妊娠後期は手足がむくみやすい?しびれを感じるときの対策は?

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妊娠中の悩みの一つに手足のむくみがあります。特に妊娠8ヶ月・9ヶ月・10ヶ月の後期に入るとむくみやすく、手や足がパンパンになってしまう妊婦さんもいます。ひどくなるとしびれを感じる人も。妊娠後期は体にさまざまな変化が現れる時期ですが、気持ちよく妊娠生活を過ごすためにも、むくみは解消したいですよね。

今回は、妊娠後期の手足がむくみやすい原因と解消法をご説明します。

妊娠中のむくみ(浮腫)とは?

むくみとは、別名「浮腫(ふしゅ)」とも呼ばれ、体の皮下組織に水分がたまって腫れた状態をいいます。

基本的に痛みはありませんが、手足や顔が腫れ、症状が悪化するとパンパンになるほどに。指で押すと跡が残るので、むくんでいるかどうかは簡単にわかります。

妊娠8ヶ月・9ヶ月頃は特に、手足のむくみに悩まされる妊婦さんが多く、むくみがひどくなると痛みを感じたり、しびれたりすることがあります。不快な症状が見られたら、産婦人科の先生に相談しましょう。

妊娠後期(妊娠8ヶ月・9ヶ月・10ヶ月)に手足がむくみやすい原因は?

妊娠後期に手足がむくみやすくなる原因はいくつかあります。

妊娠後期に入ると、血液中の水分である血漿の量が増えます。さらに、エストロゲンなどのホルモンが増加することで、体が水分を溜めこみやすくなります(※1)。

また、赤ちゃんの成長とともに大きくなった子宮が、下半身の血液を集めて心臓に流れこんでいる血管を圧迫するため、下半身の血行が悪くなります(※1)。

また、お腹が大きくなって運動不足になるのも、むくみを悪化させる一つの要因です。

妊娠後期に現れるむくみは、多くは妊娠に伴う生理的なものなので、お腹の赤ちゃんに何か異常があるわけではありません。

妊娠後期の手足のむくみはどう判断する?

はじめての妊娠では、今までに経験したことがないような体重・体型の変化が現れるので、妊娠で太っただけなのか、むくんでいるのか、判断しづらいかもしれません。

「いつも履いている靴が窮屈に感じる」「靴下の跡が残りやすい」「目が腫れぼったい」というときは、むくみの可能性がありますよ。

また、妊娠後期に入ると、手の指がむくんで結婚指輪がきついと感じる人も多いもの。指輪が抜けなくなってしまう前に外して保管しておくと安心です。

妊娠後期のむくみは病気のサインかも?

ほとんどの場合、妊娠後期のむくみは生理的な現象ですが「妊娠高血圧症候群」の症状である可能性もあります(※2)。

妊娠高血圧症候群になると、妊婦さんやお腹の赤ちゃんの命に危険が及んだりすることがあるので注意が必要です。

毎回の妊婦健診で血圧やむくみのチェックは行うので、気になる症状があれば健診時に医師に相談しましょう。

日常生活のなかで、ひどい頭痛やむくみが見られたときは、妊婦健診を待たずにかかりつけの産婦人科医に相談してくださいね。

妊娠後期の手足のむくみを解消する方法は?

生活習慣を見直すことで、妊娠後期のむくみをやわらげることができます。以下で紹介する解消法を試してみてくださいね。

足を温める

足のむくみが気になる場合、冷えとり靴下の重ね履きで足を温めることで、改善されることがあります。また、足浴も効果がありますよ。

冷えとり靴下は、基本的に絹と綿、冬はウール素材の靴下を重ね履きします。5本指ソックスと先丸靴下が2枚ずつセットになった商品なども販売されているので、下半身の冷えが気になる人は取り入れてみてくださいね。

着圧ソックスを履く

着圧ソックスを履くと、足に適度な圧力がかかることでむくみを改善することができます。また、足のだるさや痛みが軽くなることもありますよ。

ただ、妊娠後期はお腹が大きくなり、自分で着圧ソックスを履くのが大変なので、無理せずパートナーや家族に手伝ってもらうといいですね。

食事の塩分を控えめにする

塩分を摂りすぎると、手足のむくみの原因となります。塩分には水分を溜めこむ性質があり、いらなくなった水分をうまく体の外に排出できず、体内に溜まってしまうからです。

妊娠中は薄めの味つけを心がけ、塩分を控えめにした食事を心がけましょう。

カリウムを摂取する

塩分を摂りすぎると、血液中に含まれるナトリウムの濃度が高くなります。バナナやキウイなどの果物、大豆やあずきなどの豆類などに多く含まれるカリウムを摂ることで、ナトリウムを尿として排泄させることができ、むくみの解消につながります(※3)。

水分をきちんと摂る

むくみが気になって、極端に水分を摂らない人もいますが、それでは逆効果です。

水分不足だと、体が水分を溜めこもうとして、逆にむくみやすくなるので、むくみが気になるときにも積極的に水分を摂り、体内の巡りを良くしましょう。

マッサージをする

マッサージをすると体に溜まった老廃物をスムーズに体外に排出でき、むくみの解消につながります。定期的に行うことで血行が良くなれば、むくみにくい体質になる効果も期待できます。

ただし、強い力で押しすぎるとお腹が圧迫されてしまったり、気分が悪くなったりする恐れがあるので、リラックスできる程度の力で行うようにしましょう。

軽く体を動かす

妊娠後期でも、ママと赤ちゃんの健康状態に問題がなければ、軽く運動を続けることができます。ウォーキングやマタニティスイミングなどの適度な運動で汗をかくと、ナトリウムの排出が促され、血行が改善されるのでむくみ解消につながりますよ。

妊娠後期の手足のむくみは悩みすぎないで

程度の差はありますが、ほとんどの妊婦さんにむくみは現れます。特に妊娠後期に入ってお腹が大きくなってくるほど、手足のむくみがつらいことが増えるかもしれません。

着圧ソックスやマッサージなど、自宅でできるケアでどこまでやわらげることができるかは個人差があるので、試してみて効果が見られず、日常生活にも支障が出るほどつらいときは、かかりつけの産婦人科医に相談しましょう。

むくみを気にしすぎると、それがかえってストレスになってしまい、ママとお腹の赤ちゃんにとって良くありません。頭痛などの症状がなければあまり神経質にならず、ゆったりとした気持ちで過ごしてくださいね。

監修医師:産婦人科医 藤東 淳也先生

産婦人科医 藤東淳也先生
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。

【参考文献】
※1 南江堂 『エビデンスをもとに答える妊産婦・授乳婦の疑問92』pp.86-87
※2 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』p.102
※3 新星出版社『図版オールカラー 栄養成分の事典』pp.82-84

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