体調が不安定な妊娠初期に、お腹の違和感で悩んでいる人もいるのではないでしょうか。普段はみられないお腹の張りや痛みがあると、赤ちゃんのことが心配になりますよね。
そこで今回は、妊娠初期のお腹の違和感について、原因や対処法、受診の目安などをご説明します。
妊娠初期にお腹の違和感は起こる?
妊娠初期は、ホルモンバランスの変化によって、引っ張られるような感じや生理痛に似た痛みなどの違和感がよくある時期です。
妊娠によって起こる生理的なものがほとんどなので、安静にして治まるようであれば大きな心配をする必要はありませんよ。
妊娠初期のお腹の違和感の原因は?
妊娠初期のお腹の違和感の原因は、主に以下の3つが考えられます。
子宮が大きくなる
妊娠前は鶏の卵ほどの大きさだった子宮は、妊娠3ヶ月の終わりにはこぶし大に、妊娠4ヶ月の終わりには新生児の頭ほどにまで大きくなります(※1)。
このように子宮が大きくなる過程で、子宮自体が引き伸ばされることによって、チクチクとした痛みを感じることがあります。
子宮を支える靭帯が引っ張られる
子宮が大きくなることにより、子宮を支える左右の靭帯が引っ張られて痛みを感じることも。左右両方の靭帯で痛みを感じる場合や、どちらかのみで感じる場合もあります。
便秘になりやすくなる
妊娠すると、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増えます(※1)。その影響で胃腸の働きが弱まり、便秘になりやすくなるため、下腹部の痛みやお腹の張りなどの違和感が起こることがあります。
妊娠初期にお腹に違和感があるときの対処法は?
妊娠初期にお腹に違和感があるときは、以下の対処法を行いましょう。
安静にする
まずは横になる、座るなど楽な姿勢で安静にするようにしてください。外にいる場合は、ゆっくり歩くようにしたり、電車やバスではなるべく座ったりしましょう。
体を温める
腹痛がある場合、体が冷えてしまうと、血行が悪くなり痛みが悪化する可能性があります。
腹巻きや膝掛け、レッグウォーマーなどを使ったり、湯船にゆっくり浸かったりして、体を休ませつつしっかり温めるようにしましょう。
生姜湯などの体を温める飲み物を飲むのもおすすめですよ。
便秘を解消する
便秘が原因の場合は、改善することでお腹の違和感を解消できるかもしれません。つわりの症状がある人は、体調が落ち着いているときに、食物繊維や乳酸菌、水分などを積極的に摂取してお腹の調子を整えましょう。
ただし妊娠中に飲めない便秘薬もあるので、自己判断で便秘薬を飲むのは避けるようにしてください。
妊娠中に飲める便秘薬や漢方などを処方してもらえるので、改善しない場合は病院で相談しましょう。
妊娠初期のお腹の違和感で受診した方がいい目安は?
妊娠初期にお腹に違和感があるときは、基本的にしばらく安静にして治まるようであれば問題ありません。
ただし、我慢できないほどの激しい腹痛が続く場合や、生理の時より多い出血を伴う場合は、子宮外妊娠(異所性妊娠)などの可能性があるため、すぐに病院を受診してください(※2)。
少しでも気になる体調変化や不安があるときは、遠慮せず産婦人科に相談するようにしましょう。
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監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 メジカルビュー社『プリンシプル 産科婦人科学2 産科編』pp.36〜37,91〜92
※2 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」