1歳を過ぎるとついに安定して歩きはじめ、成長が目覚ましくなります。一方で、つい他の子と成長を比べてしまいがちですが、この時期の成長は個人差が大きいので、子どものペースに寄り添ってあげることが大切ですよ。
今回は、1歳児の発達の目安となる特徴をはじめ、身長や体重、言葉の発達についてご紹介します。
1歳児の発達の目安や特徴は?
1歳になるとあんよが進んで、これまでよりも劇的に行動範囲が広がったり、自分の意志をはっきりと表してきたりと、心や行動の成長が特に大きく見られます。
1歳児の発達の目安になる特徴は以下のとおりです。ただし、これらはあくまで目安です。子どもの発達には個人差があるため、できなかったとしてもあせる必要はありませんよ。その子なりの成長を見守ってくださいね。
あんよをしはじめて歩行が安定してくる
つかまり立ちから少しずつ伝い歩きをするようになり、おおよそ1歳半までには、あんよができるようになってきます(※1)。
初めは重心移動ができずに両手を上にあげて、ヨチヨチした不安定な歩き方をしますが、少しずつバランスのとり方を覚え、両手を下にして上手に歩けるようになります。
坂道や段差を上ったり、凸凹道を歩いたり、子どもの成長に合わせてママやパパが見守りながらいろいろなところを散歩すると、子どもの歩く能力が鍛えられるのでおすすめですよ。
ジャンプしたりボールを蹴ったりする
あんよが安定してくると、足腰の筋力がついてくることで、ママやパパにつかまりながら低い段差を上り降りするように。運動能力が向上し、2歳近くになるとボールを蹴ったりや、しゃがんで遊んだりするようになります。
押す・引っ張る・転がすなどの全身運動を取り入れて、子どもの運動機能の発達を促してあげましょう。
指先が器用に動かせるようになる
1歳3ヶ月頃になると、指先が器用になり、2個の積み木を積んだり、小さい物を拾って穴に入れたりできるようになります。スプーンを持って自分で離乳食を食べようとしだす子も多いでしょう。
1歳の間に、つまむ・ちぎる・叩く・握るなどの手を使う遊びをいっぱい経験させてあげてくださいね。
自分という存在を認識し自己主張がはっきりしてくる
自我が芽生えだし、自分がしたいことや嫌なことがわかるようになり、伝えようとしてきます。なかなか気持ちが伝わらず癇癪を起こすこともありますが、成長過程のひとつなので穏やかな気持ちで受け止めましょう。
「悔しかったね」「●●したかったね」と子どもの気持ちをママやパパが代弁するなど、気持ちを言葉にしてあげることで落ち着かせ、気持ちを人に伝えようとする意欲を高めてあげられると良いですね。
大人のまねやごっこ遊びをしたがるようになる
1歳3ヶ月頃になると、大人の仕草を真似したがります。ままごとで食べる真似をしたり、親に食べさせようとしたりすることも。ママやパパが喜ぶ顔を見て同じ行動を繰り返したり、口をすぼめてキスをするふりをしたりもします。
周囲への興味が高まっていると同時に、想像力や記憶力が発達している証拠なので、一緒に遊んであげましょう。
離乳食が進み、幼児食を食べるようになる
離乳食が順調に進んでいると、1歳になる頃から離乳食は1日3回になるのが一般的です。
その後、1歳6ヶ月頃までにはエネルギーや栄養(炭水化物など)の大部分を離乳食などの食事から摂取できるようになり、多くの子は少しずつ離乳食から幼児食へと移行していきます。ただし、離乳食の進み具合には個人差があるので、様子をみながら移行してくださいね。
この時期の食事は、大人と同じような内容でも薄味でやわらかめが基本です。噛む力が弱いので、あまり固いものをあげないように気をつけましょう。
栄養面の観点から、1日1~2回、不足しやすい栄養素を含んだおやつをあげて補えるとよいですね(※2)。
上下の乳歯が生え揃う
早い子は1歳を迎える前に上下の前歯が生え揃っていることもあります。1歳3ヶ月頃から奥歯も生え始め、歯磨きも本格的になっていきますが、まだ嫌がることも多いでしょう(※3)。
ママ・パパの歯磨きシーンを見せたり、歯ブラシを汽車に見立てたり、楽しみながら歯磨きへの興味を高めてあげてくださいね。
夜にまとめて寝るようになる
1歳になると睡眠のリズムが整います。睡眠時間は11〜12時間程度になり、そのほとんどを夜にとるようになります。昼寝も日中に1回程度で、ママやパパと同じようなリズムで生活できるようになりますよ(※4)。
睡眠は子どもの心と体の成長にとってとても大切なので、生活リズムが乱れがちなのであれば、今のうちから少しずつ整えていきましょう。
1歳児の身長・体重は?
厚生労働省によると、1歳児の身長・体重の目安は以下の通りです(※1)。
1歳児(1歳0ヶ月〜1歳12ヶ月)の身長・体重
身長 | 体重 | |
男の子 | 70.3~90.7cm | 7.68~13.69kg |
女の子 | 68.3~89.4cm | 7.16~12.90kg |
1歳児になると、出生時よりも体重が約3倍、身長は約1.5倍になります。色々なことができるようになり、心や行動の発達が目覚ましい反面、体の発達は緩やかになっていきますよ。
これから2歳に向けて、体重は3kg前後増え、身長は10cm前後伸びていくのが目安です。
1歳児の言葉の発達はどれくらい?
1歳になると、「ママ」「ブーブー」といった、意味のある1語を話し始めます。2歳近くなると、「パパ 抱っこ」など、2語を繋げて話せるようになる子も出てきたりと、少しずつ言葉が増えていきます。
まだ話す言葉は少なくても、ママやパパの言葉の多くを理解していて、「ないないするよ」「お片づけしようね」という呼びかけに行動で応えるなど、簡単な命令もわかってきますよ。
しゃべらなかったり、他の子よりも話す言葉が少なかったりすると心配になるかもしませんが、言葉の発達は個人差が大きいものです。3歳くらいまでは子どものペースに合わせて見守ってあげてくださいね(※5)。
言葉の出し方や表現方法が分からないということもあるので、ママやパパが絵本を読んだり、子どもの気持ちを代弁したり、同年代のお子さんと交流したりすることで日々の生活の中で言葉を引き出してあげましょう。
コツがわかると、突然2語3語と話し始めることも珍しくありませんよ。
1歳児の育児で注意しておくことは?
1歳児の育児で特に注意しておきたいのは、誤飲や転倒です。この時期はなんでも挑戦してみたくなりますが、何が危険なのか理解していません。以下の3点を注意しつつ、子どもから目を離さないように気をつけてくださいね。
ケガしないように先回り
あんよが安定しないことから、バランスを崩して転倒し、家具にぶつかってしまうことも。コーナークッションをつけたり、家具の置き場所を変えたりして、ケガを未然に防ぎましょう。
危険なエリアへの侵入をブロック
浴槽にお湯を溜めたまま扉を開けておくと、浴室で遊んで滑ったときに溺水してしまう恐れもあります。
お風呂や洗面所、玄関周り、階段などの子どもにとって危険なエリアには、侵入防止の柵やベビーゲートをつけるなどの工夫が必要です。
危険なことをしっかり伝える
危ないことをしたときは、「●●はしないよ」「危ないからここで遊ばないよ」と態度で示すと、少しずつ危険なものを理解していきますよ。
1歳児の発達に不安があるときは専門家に相談を
1歳になると、卒乳や断乳、おむつはずしを考える人もいますが、あせる必要はありません。この時期の成長・発達は個人差があるものなので、子どもに無理をさせないように、適切なタイミングを見極めてください。
発達に不安があるときは、かかりつけの小児科や育児相談など、専門家に相談してみましょう。自治体によっては1歳半健診を行っているところも多いので、普段の気になる点をメモにまとめて聞いてみるのがおすすめです。
監修医師:小児科 武井 智昭
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。
※1 ベネッセ・ムック『月齢ごとに「見てわかる!」育児新百科』P,192、193
※2 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
※3 日本小児歯科学会「こどもたちの口と歯の質問箱」
※4 厚生労働省「未就学児の睡眠指針」
※5 国立成育医療研究センター「乳幼児健康診査 身体診察マニュアル」