赤ちゃんの熱が下がらない!原因は?38度以上が続くときはどう対処する?

赤ちゃんの体質や保育園などで集団生活をしているかにもよりますが、生後半年頃を過ぎると熱を出すことがあります。熱が下がらず苦しそうな赤ちゃんの姿を見ると、心配になりますよね。

そこで今回は、赤ちゃんの熱が下がらないときに、まず注意するべきこと、疑われる病気、病院へ行く目安、対処法などをご紹介します。

赤ちゃんの熱で注意するべきことは?

赤ちゃん 発熱 1589186

赤ちゃんの発熱でまず注意すべきことは、生後3ヶ月未満かどうかということです。

生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38度以上の発熱をした場合、敗血症・髄膜炎・尿路感染症など重い病気の可能性があるため、速やかにかかりつけの小児科や病院を受診をしてください。夜間や土日祝日は救急外来を受診しましょう。

生後3ヶ月以上の発熱であれば、次からご紹介する原因や受診の目安、対処法を参考にしてくださいね。

赤ちゃんの熱が下がらない原因とは?疑われる病気は?

赤ちゃんは体温調節機能が未発達なため、外気温や室温、厚着などの影響で熱が高くなることがよくあります。そのような場合は、環境を整えることで平熱に戻ることがほとんどです。

風邪による発熱では、一般的に2~3日は38度以上の熱が出て、3~4日で少しずつ下がっていきます。体に侵入したウイルスと戦うための免疫反応として熱が出るので、発熱自体は悪いことではありません。

しかし、熱が出はじめてから4~5日経っても下がらなかったり、急に高熱が出たりしたときは、次のような病気にかかっている可能性があります。

RSウイルス感染症

1歳までに半数以上が、2歳までにほとんどの子どもが一度は感染し、高熱や咳、鼻水、呼吸をするときにヒューヒュー・ゼーゼーと音がする、といった症状が続きます(※1,2)。

生後6ヶ月以下の赤ちゃんがかかると重症化しやすく、細気管支炎や肺炎などを起こして入院が必要になることも多いため注意が必要です。

突発性発疹

生後6ヶ月から2歳くらいの間にかかることが多く、38度以上の高熱が3~4日続いた後、解熱とともにお腹や背中に発疹が出ます(※1,3)。

熱性けいれんも起こしやすく、ごくまれに脳炎や脳症といった合併症を引き起こすことがあります。

川崎病

4歳以下の子どもがかかりやすい原因不明の病気で、高熱や発疹、両目の充血、唇の赤み、イチゴ舌といった症状が1〜2週間続きます(※4,5)。

心臓の血管にこぶができるなどの後遺症を残すおそれがあり、早めに治療を始めることが大切です。

咽頭結膜熱(プール熱)

39~40度の高熱、喉の腫れと痛み、目の充血などの症状が起こる感染症です(※1,6)。

プールで感染することがあるため、プール熱という名がつけられています。手指やタオルなどを介して感染することもあります。

細菌性髄膜炎

インフルエンザ菌b型(ヒブ)や肺炎球菌などの細菌が髄膜の奥に入ることで起こる病気です(※7)。0~4歳の乳幼児がかかりやすいですが、特に0歳児が多いとされています。

発熱や嘔吐、意識がもうろうとする、けいれんが起こるなどの症状がみられます。重い後遺症が残ることもあるので注意が必要です。

インフルエンザ

急に39~40度の高熱が出て、全身がだるくなり元気がなくなります(※1,8)。たいていは2~3日で熱が下がるものの、5日程度熱が下がらないこともあります。

その後、喉の痛みや咳、鼻水といった症状を伴い、機嫌が悪くなったり食欲がなくなったりすることもあります。

特に乳幼児は重症化して入院が必要なこともあるので、経過をよく観察する必要があります。

麻しん(はしか)

麻疹はワクチンの定期接種が1歳と小学校入学1年前と決められているため、1歳以上の発症率は低いものの、1歳前に発症することがあります(※1)。

咳・鼻水を伴う発熱が2~4日続いた後、熱が一度下がったあとに、再び高熱(多くは39.5度以上)になるとともに発疹が全身にあらわれます(※1,9)。

肺炎や脳炎を合併すると後遺症や命の危険のおそれもあるため、赤ちゃんは注意が必要です。

赤ちゃんの発熱で受診するタイミングは?救急病院に行く判断は?

赤ちゃんが発熱しても熱以外の症状がなく、母乳やミルク、離乳食がとれて眠れていて、機嫌が悪くなければ、しばらく様子をみて通常の診療時間内に受診しましょう。

ただし、以下のような症状が見られた場合には、速やかにかかりつけの小児科や病院を受診する必要があります。夜間や休日は救急外来を受診してください。

● 水分を受けつけず、尿がほとんど出ない
● 意識がもうろうとしている
● 声をかけたり叩いても反応しない
● 顔色が悪い
● 呼吸が苦しそう
● 痙攣が起こっている

赤ちゃんの38度以上の熱が下がらないときの家庭での対処法は?

赤ちゃんが発熱したときは小児科を受診したうえで、家庭でできる対処法を実践しましょう。

坐薬を適切に使う

小児科で坐薬(座薬)が処方された場合は、医師の指示に従って使用するようにしてください。

赤ちゃんの熱が何度以上でどんな状態だったら使用した方がいいかをよく確認しましょう。

一般的に赤ちゃんに坐薬を使うときは、1日多くて4回まで、投与間隔時間は4〜6時間とされていますが、赤ちゃんや病気によって使い方が異なることがあります(※10,11)。

必ず薬の袋に書いてある用法用量を守るようにしてくださいね。

脇や首の後ろを冷やす

発熱によって体力を奪われたり、なかなか寝つけなかったりするときは、脇・首の後ろ・太ももの付け根を冷やしてあげましょう。

これらの場所には太い血管が通っていて、冷やすことで冷たい血液を全身にめぐらせ、効率よく熱を下げる効果があります。

熱にあわせて環境を整える

熱の上がり始めは、手足が冷たかったり寒気を感じたりします。厚着をさせる、掛け布団を重ねるなどして、体を温めてあげましょう。

熱が上がりきった後は熱が下がり始めて、汗をたくさんかきます。かけている布団を1枚外し、薄着にさせましょう。また、こまめに着替えをさせたり、汗を体を拭いたりしてあげてください。

こまめに水分補給をさせる

熱が出ているときは、汗をたくさんかいたり体が暑くなったりして脱水症状になりやすい状態なので、しっかり水分補給をさせることが大切です。

母乳やミルク、白湯、麦茶、経口補水液などを少量ずつ、こまめに与えましょう。

体を清潔に保つ

熱が38度以上ある場合や38度以下でも元気がない場合は、お風呂に入れるのは控えましょう。代わりに、お湯で濡らして絞ったタオルなどでこまめに体を拭いて、清潔に保つようにしてください。

赤ちゃんの熱が下がらなくても落ち着いて対処しよう

赤ちゃんの熱が下がらないときは、発熱以外に症状はないか、呼吸がはやくないか、機嫌が悪くないか、水分が摂れているかなど状態をしっかり観察し、受診時に医師に伝えることが大切です。

赤ちゃんが発熱すると焦ってしまうものですが、今回ご紹介した受診の目安や家庭での対処法を参考に、できるだけ落ち着いて対応ができるといいですね。

監修医師:小児科 武井 智昭

日本小児科学会専門医 武井 智昭先生
日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。

※1 日本小児科学会「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」p.11,13,17,30,34
※2 厚生労働省「RSウイルス感染症Q&A」
※3 NIDD国立感染研究所「突発性発疹とは」
※4 国立成育医療研究センター「川崎病」
※5 国立循環器病研究センター「川崎病の診断と治療法」
※6 厚生労働省「咽頭結膜熱について」
※7 NIDD国立感染研究所「細菌性髄膜炎とは」
※8 厚生労働省「インフルエンザQ&A」
※9 NIDD国立感染研究所「麻疹とは」
※10 医薬品医療機器情報提供ホームページ「アンヒバ坐剤小児用50mg/100mg/200mg」
※11 医薬品医療機器情報提供ホームページ「アルピニー坐剤100」

子育ての情報が満載の無料育児アプリ「ninaru baby」

ninaru baby

記事一覧に戻る