さまざまな体調変化がある妊娠初期。頻尿もその一つで多くの妊婦さんが経験しますが、いったいなぜ起こるのでしょうか。
そこで今回は、妊娠初期に頻尿になりやすい理由や、妊娠中に残尿感が強いときの対策などをご紹介します。
妊娠初期に頻尿になりやすい原因は?
妊娠初期に頻尿になりやすい原因としては以下の3つがあります(※1)。
ホルモンの変化
着床して妊娠が成立すると、ホルモンの分泌量が急激に変わります。膀胱の筋肉を緩めるホルモンが多く分泌されるようになるため、頻尿になりやすくなるとされています。
膀胱の圧迫
子宮のすぐ近くにある膀胱は、徐々に大きくなる子宮に圧迫されて、尿を溜められなくなり頻尿を引き起こします。
血液量の増加
妊娠すると赤ちゃんを育てるために母体の血液量が増えます。体内の水分量が増えることで、尿量も増えて頻尿になりやすくなります。
妊娠初期の頻尿はいつから?いつ治まるの?
妊娠して頻尿になる時期については個人差があり、早い場合だと妊娠初期症状として生理予定日近くで頻尿になることがあります。
妊娠初期の頻尿は、ホルモンの分泌が安定して子宮の位置がお腹の上のほうへ上がってくる妊娠中期には治まる人もいます。
ただし、妊娠中期には膀胱の代わりに胃や食道が圧迫されて、胸焼けなどの症状が起きやすくなります。
妊娠後期になると赤ちゃんは生まれる準備のために下のほうへ移動して、今度は尿道や腸を圧迫されるようになります。
胃痛や胸焼けが治まってすっきりする一方で、頻尿が再び起こることが多いです。
妊娠初期症状の頻尿の特徴は?
妊娠初期症状としての頻尿は、夜間頻尿が多いようです。
回数は個人差がありますが、人によっては夜中に3〜4回トイレに行くようになることもあり、この傾向は妊娠週数が進むにつれて強くなるとされています。
また、 ホルモンなどの影響で以下のような動作でお腹に力が入ったときに、尿もれをしてしまう妊婦さんも少なくありません。
- 咳
- くしゃみ
- 運動
- 重いものを持つ
- 大笑い
妊娠初期の頻尿は膀胱炎を引き起こすことがある?
妊娠初期は、ホルモンバランスの変化による免疫力の低下や、おりものの増加から、膀胱炎の原因となる細菌が繁殖しやすい状態です。
また、頻尿を気にしてトイレに行くのを我慢してしまうと、膀胱炎を招くおそれがあります。
以下の症状が現れたら膀胱炎を起こしている可能性があるので、早めに医師に相談しましょう。
- トイレに行った後に残尿感がある
- トイレに行ったすぐ後に、またトイレに行きたくなる
- 排尿時にヒリヒリやツーンとした痛みがある
- 尿に白い濁りがある
妊娠初期の頻尿対策!残尿感があるときは?
妊娠初期に頻尿を悪化させないように、以下の点を気をつけてみてくださいね。
トイレを我慢しない
尿意は生理現象なので我慢する必要はありません。
妊娠初期に頻尿になると、尿意を感じてトイレに行っても実際に出る尿の量は少なくなりますが、我慢せずにこまめにトイレに行くことが大切です。
カフェインの摂取を控える
カフェインには利尿作用があり、飲みすぎるとトイレの回数が増えてしまうことも。
妊娠中にカフェインを過剰摂取すると胎児に影響を与えることもあるので、妊娠しているときはコーヒーや緑茶などカフェインの入った飲料は控えるようにしましょう(※2)。
妊娠中の水分補給にはお水や麦茶、カフェインレスやデカフェの飲み物がおすすめですよ。
寝る前に水分を摂取しすぎない
就寝前の飲食は、夜中のトイレの回数を増やす可能性があります。水分を多く含む果物や野菜の摂取にも気をつけましょう。
冷えに注意する
冷えが強いと尿意を起こしやすくなります。夏場に冷房が効きすぎて公共施設やオフィスが寒いときは、ひざ掛けや腹巻を使うなどして冷え対策を行いましょう。
また、体を締めつける服装は血流を悪くさせて冷えを引き起こしやすいので、ゆったりとした服装を心がけてくださいね。
妊娠中に頻尿のとき、外出時の対策は?
外出先では頻繁にトイレに行くのを気兼ねしたり、トイレがすぐそばになくて焦ったりすることもありますよね。
精神的な緊張は頻尿の症状を助長させるおそれがあるので、市販の尿漏れパッドを利用してみるのも一つの手です。
「尿意を感じても、すぐにトイレに駆け込まなくて大丈夫」という精神的な余裕が生まれて、安心して外出できるようになりますよ。
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出典: www.d-unicharm.jp妊娠初期の頻尿はできる範囲で対策しよう!
頻尿のつらさは、他人になかなか分かってもらうのが難しいものです。妊娠に伴う生理的な症状なので、恥ずかしがったり、心配しすぎたりする必要はありません。できる範囲で頻尿対策をしながら、リラックスして毎日を過ごせるといいですね。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 株式会社メディックメディア『病気がみえる vol.10 産科編 第4版』p.43
※2 厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」