新生児が気をつけたい病気は?こんな症状が出たら要注意!

産まれて間もない赤ちゃんは特に目が離せないですよね。もし何か「普段と違うかも…?」と感じるときは、何かの病気が隠れているサインであることもあります。

今回は新生児がかかりやすい病気や、注意したい症状についてご紹介します。

新生児は病気にかかりやすいの?

赤ちゃん 新生児

生後28日未満の赤ちゃんを「新生児」と呼びます。

この時期はママから引き継いだ抗体の力で守られているため、一般的には病気にかかりにくいと言われています。

しかし、抗体はすべての病原体から守ってくれるというわけではありません。

新生児でも病気にかかることがあるので、日頃から赤ちゃんの体調に変化がないか観察しておくことが大切です。

新生児が気をつけたい病気は?

新生児でかからないように気をつけておきたい主な病気は以下の通りです。

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌に感染して胃腸が炎症を起こす病気です。家族から移されたり、ミルクの保管が不適切だったりすることで起こる可能性があります。

病原体によって現れる症状は異なりますが、主な症状としては嘔吐や下痢、発熱などがあります。

新生児で嘔吐がみられる場合、脱水症状になりやすいので注意が必要です。病院では吐き気止めが処方されたり、点滴をしてもらえたりするので、早めに受診しましょう。

尿路感染症

尿路感染症は、尿道口からウイルスや細菌が侵入して炎症を起こす病気です。

症状としては発熱、哺乳低下や嘔吐などの症状、不機嫌などがみられます。赤ちゃんのうちは発熱以外の症状がでないこともあります。

RSウイルス感染症

RSウイルスに感染することで発症し、咳や発熱、鼻水などの症状が出る病気です。1歳までに69%の子どもが感染するといわれており、新生児が感染すると細気管支炎・肺炎となり重症化する可能性もあるため注意しておきたい病気です(※2)。

発熱や咳、鼻水などの症状が出たら、重症化予防のためにも早めに病院を受診しましょう。

新生児の病気で注意したい症状は?

以下のような症状が出た時は、早めに病院へ相談することをおすすめします。

長引く黄疸

赤ちゃんの肌が黄色くなる黄疸はよく見られますが、通常生後1~2週間ほどで次第に治まっていきます。

母乳育児をしている場合、黄疸が生後2週間以上経っても続くことがありますが、これは「母乳性黄疸」といい徐々に消失するため、特別な治療は必要ありません(※3)。

しかし黄疸が濃くなった場合には、「先天性胆道閉鎖症」といった治療が必要な病気にかかっている可能性があります。

黄疸が濃くなっている場合に加えて、母子健康手帳についている便カラーカードを確認して、便の色が正常な状態と異なっている場合には、まず小児科で原因を調べてもらいましょう。

湿疹

新生児の肌はバリア機能が弱く、また胎児のときにママから譲り受けたホルモンの影響もあり、乳児湿疹が現れやすい状態です。乳児湿疹は特別な治療は必要なく、肌の清潔や保湿を心がけて対処していきます。

ただ、乳児湿疹とアトピー性皮膚炎は見分けがつきにくく、乳児湿疹だと思っていたものがアトピー性皮膚炎だったというケースもあります。

スキンケアを行っても症状の改善が見られないときは、早めに小児科または皮膚科を受診しましょう。

あざ

毛細血管の異常増殖などが原因で、皮膚の表面に赤や青紫のあざができることがあります。赤ちゃんの体に気になるあざがあるときは、まずは小児科か皮膚科の医師に診てもらいましょう。

生理的な現象として起こるとされている「新生児中毒性紅斑」は、胸や背中などに赤いあざや水ぶくれのようなものも見られますが、2週間ほどで自然に消えていきます。

生まれつきの赤い平坦なあざである「単純性血管腫」や皮膚が少し盛り上がっている「海綿状血管腫」といったあざは、成長しても自然には消えず大きくなることもあります。

「イチゴ状血管腫」という、皮膚から盛り上がり表面がもこもこしている赤あざは自然に小さくなっていくことがありますが、跡が残ることもあります。気になる位置にあるときは、飲み薬やレーザー治療などができるので、早めに医師に相談しましょう。

新生児がすぐに病院へ行くべき症状は?

以下のような症状が出た時は、すぐに病院を受診しましょう。

噴水状の嘔吐

新生児はおっぱいやミルクを飲むのに慣れていないので、飲んだ後にうまくゲップが出ず、吐き戻してしまうことはよくあります。

吐いてしまっても、体重が順調に増えていてしっかり飲んでくれているのであれば、過度に心配する必要はありません。

しかし、授乳直後5分以内に噴水のように勢いよく吐くことを繰り返している場合は、胃の出口が狭くなっている可能性があるので、早めに小児科を受診しましょう。

痙攣

新生児がしばらくの間、手足を小刻みにぶるぶると震わせている場合、痙攣を起こしているかもしれません。

新生児の痙攣の原因としては、生理的なもので問題ないこともありますが、頭蓋内出血などの脳の病気のほか、先天性代謝異常や感染症、低血糖などが考えられます。

新生児が痙攣を起こしたときは、すぐに病院を受診してください。いつ・どんな痙攣が起きて、どれくらいで治まったのかをメモしておくと診察の役に立ちますよ。

呼吸が速い・息苦しそう

赤ちゃんはRSウイルスなどによる肺炎、気管支炎を起こすこともあります。

呼吸が浅く速い、唇や手足の指が青く変色している、呼吸時に胸がへこむ、顔を赤くして息ができないほどの激しい咳をしているときは、速やかに小児科を受診しましょう。

38度以上の発熱

赤ちゃんは母体から免疫を受け取って生まれるため、新生児期は風邪などにはかかりにくいといわれています。

そのため、新生児で38度以上の熱がある場合、細菌性髄膜炎などの重篤な病気である可能性があります。

38度以上の発熱があるときはもちろん、多少低くても哺乳力が落ちている、機嫌が常に悪い、また微熱が続く場合には小児科を受診しましょう(※4)。

新生児期は病気の早期発見が大切

新生児期の赤ちゃんは、体の異変を言葉で訴えることができません。日頃から家族で「おっぱいの飲みが悪くないか」「ぐったりしていないか」「顔色が悪くないか」「体重が増えているか」などを見ておきましょう。

少しでも異変に気づいたときや、いつもより機嫌が悪い、よく泣いているという場合は、些細な変化であっても小児科の医師に相談してみましょう。

病院へ行くべきか迷った場合は、電話で症状を伝えて指示を仰ぐのも一つの方法です。気になる症状が見られるときは、早めの対処を心がけてくださいね。

監修医師:小児科 武井 智昭

日本小児科学会専門医 武井 智昭先生
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。



※1 南山堂『開業医の外来小児科学 第6版』 p.323
※2 国立感染症研究所「RSウイルス感染症とは」
※3 MSDマニュアル家庭版「新生児黄疸」
※4 東京都福祉保健局「東京都こども医療ガイド 熱が出たー解説ー」

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