生理前になると体の中では変化が起こります。無性に甘いものや脂っこいものが食べたくなったり、いつもより食欲が増したりする人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、生理前に食欲旺盛になる理由や食欲を抑える方法、食べ過ぎてしまったときの対処法などをご紹介します。
生理前に食欲旺盛になるのはなぜ?
生理前に食欲旺盛になるのは、月経前症候群(PMS)の症状のひとつです。
月経前症候群の原因はいくつかの説があり、はっきりと解明されていませんが、排卵から次の生理までに分泌されるホルモンの変動によって引き起こされるのではないかと考えられています(※1)。
約70〜80%の女性が生理前に何かしらの症状があるとされていて、生活に支障が出るほどの月経前症候群の症状がある女性は5%ほどとされています(※1)。
月経前症候群の症状には食欲増加のほかに、腹痛や頭痛、腰痛、むくみといった身体的症状、情緒不安定やイライラ、不安といった精神神経症状など、さまざまなものがあります(※1)。
生理前の食欲はいつから増加するの?
月経前症候群は、生理の10〜3日前から発症し、生理が始まると回復していきます(※1,2)。
そのため、月経前症候群の症状として食欲増加が始まる時期は、早くて生理の2週間ほど前から、遅くても3日ほど前からということになります。
ただし、月経前症候群の症状や期間には個人差があり、月によっても違うので、食欲が増加する時期や期間も人それぞれです。
生理前の食欲増加で気をつけたいことは?控えたほうがいい食べ物はある?
月経前症候群の対処法のひとつとして、カフェインやアルコールは控えたほうがいいとされています(※1)。
生理前の食欲増加によって、カフェインやアルコールを含む食べ物や飲み物をたくさん摂ってしまうと、月経前症候群の症状が悪化するリスクがあるといえます。
一方で、カルシウムやマグネシウムは積極的に摂ることは、月経前症候群の対処法として良いとされています(※1)。
生理前に食欲が増すのは仕方のないことですが、だからといって欲求のおもむくままに食べるのではなく、控えたほうがいいもの・摂取したほうがいいものを意識しながら食事ができるといいですね。
生理前の食欲を抑えるための方法は?
月経前症候群によって日常生活に支障が出るような場合は、低用量ピルや痛みやイライラを緩和させる薬が処方されることがあります(※1)。
食べ過ぎの症状に対しては漢方薬などが使われることもあります。食欲を抑えるために、以下のような方法を試してみるのもおすすめですよ。
記録をつける
基礎体温をはじめ、その日の体調や気分などを毎日記録することで、排卵や生理の時期を予測でき、生理前の食欲増加がいつ頃始まりやすいのかもわかるようになります。
いつ何をどれくらい食べたくなったかなど、気づいたことは何でも書いてみましょう。
なるべく細かく記録しておくことで、生理前の食欲をコントロールしやすくなることにつながります。
ストレス発散法を探す
生理前の体調不良や精神的な不安定さによってストレスが溜まったり、月経前症候群の症状としてイライラしたりして、はけ口として暴飲暴食に走ってしまう人もいます。
できるだけ、食べること以外でストレスやイライラを発散できるように、リフレッシュ方法を探せるといいですね。
月経前症候群のさまざまな症状に対する対処法として、リラックスや気分転換する時間を作ったり、セルフケアをしたりすることも大切だとされています(※1)。
ぬるめのお風呂にアロマオイルや入浴剤を入れ、香りを楽しみながらゆっくり体を温めるなど、自分に合ったリラックス方法を試してみてくださいね。
生理前に食べ過ぎてしまったらどうしたらいい?
生理前の食欲をコントロールしようと努力しているのに、どうしても食べ過ぎてしまうこともありますよね。そんなときは、以下のような方法を試してみるのもいいかもしれません。
食事量を調節する
食べ過ぎてしまった翌日は、食事の量を少し減らしてみましょう。
1日3食のうち、夕食は控えめにしたり、空腹感を感じてから食事を摂るようにしたりして、前日に食べ過ぎた分を調整してみてくださいね。
食物繊維を多く摂る
野菜や海藻類、芋類、玄米などに多く含まれている食物繊維は、脂肪や糖を吸着して体の外に出す働きがあるといわれています(※3)。
生理前に食べ過ぎてしまったら、食物繊維を多く含む食べものをたくさん食べるのもいいでしょう。
生理前の食欲と上手に付き合おう
生理前の食欲を抑えたいと思っても、コントロールするのは簡単ではないですよね。しかも、生理前は腹痛や腰痛、イライラ、眠気など、不快な症状を伴うことが多く、体も心も不安定になりやすい時期です。食べ過ぎはよくありませんが、我慢のしすぎもよいとはいえません。
生理前に食欲が止まらずつらいときは、婦人科で相談してみましょう。いろいろな方法を試しながら、生理前の食欲と上手く付き合っていけるといいですね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 日本産科婦人科学会「月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)」
※2 日本産婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020 CQ404 月経前症候群の診断・管理は?」
※3 厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維」