【突発性発疹のすべて】熱や発疹は?うつる?お風呂は?2歳でも?

生まれてしばらくの間は風邪をひかなかった赤ちゃんが、突然40度近い高熱を出すと驚いてしまいますよね。これは「突発性発疹」と呼ばれ、ほとんどの赤ちゃんが一度は経験する病気です。

今回は、突発性発疹の症状や対処法、うつるかどうかなどをご説明します。

突発性発疹とは?2歳でもかかるの?

突発性発疹とは、子どもが急に38℃以上の高熱を出し、2〜3日発熱が続いたあと、熱が下がり始めると全身に発疹が現れる感染症です(※1)。

これまで、突発性発疹は1歳未満の赤ちゃんがかかることの多い病気とされていましたが、最近は1歳以上でもかかることが多くなりつつあります。1歳未満でかかるのは約3割で、1歳や2歳以上で突発性発疹を発症することも珍しくありません(※2)。

「大きくなってからかかると重症化するのでは?」と心配するママ・パパも多いようですが、突発性発疹は重症化することはほとんどないといわれています。

突発性発疹の原因は?2回目の発症もある?

突発性発疹は、「ヒトヘルペスウイルス6型」あるいは「ヒトヘルペスウイルス7型」の感染が原因です。

6型も7型も、一度感染すれば2度とかかることはありません。ただし、6型と7型にそれぞれ1回ずつ感染すれば、突発性発疹に2回かかる可能性もあります(※3)。

主な感染経路は、ヒトヘルペスウイルスを体内に保有する家族や無症状の人の飛沫と考えられています。

赤ちゃんは生後3ヶ月頃までは、ママからもらった免疫のおかげでウイルス性の感染症から守られています。

しかし、生後6ヶ月を過ぎた頃にはママからもらった免疫の力が弱まっているため、赤ちゃん自身の免疫が本格的に機能し始めるの1歳頃まではヒトヘルペスウイルスに感染しやすく、突発性発疹を発症する可能性が高まります。

突発性発疹の症状は?高熱と発疹がある?

突発性発疹の症状は、主に以下の2つです(※3)。

  • ● 39度以上の高熱が3〜4日続く
  • ● 解熱後に現れる全身の発疹

熱が下がっていくのと同時に、上の写真のようにお腹や背中を中心にして顔や手足など全身に赤い発疹が現れます。

この発疹はかゆみを伴わず、2~3日くらいで次第に引いて跡が残ることはないので安心してくださいね。

ほとんどの場合、症状は高熱と発疹のみですが、下痢になることもあります。

また不快な症状への違和感で機嫌が悪くなる赤ちゃんもいますが、発疹がひいてしまえば機嫌もケロッと治っている場合がほとんどですよ。

赤ちゃんの突発性発疹はうつるの?

突発性発疹の原因となるヒトヘルペスウイルスは他のウイルスよりも感染力は弱いので、同じ空間に一緒にいたからといって100%うつるということはありません。

しかし突発性発疹にかかったことのない子どもは免疫がないこともあり、うつる可能性は十分あります。

そのため厚生労働省のガイドラインによると「解熱し機嫌が良く全身症状が良い」状態になるまで登園を控えた方がよいとしています(※4)。

ただし、園によって登園可能な目安について方針が異なるので、医師の判断を元に、保育園の先生とも相談してください。

突発性発疹の治療法は?

突発性発疹には特別な治療法はありません。熱があっても機嫌がよく、母乳やミルクをいつも通りに飲んでいれば、安静にして様子を見るのが一般的です。

ただ、高熱でつらそうな場合には解熱剤、下痢になってうんちがゆるい場合には、整腸剤が処方されることもあります。

熱が下がり発疹が出るまでは、突発性発疹なのか、他の病気なのかを見分けるのは医師でも難しいですが、40度近い高熱が出た場合には一度小児科を受診した方が安心です。

突発性発疹のケアで注意すべきことは?

突発性発疹を発症したときに気をつけたいのは、水分補給です。高熱が出ると体温が上がることによって汗をかくため、普段よりも体内から水分が奪われやすくなります。

すると脱水症状を起こしやすくなるので、こまめな水分補給を心がけてください。

赤ちゃんが飲める時に、飲める量を少しずつ飲ませてあげましょう。

突発性発疹のときはお風呂に入れてもいい?

基本的に、突発性発疹でお風呂に入れてはいけないということはありません。しかし熱が38度以上である場合、入浴後の体温変化によって体調が悪くなるかもしれないので、温かいタオルで体を拭く程度がよいでしょう。

発疹がある状態で入浴すると体温が上がるので、発疹が赤くなることもありますが、かゆみなどはありません。赤ちゃんが嫌がらないのであれば、サッと汗を流してあげましょう。

突発性発疹には慌てず冷静な対処を

突発性発疹は、赤ちゃんが生まれて初めての発熱として経験することが多い病気のため、慌ててしまうかもしれません。

高熱でも赤ちゃんの機嫌がよく、他に症状がなければ、自宅で経過観察してあげましょう。

ただ、突発性発疹かと思っていたら実は違う病気であるという可能性もあるので、気になる症状があればかかりつけの小児科を受診してくださいね。

監修医師:小児科 武井 智昭

日本小児科学会専門医 武井 智昭先生
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。



【参考文献】
※1 国立感染症研究所「突発性発疹とは」
※2 国立感染症研究所「IASR 突発性発疹2000〜2020年」
※3 南山堂『開業医の外来小児科学』pp.380,381
※4 厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)」

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