妊娠初期は、女性ホルモンの増加により体にさまざまな変化やトラブルが起きる時期です。トラブルの一つとして腹痛に悩む人も多く、「赤ちゃんは大丈夫なのかな?」と不安になることもありますよね。
そこで今回は、妊娠初期の腹痛について、原因や対処法、受診の目安などをご説明します。
妊娠初期に腹痛は起こるもの?いつまで続く?
妊娠初期は、ホルモンバランスの変化によって、特に異常がなくても軽い腹痛が起きやすい時期です。
チクチクとした痛みや、お腹全体が引っ張られるような痛みなど、人によって痛みの感じ方や続く期間には個人差があります。
これらは主に妊娠によって起こる生理的な現象の一つなので、心配しすぎる必要はありませんよ。
妊娠初期に起こりやすい腹痛の原因は?
妊娠初期の腹痛の原因は、主に以下の2つです。
子宮が大きくなる
妊娠初期は、お腹の膨らみ自体はまだ目立たないものの、子宮は収縮を繰り返し、赤ちゃんの成長とともに少しずつ大きくなっています。
子宮は筋肉でできていて、子宮が大きくなる過程で筋肉が引き伸ばされ、チクチクとした痛みを感じることがあります。
また子宮が大きくなることによって、子宮を支える左右の靭帯が引っ張られて、痛みを感じる場合も。
子宮は均等に大きくなるわけではないので、左右両方の靭帯で痛みを感じることもあれば、どちらかのみで感じることもあります。
便秘になりやすくなる
妊娠すると、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増える影響で、胃腸の働きが弱まり、便秘になりやすくなります(※1)。その影響で、下腹部の痛みやお腹の張りを感じることもあります。
妊娠初期の腹痛でつらいときの対処法は?
妊娠初期に腹痛を感じたときは、まず無理をせず、楽な体勢と服装で安静にするようにしましょう。
お腹まわりが冷えてしまうと腹痛が悪化する恐れがあるので、腹巻きや膝掛けを使用したり、温かい飲み物を飲んだりして、体を温めるのがおすすめです。
便秘が原因の場合は、つわりの症状などがある人は体調が落ち着いているときに、食物繊維や乳酸菌、水分などを積極的に摂取してお腹の調子を整えるようにしてくださいね。
ただし自己判断で便秘薬を飲むことはせず、改善しない場合は病院で相談しましょう。
妊娠初期の腹痛で受診した方がいい目安は?
基本的に妊娠初期の腹痛は、安静にして治まるようであれば、大きな心配はありません。
流産を起こしかけている「切迫流産」の場合に軽い腹痛や少量の出血があることはありますが、有効な対処法がないためすぐに救急外来に行く必要はないとされています(※2)。夜間であれば翌日か、予定している健診での受診で問題ありません。
ただし、我慢できないほどの激しい腹痛が続く場合や、生理の時より多い出血を伴う場合は、子宮外妊娠(異所性妊娠)や流産の兆候である可能性があるため、すぐに病院を受診してください。
ささいなことでも体調に不安があるときは、遠慮せず産婦人科で相談するようにしましょう。
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監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』p.36-37
※2 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」