離乳食を開始してしばらくは、おかゆやすりつぶした野菜、豆腐が食材の中心ですが、初期の食べ物に慣れてきたら、次のステップである中期に進んでみましょう。
今回は離乳食中期の進め方について、食べさせる量やスケジュール、注意点をご紹介します。
離乳食中期に移行する目安は?
離乳食を始めて1〜2ヶ月が過ぎた生後7ヶ月頃を目安に、赤ちゃんに以下のようなサインがでてきたら、中期に進んでみてもよいでしょう。
□ ヨーグルト程度の固さのものが飲み込める
□ 1回に大さじ3程度の量が食べられる
□ 1日2回の離乳食が食べられる
上記はあくまでも目安なので、月齢で考えるのではなく赤ちゃんの食べる様子にあわせて移行してくださいね。
なお離乳食中期に移行しても、離乳食の基本は初期の頃と同じです。
● 食物アレルギーをチェック
● はじめての食材は1日1口から
● 食材の食べられる時期を確認
● 食材は加熱する
● 赤ちゃんのペースにあわせる
これらのポイントをおさえて、離乳食中期も進めていきましょう。進め方の基本は下記記事を参考にしてください。
離乳食中期の1日のスケジュールは?
※スケジュールは一例です
授乳と離乳食とのバランス
離乳食中期の栄養の割合は、離乳食から約30%、母乳・ミルクから約70%。まだ授乳からの栄養がメインなので、食後は赤ちゃんが欲しがるだけ母乳・ミルクをあげるようにしましょう。
離乳食のあとにミルク・母乳を飲まなくても、食後以外のときの授乳がしっかりできていて元気に成長していれば心配いりませんよ。
離乳食中期の進め方は?
離乳食中期は、上記のようなことを意識して進めてみましょう。
離乳食中期は、舌で食材をつぶしてモグモグと食べることに慣れる時期です。消化器官の発達により食べられる食材も増えてくるので、少しずつ新しい食材にチャレンジしてみてくださいね。
この時期から、好き嫌いが出てくることがあります。嫌がるものを無理に食べさせる必要はありませんが、好きな食材と組み合わせたり、大人が美味しそうに食べている様子をみせたりして、いろいろな味を経験させてあげてください。
味付けはいつから?
基本的に生後8ヶ月頃までは、食材や昆布、かつおのだし汁に含まれている塩分のみで十分です。調味料を使うのは生後9ヶ月頃を目安にしましょう。
ただ、なかなか離乳食を食べない場合は、味の変化をつけるために少量なら生後8ヶ月の後半頃から使ってもよいですよ。
たんぱく質の食材の進め方は?
生後7〜8ヶ月頃になると食べられる食材が増えますが、赤ちゃんの体に負担がかからないように、卵・肉・魚は上記の順番で食べるようにしましょう。
卵の進め方
離乳食中期に入り卵黄が食べられるようになって1ヶ月ほど経過したら、卵白を少量試してみます。
卵白も問題なければ全卵を少量から与えてみましょう。
魚の進め方
まぐろやかつおなどの赤身魚は、鯛やひらめ、たらなどの白身魚に比べて脂質が多く、加熱すると身がかたくなるので、白身魚に慣れた離乳食中期頃から細かくほぐして与えます。
あじやさば、いわしなどの青魚は脂質が多く身がかたいので、赤身魚に慣れた離乳食後期からがよいでしょう。
※魚は肉質の成分から「赤身」と「白身」の2つに分類されます。あじやさば、いわしも分類上は赤身魚ですが、赤身魚のなかでも一般的に青背の魚が「青魚」と呼ばれます。
肉の進め方
肉類のなかでも脂質が少なく、消化吸収がよい鶏ささみから与え始めます。鶏ささみに食べ慣れてきたら、離乳食中期からは鶏ひき肉、鶏もも肉・むね肉の順番で試してみてください。
豚肉と牛肉は鶏肉に比べて肉質がかたいので、鶏肉に食べ慣れた離乳食後期から取り入れてみましょう。
食材の固さ・大きさの目安は?
舌で食べ物をつぶす練習をするために、指で軽くつぶせる絹ごし豆腐くらいのかたさにしましょう。
中期前半は、食材の形が少し残る程度につぶします。後半からは食材をつぶさず、やわらかくした食材を2〜4mmほどに細かく刻んでください。
かたいと丸飲みしてしまうので、飲み込みにくそうなものはすりつぶしたり、とろみをつけたりしてあげてくださいね。
離乳食中期1食分の目安量は?
今回ご紹介する分量はあくまで目安ですが、中期前半から後半にかけて全体的に量を増やしていきます。
赤ちゃんにあわせて量を調整してOKですが、たんぱく質はあげすぎると赤ちゃんの体に負担がかかるので、なるべく量を守るようにしましょう。
中期前半
【炭水化物】
● 7倍がゆ なら 50g
● ゆでうどん なら 35g
● 食パン(8枚切り) なら 15g
いずれかでOK
【ビタミン・ミネラル】
● にんじん なら 20gほど
● かぼちゃ なら 20gほど
● ほうれん草 なら 20gほど
いずれか
+
● バナナ なら 15g
● りんご なら 15g
● みかん なら 15g
いずれか
【たんぱく質】
● 肉(鶏むねひき肉など)なら 10g
● 魚(鮭など)なら 10g
● 豆腐 なら 30g
● 卵黄 なら 1個分
● ヨーグルト なら 50g
いずれかでOK
離乳食中期からは、1回の食事で炭水化物、ビタミン・ミネラル、たんぱく質が揃っていることが理想です。少しずつ栄養バランスを意識していけるとよいですね。
中期後半
【炭水化物】
● 7倍がゆ・5倍がゆ なら 80g
● ゆでうどん なら 45g
● 食パン(8枚切り)なら 20g
いずれかでOK
【ビタミン・ミネラル】
● にんじん なら 30gほど
● かぼちゃ なら 30gほど
● ほうれん草 なら 30gほど
いずれか
+
● バナナ なら 15g
● りんご なら 15g
● みかん なら 15g
いずれか
【たんぱく質】
● 肉(鶏ささみなど)なら 15g
● 魚(まぐろなど)なら 15g
● 豆腐なら 40g
● 全卵なら 1/3個分
● ヨーグルトなら 50g
いずれかでOK
果物は野菜の代わりにはならないので、補足として15g程度使うようにしましょう。
離乳食中期の食べさせ方のポイント
● 背中が床と垂直になるように座らせる
● 食事時間は10〜15分を目安に
● 「おいしいね」「モグモグしよう」など明るく声をかけながら楽しい雰囲気で
● ごっくん、を確認してから次の一口を食べさせる
おすわりが安定してきたら、ベビーチェアなどに座らせて与えましょう。体がずり落ちてしまうと赤ちゃんは食べにくいので、ベルトなどで固定してあげてください。
モグモグと口を動かさない時は、大人がお手本をみせてあげるのもいいですよ。
中期後半になると、食器やスプーン、食べ物に興味をもって手を伸ばしてくることも。
自分で食べたいという意欲のあらわれでもあるので、できるだけ触らせてあげましょう。赤ちゃん用にスプーンを用意しておくのもおすすめです。
なかなか食べない場合は?
離乳食中期は、好き嫌いが激しくなったり、食べる食べないの個人差が大きくなってきたりする時期。
おかゆが苦手なら主食をうどんやそうめんにしてみたり、一品料理にして食材を混ぜて食べさせたり、調理方法を工夫してみてください。
また家族で食卓を囲み、「おいしいね」と言って食べている様子をみせるのもひとつの方法ですよ。
無理にスプーンを口に入れると赤ちゃんは食べることが嫌いになってしまうので、時には諦めることも大切です。
離乳食後期に移行する目安は?
生後9ヶ月を過ぎ、1日2回の離乳食をほぼ安定して食べられるようになっていれば、赤ちゃんの様子をみて後期へ移行し始めてもよいでしょう。
□ 1日2回の離乳食を安定して食べられる
□ 豆腐くらいの固さのものを舌でつぶして食べられる
□ 1回で子ども用茶碗に軽く1杯くらいの量を食べられる
一気にステップアップするのは大変なので、最初は中期と同じメニューで3回食を試してみるとよいですよ。
離乳食後期の進め方は、こちらの記事を参考にしてください。
監修専門家:管理栄養士・フードコーディネーター 中村 美穂
東京農業大学卒業。保育園栄養士として乳幼児の食事作り、食育活動、地域の子育て支援等に携わった経験を活かし、離乳食教室や子どもから大人まで楽しめる料理教室「おいしい楽しい食時間」を開催。書籍、雑誌等へのレシピ提供・監修も行っています。著書に『きちんとかんたん離乳食』(赤ちゃんとママ社)、『1~3歳発達を促す子どもごはん』(日東書院)など。2児の母。