子どもに「熱だけ」の症状が…これって風邪?見落としやすい病気って?

子どもに熱以外の目立った症状がない場合、どうしたらいいのか気になりますよね。病院に行くべき目安を知っておくと、落ち着いて行動ができますよ。

そこで今回は、子どもの症状が熱だけのときにどんな病気の可能性があるのか、病院へ行く目安などをご紹介します。

子どもが熱だけ出たとき、体はどんな状態?

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病気で熱が出る場合、ウイルスや細菌に感染してしまい、体を守るために起こる生体防御反応が原因になります。

熱を上げることで病原菌が増えるのを抑え、体を守る白血球の働きを助けて免疫を高める作用があります。

そのため、発熱が起こるのは必ずしも悪いわけではありません。

病気以外でも、子どもの体は自律神経が発達していないため、気温や環境によって体温が大きく変動します。

暖かい日には体温が高くなり、寒ければ体温も低くなります。また入浴や運動をすると体温が上がり、興奮するなど精神的なことでも発熱することがあります。

子どもが熱だけしか出ない病気もあるの?

一般的な風邪といわれるウイルス感染症にはさまざまな症状があり、鼻水だけしか出ないこともあれば、熱だけしか出ないこともあります。

また、その他の感染症などでも、感染する人の年齢や免疫力の強さ、湿度や気温などの環境によって、熱だけしか現れなかったり、咳や嘔吐など、他の症状だけが現れたりする場合もあります。

発熱した後に他の症状が出る病気は?

子どもの症状が熱だけだと思っていても、後から他の症状が現れることがあります。そのときは、下記のような病気が疑われます。

突発性発疹

突発性発疹は、突然38℃以上の高熱が出る病気ですが、高熱の割に比較的元気に見えるのが特徴です(※1)。熱以外にも不機嫌、眠りが浅い、嘔吐・下痢などの症状が出ることもあります。

熱を主としたこれらの症状は3~4日で治りますが、熱が下がる前後に、首や耳の後ろ、胸、お腹に、色の薄い小さな発疹が現れます。発疹は1〜2日で消えることが多く、跡も残りません。

インフルエンザ

インフルエンザは、38℃以上の熱が出る感染症で、冬に流行することが多いです(※2)。

感染すると、熱が上昇するにつれて、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身のだるさなど、さまざまな症状が現れます。

予防接種をすると症状が抑えられて、熱だけ軽く出るということもあります。

子どもの症状が熱だけだと勘違いしやすい病気は?

子どもは具合が悪くても、自分の症状を正確に伝えることができないため、頭痛などの見た目に出ない症状は、見落としてしまうこともあります。

熱と合わせて他の症状が出るものの、症状によっては見落とす可能性のある病気には、次のようなものがあります。特

に乳幼児は、具合の悪い場所を言葉で表すことができないため、よくみてあげてくださいね。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは、38〜40℃の熱が1〜3日出て、上顎の奥の粘膜部分に小さな水ぶくれができるのが特徴です(※3)。

吐き気や全身の倦怠感、咽頭痛、食欲不振が起こることもあります。

急性中耳炎

急性中耳炎は、乳幼児がかかるとしばしば39℃以上の熱が見られる病気です(※4)。

主な症状は、発熱、耳の痛み、耳だれで、乳児では不機嫌になったり、耳をよく触るような動きが見られたりします。

尿路感染症

尿路感染症は、大腸菌などの細菌が尿道から入ることで起こる病気で、38.5℃以上の熱が出ることもあります(※5)。

熱が出る以外にも、尿の回数が増え、排尿時に痛みを感じたり、尿が臭くなったりします。

1歳までは男の子がかかりやすく、それ以降は女の子に多く見られます。7歳までに男の子の約2%、女の子の約8%がかかるといわれています。

子どもが熱だけで元気でも、病院には行ったほうがいい?

子どもが熱だけ出た場合、月齢によって対応が異なります。

生後3ヶ月未満の赤ちゃんが発熱した場合は、元気そうに見えても速やかに病院へ連れていきましょう。

まだ免疫が未熟なため、敗血症・髄膜炎などの細菌感染症など、入院が必要である病気が隠れている可能性があるためです。

生後3ヶ月以上の赤ちゃんが発熱した場合は、食事が摂れていて熱以外の症状がなければ、すぐに受診する必要はありません。

ただし、熱が39℃以上の高熱の場合は、新型コロナウイルス、インフルエンザもあるので、早めにかかりつけの病院を受診しましょう。

また、もし子どもが通う保育園や幼稚園で流行っている病気があったり、家族に感染症にかかっている人がいたりする場合は、熱が出た後すぐに病院を受診した方がいいでしょう。

子どもが熱だけの症状でも注意して

子どもは大人に比べると免疫力が弱いため、熱だけの症状でもママ・パパは不安ですよね。

ただの風邪ですぐに治るようであればいいですが、4日以上熱が続くようであれば、何か他の病気にかかっているサインかもしません。また、ひょっとしたら症状を見落としている可能性もあるので、熱以外にも症状が出ていないかどうか、注意深くみてあげることが大切ですよ。

つらい症状がおさまり、早く元気になれるといいですね。

監修医師:小児科 武井 智昭

日本小児科学会専門医 武井 智昭先生
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。


※1 厚生労働省「突発性発しん」
※2 日本小児耳鼻咽喉科学会「小児急性中耳炎診療ガイドライン 2018年版」
※3 厚生労働省「ヘルパンギーナ」
※4 日本小児感染症学会「小児の尿路感染症UptoDate」

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