は夕方まで ※園によっては夕方以降の延長保育を実施 |
夕方まで ※園によっては夕方以降の延長保育を実施 |
保育料・利用料 | ●0〜2歳 住民税非課税世帯は無料、それ以外の世帯は世帯年収に応じて変わる ●3〜5歳 すべての子どもが無料 |
●0〜2歳 住民税非課税世帯は無料、それ以外の世帯は世帯年収に応じて変わる ●3〜5歳 すべての子どもが無料 |
職員の保有資格 | ●0〜2歳 保育士 ●3〜5歳 保育士と幼稚園教諭の両資格併有が望ましいが、どちらか一方でも可 |
保育士、もしくは必要な研修を受けて自治体が保育士と同等の知識や経験があると認めた人 |
利用手続きの申請先 | 認定こども園、もしくは自治体 | 自治体 |
預け先によって子どもの学力に違いは出る?
「幼稚園に通った子どもの方が学力が高い」という噂を耳にして、学力に違いが出るのではと心配になるママ・パパもいるかもしれません。
1日の大半を過ごし、0歳から入園することもある保育園が、養護と教育が一体となった「生活の場」であるのに対し、幼稚園は短時間で、決められた教育課程をこなす「教育の場」という特徴があります(※1)。
また、文部科学省が小学生と中学生を対象に実施した「2010年度全国学力・学習状況調査」で、幼稚園出身の子どもの方が保育園出身の子どもよりも、平均正答率が高かったという報告がされています(※5)。
これらが、そうした噂のもとになっているのかもしれません。
しかし、この統計データからは「幼稚園の方が学力が高くなる」という結論は出せません。「出身がどちらかで数字を割り出した」だけで、どんなことが学力に影響を与えたのかという因果関係が示されたものではないからです。
幼稚園と保育園のどちらも、教育方針や保育内容は園によって大きく異なります。また、習い事をしていたかや、親の世帯収入なども考慮されていません。
最近は、それぞれの良い内容を吸収している傾向にあり、保育園でリトミックなどの幼児教育を取り入れている園もあれば、幼稚園でも自由に遊ぶことを方針としている園や、教育に特化した園などさまざまです。
このように、子どもの預け先ごとに保育内容・教育内容が異なるので、預け先によって学力に違いが出るとは言い切れません。
違いを知って、子どもに合わせて選ぼう
これまで紹介してきた通り、保育園・幼稚園・認定こども園・地域型保育にはさまざまな違いがあります。
最近では、独自のカリキュラムを特色として打ち出している施設も増えてきているため、どこに通わせるかは子どもに合わせて選んであげてくださいね。
※1 芦屋市「保育所と幼稚園と認定こども園との比較表」
※2 内閣府「幼児教育・保育の無償化概要」
※3 内閣府「子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK」
※4 国立教育政策研究所「2010年度全国学力・学習状況調査」p.18
※5 内閣府「地域型保育事業の概要」