妊娠すると起こりやすいマイナートラブルの一つである「貧血」。予防や症状の緩和のためにも鉄分を効率よく摂取できる食材を知っておきたいですよね。
今回は、妊娠中の貧血を予防・改善するために、鉄分を多く含む食べ物をご紹介します。
妊婦はどれくらい鉄分を摂ればいいの?
妊婦さんが摂ったほうがいいとされる1日あたりの鉄分摂取量は、妊娠初期は9.0mg、妊娠中期〜後期は16.0mgになります(※1)。
鉄分には、肉や魚など動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、野菜や海藻類などに含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。
それぞれの特徴を活かして、バランスよく鉄分を摂取することが大切です。
妊婦の鉄分摂取におすすめ!「ヘム鉄」を多く含む食べ物は?
肉類・魚介類に多く含まれているヘム鉄は、体に吸収されやすい特徴があります。
ヘム鉄を多く含む食材と鉄分含有量は次の通りです(※2)。
● かき(むき身5個/約75g):1.6mg
● 牛もも肉(赤身約1枚/70g):2.0mg
● めじまぐろ(切身1切/70g):1.3mg
● あさり(むき身約10個/30g):1.1mg
● しじみ(むき身約10個/20g):1.7mg
● 豚レバー(焼き鳥1串/約30g):3.9mg
● 鶏レバー(焼き鳥1串/約30g):2.7mg
赤身肉にはヘム鉄が多く含まれるので、食事のメインに取り入れるのがおすすめです。
あさりやしじみなどの貝類はスープや味噌汁にして飲めば、ほかの栄養素も逃さず摂れますよ。
なお、鉄分を多く含むレバーですが、ビタミンAの一種である「レチノール」も多く含んでいます。
妊婦さんがレチノールを過剰摂取すると、胎児に「発育不全」や「奇形」を引き起こすリスクがあります。くれぐれも食べ過ぎには注意しましょう(※3)。
妊婦の貧血対策におすすめ!「非ヘム鉄」を多く含む食べ物は?
ヘム鉄だけで鉄分摂取量を満たすのは難しいので、非ヘム鉄を多く含む食材も意識して摂りましょう。
非ヘム鉄を多く含む食材と含有量は次の通りです(※2)。
● 乾燥大豆(100g):6.8mg
● 小松菜(生100g) :2.8mg
● 切干大根(乾100g):3.1mg
● ほうれん草(生100g):2.0mg
● 高野豆腐(水煮100g):1.7mg
● 納豆(1パック45g):1.5mg
副菜として取り入れやすいものばかりなので、毎食コツコツと食べていけると良いですね。
妊婦の鉄分摂取をサポートする食材は?
非ヘム鉄は体内での吸収率が低いという特徴がありますが、たんぱく質やビタミンCを一緒に摂取すると吸収されやすくなります。
以下のような食材と合わせて食べてくださいね。
たんぱく質を多く含む食材の一例
● しらす干し
● 豆腐(大豆類)
● いわしの丸干
● あじ
● ハマグリ
ビタミンCを多く含む食材の一例
● ピーマン
● パセリ
● レモン
● アセロラ
● ケール
● 芽キャベツ
● 柿
● ブロッコリー
コーヒーや紅茶、緑茶などには鉄分吸収を妨げる成分が入っているので、食事中に飲むのは控えるようにしましょう。
食材を組み合わせて鉄分を効率的に摂取しよう
妊娠すると鉄分の推奨摂取量が増えるので、今までの食生活を続けているだけでは十分に満たせないこともあります。今回ご紹介した食材を組み合わせて、積極的に摂取することを心がけてくださいね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」p.366
※2 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)第2章」
※3 内閣府 食品安全委員会「ビタミンAの過剰摂取による影響」