妊娠初期はさまざまな体の変化が起こるので、おりものの変化にも敏感になりますよね。おりものがピンク色になっていると、「赤ちゃんに何かあったのかな」と不安になる人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、妊娠初期にピンクのおりものが起こる原因や、腹痛が起こるのか、病院に行く目安などをご説明します。
妊娠初期にピンクのおりものはなぜ起こる?
そもそもおりものとは、腟や子宮、汗腺などの分泌物や古くなった細胞などが混ざり合った粘液のこと。おりものがピンク色の場合は、少量の出血が混ざっている状態です。
妊娠すると少量の出血が起きるケースも珍しくありません。トイレットペーパーにつく程度の出血や、少しおりものに混ざっている程度の出血であれば基本的に問題はありませんよ。
おりものがピンク色になるくらいの出血は、主に以下のような原因で起こります。
着床出血
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床したときに起こる少量の出血のことです。着床出血の有無や出血の量には個人差があり、妊娠超初期症状の一つといわれています。
不正出血の一種ではありますが、生理的な出血なので心配する必要はありません。
子宮腟部びらん
「子宮腟部びらん」という子宮口のあたりが赤くただれている状態となった場合、性交や排尿、排便などの軽い外的刺激で不正出血が起きやすくなります。
子宮腟部びらんは多くの女性に見られるものです。妊娠による女性ホルモンの変化が原因で起こりやすくなる生理的な現象なので、赤ちゃんへの影響は特にないとされています。
子宮頸管ポリープ
「子宮頸管ポリープ」とは、子宮の入り口にある子宮頸管に突起ができる病気で、女性の約2〜5%に発生します(※1)。妊娠前から不正出血が続いていた場合は子宮頸管ポリープであるケースもあるようです。
ポリープは少しの刺激で出血しやすく、性交や排便などの刺激で不正出血が起きることがあります。
妊娠初期のピンクのおりもので腹痛は起こる?
妊娠初期にピンクのおりものが出ていて、同時に腹痛を伴うことがあります。
妊娠初期は女性ホルモンの増加や子宮が大きくなる影響で、チクチクとしたお腹の痛みやキュッと引っ張られるような痛みなどを感じやすい時期です。
腹痛は主に妊娠によって起こる生理的な現象の一つなので、安静にして治まるようであれば、ピンクのおりものが出ていても急いで病院を受診する必要はありません。
ただし激しい腹痛が続いたり、生理のときより多い出血を伴ったりする場合は、切迫流産や子宮外妊娠(異所性妊娠)、子宮の病気などの可能性があるので速やかに病院を受診してください(※1)。
腹痛がない場合は、生理現象による少量の不正出血である可能性が高いので、そのまま様子を見ましょう。
妊娠初期にピンクのおりものが続く場合は?
ピンクのおりものが出ても、妊婦健診で赤ちゃんや母体の異常などを特に指摘されていなければ、心配しすぎる必要はありません。できる限り安静にして過ごしましょう。
ただし、ピンクのおりものが大量に出たり、数日間続いたりする場合は、かかりつけの産婦人科に相談してください。確認する際は以下の点をおさえておくと、医師が判断しやすいですよ。
● ピンクのおりものの量
● ピンクのおりものの状態(色、におい、形状など)
● いつからピンクのおりものが出ているのか
● 腹痛やお腹の張り、発熱など他に症状がないか
妊娠初期のおりもので受診する目安って?
ピンクのおりものや、出血して時間の経った赤褐色や茶色のおりものが少量出ている場合は、基本的に急いで受診する必要はありません。
ただし、おりものが以下の状態になった場合は他の病気が疑われる可能性があるので、一度産婦人科を受診してみましょう。
● 悪臭がする
● 白くてぼそぼそしたカッテージチーズのような状態をしている
● 黄色や黄緑色をしている
● 泡状になっている
不安なことがあれば、遠慮なく病院に相談するようにしてくださいね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 MSDマニュアルプロフェッショナル版「子宮頸管ポリープ」
※2 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」