さまざまな体の変化が起こる妊娠初期に、腹痛や下腹部痛に悩む人も多くいます。その中でも左側だけの腹痛に悩んでいる人は、「なぜ左だけ痛いの?」「赤ちゃんは大丈夫なの?」などと不安になるかもしれません。
そこで今回は、妊娠初期に左だけ腹痛が起こる原因や対処法、その他で気をつけたい腹痛などについてご説明します。
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妊娠初期に左だけ腹痛が起こる原因は?
妊娠初期は以下のような原因で、左だけの腹痛や下腹部痛が起きやすい時期です。
子宮を支える部位が引っ張られる
お腹の左側でチクチクとした痛みやキュッと引っ張られるような痛みを感じるときは、子宮が大きくなることにより、子宮を支える「円靭帯」が引っ張られることが原因といわれています。
子宮が大きくなる
赤ちゃんの成長とともに子宮もどんどん大きくなります。子宮は均等ではなく、左右非対称に大きくなるため、引き伸ばされるときに左側だけに痛みを感じることもあります。
便秘が起こっている
妊娠するとプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増えることで胃腸の働きが弱まり、便秘になりやすくなります(※1)。便秘はお腹の左下にある部分に起こりやすく、人によっては左下腹部に痛みを感じることもあります。
妊娠初期に左だけ腹痛が起こるときはどうすればいい?
子宮が大きくなり円靭帯が引っ張られることによって腹痛が起きている場合は、妊娠中の生理的な現象の一つなので、安静にして治まるようであれば心配ありません。
楽な姿勢と服装で横になり、無理せず過ごしましょう。
便秘が原因の場合は、解消することで左側だけの腹痛がおさまります。
スムーズな排便のためにも、こまめに水分補給をするようにしてくださいね。起きてすぐにコップ一杯の水を飲むと、胃腸が活発になり排便が促されますよ。
また便通を整えるには、食物繊維が豊富に含まれる野菜、海藻類、豆類や、乳酸菌が含まれるヨーグルトなどが効果的です。
妊娠初期は体調が不安定な人が多いですが、落ち着いてきたら積極的に食事に取り入れるように意識してみましょう。
妊娠初期に左だけ起こる腹痛はいつまで続く?
妊娠初期に左だけに起こる腹痛は、妊娠初期のうちに自然とおさまる人もいれば、妊娠中期以降も続く人もいて、終わる時期には個人差があります。
便秘が原因の場合は、子宮が大きくなればなるほど胃腸を圧迫して排便がスムーズに進まなくなるため、妊娠週数が進んでも痛みが続く場合もあります。
妊娠初期に気をつけたい腹痛って?
妊娠初期に気をつけたい腹痛は、「出血を伴う」または「我慢できないほどの腹痛が続く」場合です。
これらは、切迫流産や子宮外妊娠(異所性妊娠)の可能性があるため、症状が見られたら夜間や病院時間外であってもすぐに病院を受診してください(※2)。
その他の腹痛の場合は、まずは安静にして様子を見ましょう。
何か不安なことがあれば、遠慮せずに産婦人科に相談してくださいね。
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監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 メジカルビュー社『プリンシプル 産科婦人科学2 産科編』p.91-92