妊娠中のイベントに、「戌の日の安産祈願」があります。古くからある日本の風習ですが、妊娠をして初めて知った妊婦さんも多いのではないでしょうか。また、「腹帯を巻く」などの情報は聞いたことがあっても、具体的な内容やマナーを知らない人も少なくありません。
そこで今回は、戌の日の安産祈願に着ていく服装やご祈祷時のマナー、作法、初穂料などについてご紹介します。
戌の日とは?なぜ安産祈願をするの?
戌の日とは、妊娠5ヶ月目に妊婦さんが「腹帯」を巻いて安産祈願をする日本の風習です。子だくさんでお産が軽いといわれる犬にあやかり、その日に安産祈願を行うようになりました。
戌の日は12日に1度巡ってきます。つまり月に2〜3回は戌の日が回ってくるということです。安産祈願の予定を立てる際は、各神社やお寺のホームページ、カレンダーなどで戌の日を確認しましょう。
また神社によっては、戌の日の安産祈願に事前予約が必要なところもあるので、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
戌の日の安産祈願の服装は?
戌の日に安産祈願を行うときの服装は、一般的にシンプルなワンピースやスーツタイプのフォーマルなものが良いでしょう。パパが付き添う場合もスーツスタイルが基本です。
特に正装である必要はなく、身体を締め付けず楽に過ごせる普段着でも良いとされています。しかし、神社やお寺へ行くので、マナーとしてなるべく肌の露出が多い服や、派手な色の服は避けるようにしたいですね。
また、水天宮など安産祈願で人気のある神社では、戌の日と休日が重なると受付をするのに並んだり、待ち時間が発生したりすることがあります。寒い日には少し厚着をしていく、暑い日は帽子をかぶって扇子を持っていくなど、季節に応じて服装を工夫しましょう。
靴は祈祷の際に脱ぐ場合もあるので、妊婦さんは脱ぎ履きしやすいものがおすすめです。素足履きやサンダルなどは控え、服装に合ったフラットシューズがいいでしょう。
また、両家の両親と安産祈願後に食事会をするケースもあります。そんなときは、カジュアルな服より、きちんとした服装が好まれますよ。
戌の日の安産祈願、腹帯は先に巻いていく?
戌の日は、「帯祝い」とも呼ばれていて、妊婦さんは「腹帯(岩田帯)」を巻くのが主流です。腹帯は巻いていくことも、すでに持っているものを持参することも、その場で購入することもできますが、詳しい風習は地域や神社、お寺によって様々です。
事前に巻いていく場合、地域によってパートナーが巻く、実母や義母が巻くなど、風習に違いがあります。また、妊娠4ヶ月のときに帯だけをもらいに祈祷へ行き、5ヶ月目に巻いた状態で再度行くケースもあるようです。
その土地の風習通りに行いたい場合は、地域の産婦人科や神社、お寺などに聞いてみてください。
帯を持参する場合は、持ち込みを不可としている場合や、帯の種類によっては受け付けできないこともあるので、注意しましょう。ご祈祷してもらう神社やお寺で購入したものに限るということも珍しくありません。
また、最近は帯の種類も増え、さらし、腹巻、ガードル、コルセットなど様々なタイプがありますが、コルセットやガードルタイプの腹帯はお祓いしてもらえないケースもあります。持参するときには、どのようなタイプの腹帯であればお祓いしてもらえるのかを事前に確認しておきましょう。
戌の日の安産祈願の腹帯の巻き方は?
腹帯の巻き方は地域や神社などによって少しずつ違いがあります。ここでは、東京水天宮でも紹介されている一般的な腹帯の巻き方をご紹介します(※1)。
腹帯の巻き方
1. 帯を開き、縦に半分折りにして、お腹に巻きやすいように帯を巻き直す
2. 折り目を下にして、さらしの端をお腹の前にあてて1周させる
3. 体の中央あたりで、さらしを上方向へ折り曲げ、そのまま背中側へ回し、巻く度に折り返す
4. 巻き始めの帯の端を巻き込みつつ、少しずつ上にずらしながら巻いていく
5. 巻き終わりを帯のなかに挟んでできあがり
腹帯を巻くときの注意点
自分で巻くときは、きつく巻きすぎないよう気をつけましょう。さらしはあまり伸縮性がないので、強く巻きすぎるとママも赤ちゃんも苦しくなってしまいます。
また、素肌に直接巻いたほうがしっかりとお腹の赤ちゃんを支えることができます。
戌の日のマナーは?安産祈願のやり方に作法はある?
戌の日に安産祈願のお参りをする際のマナーは、地域や神社、お寺によって異なる場合があります。ここでは、お清め時、申し込み時、祈祷時の進行方法や作法について、一般的な方法をご紹介します。
お清めのマナー例
1. ひしゃくを右手に持って、左手に水をかける
2. ひしゃくを左手に持ち替えて右手に水をかけて清める
3. ひしゃくを右手に持ち替え、左手に水を少し入れ、口をすすいで吐き出す
4. すすぎ終わったら、水をもう一度左手に流し、ひしゃくを縦にして、持ち手を洗って元の場所へ戻す
【お清め時の注意点】
参拝する前に境内の手前にある「手水舎」でお清めを行います。また、「ひしゃくに口をつける」「水を飲む」のはマナー違反なので気をつけましょう。
祈祷申し込みのマナー例
- ● のし袋には、紅白の「蝶結び」の水引き、又は白い封筒を持参します。
- ● 水引を境に、上段に「御初穂料」、「御玉串料」、お寺の場合は「祈願料」、「ご奉納」、「志」と書き、下段に夫婦の姓、もしくはフルネームを書きます。
- ● 文字を書くときは、筆ペンが良いでしょう。ボールペンでも構いませんが、見た目や正式な場という意味でも筆ペンがおすすめです。
- ● 初穂料は新札にしましょう。
- ● 中袋には、表に「金壱萬円」のように旧字体で金額を記入し、裏面には住所と夫婦の名前を書きます。
【祈祷申し込み時の注意点】
水引きは「結び切」ではなく、「蝶結び」のものを使いましょう。
一般的な祈祷の進行と作法
1. お清めをする
2. 祈祷の申し込みをする(初穂料を納める)
3. 順番がきたら本殿へ上がる
4. お祓いを受ける
5. 祝詞をきく
6. 二拝、二拍手、一拝をする
7. 腹帯など授与品を受け取る
【祈祷中の注意点】
立ったまま祈祷を行う場合もあるので、気分が悪くなったら休ませてもらいましょう。
戌の日の安産祈願の初穂料は?
戌の日に安産祈願をするときは、「初穂料(はつほりょう)」が必要です。申し込み時に納めるお金がこれに当たります。金額の相場は5,000~10,000円です。
場所によっては決まった金額が掲示されていることもありますが、「お気持ち」として、金額が書かれていないこともあります。その場合は、上述の相場を目安としましょう。不安なときは「初穂料の金額はどこかに書いてありますか」と、神社やお寺に直接聞いてみても良いかもしれませんね。
また初穂料には、祈祷後にいただくお神酒やお守り、腹帯などの料金も含まれています。場所によっては、腹帯込みかそうでないかを選べて、それぞれに応じた初穂料を納めるところもあります。
戌の日の安産祈願の服装はマナー重視で
戌の日の安産祈願は、日本の風習とはいえ、強制ではありません。ママが健康的な妊婦生活を送るための準備や、お腹の赤ちゃんを守るための心づもり、パパの自覚を保つためのきっかけとして行ってもいいですね。
妊娠5ヶ月目は安定期に入っているものの、お腹の膨らみが少しずつ目立ちはじめ、ママの腰や背中に負担が出てくる時期でもあります。服装についてはあまり考えすぎず、最低限のマナーを心がけていれば問題ないでしょう。
また、不安定な骨盤を支え、腰痛などを予防するためにも、戌の日のお参りをきっかけとして、腹帯は妊娠期間を通してできるだけ巻いておくことをおすすめします。