妊娠超初期や妊娠初期は、体にさまざまな変化や症状が現れます。「頭痛」もその一つで、日常生活で悩まされている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、妊娠超初期〜初期の頭痛が起こる理由や、対処法、受診の目安などをご紹介します。
妊娠超初期〜初期の頭痛の特徴や原因は?
妊娠超初期から初期にかけて起こりやすい頭痛には、主に2つのタイプがあり、それぞれ痛みの特徴や原因が異なります。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は最も多くみられるタイプの頭痛で、運動不足や長時間の同じ姿勢、眼精疲労、精神的なストレスなどによって血流が悪くなり、頭の筋肉がこわばることで起こりやすいといわれています。
後頭部から首筋あたりにかけて、ずっしりと重い痛みや締め付けられるような痛みを感じるのが特徴で、体のだるさやめまいを伴うこともあります(※1)。
片頭痛
片頭痛の原因は解明されていませんが、妊娠によって分泌の増える「プロゲステロン(黄体ホルモン)」によって脳の血管が広がることや、気温や気圧の変化、光や騒音の刺激などによって引き起こされるといわれています。
人によって痛みの程度にも個人差があり、目の周りやこめかみあたりがズキズキと痛んだり、体を動かしたときに痛みが強くなったりするのが主な特徴で、吐き気や嘔吐を伴うこともあります(※1)。
ただし、妊娠初期〜後期にかけて痛みは軽減する傾向にあり、妊娠後期では60〜80%の妊婦さんが片頭痛が軽くなったと報告されています(※2)。
妊娠超初期〜初期の頭痛の対処法は?
頭痛を根本的に改善するためには、生活習慣を見直したり、なるべくストレスや疲れを溜めないように過ごしたりすることが大切です。
とはいえ今悩まされている頭痛にすぐ対処したいときは、以下の片頭痛と緊張型頭痛それぞれでの対処法を試してみてくださいね。
緊張型頭痛の対処法
緊張型頭痛の場合は血流が悪くなっていることが原因なので、軽いストレッチをして首や肩を動かして、血のめぐりをよくするのがおすすめです。
痛みを感じる部分に蒸しタオルなどを当てて、温めるのも効果的ですよ。
片頭痛の対処法
片頭痛の場合、体を動かしたり、光や騒音などの刺激を受けたりすると痛みが増してしまうおそれがあるため、まずは暗く静かな部屋で目を閉じて安静に過ごしましょう。
また、痛む部分を冷却シートや濡れタオルなどで冷やしたり、圧迫したりすることで痛みが緩和されるといわれています。
妊娠超初期〜初期の頭痛で薬を飲んでもいい?
頭痛に悩まされたときは、市販の頭痛薬に頼りたくなる人もいるかもしれません。しかし、妊娠初期は赤ちゃんの重要な器官が作られるため、薬の影響を受けやすい時期とされています(※3)。
妊娠が判明した人や妊娠の可能性がある人は、自己判断での薬の服用には注意が必要です。
まずは医師に相談の上、妊娠中に飲んでもいい薬を処方してもらうようにしてくださいね(※4)。
妊娠超初期〜初期の頭痛の受診目安は?
突発的な強い痛みがあったり、痛みが続いたりする場合は、遠慮せずに内科や産婦人科を受診しましょう。その際、妊娠している旨や妊娠の可能性がある旨を必ず伝えるようにしてくださいね。
病院に行く際は、痛みの程度や頻度、いつから痛みが出始めたのか、頭痛の他に気になる症状などを伝えると、検査がしやすくなりますよ。
監修医師:産婦人科医 藤東 淳也
日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長。専門知識を活かして女性の快適ライフをサポートします。
※1 日本神経学会「脳神経内科の主な病気」
※2 日本神経学会「頭痛の診療ガイドライン2021」
※3 南江堂 『エビデンスをもとに答える妊産婦・授乳婦の疑問92』p.2-4
※4 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン 産科編2020」