産後の食事は、赤ちゃんへの影響を考えるとどのようなものを食べたらいいのか、慎重になりますよね。母乳を通じて赤ちゃんに悪い影響があるんじゃないか、はたまた体力を戻すためには何を食べたらいいのかなど、心配は尽きません。
そこで今回は、産後ママが摂ったほうがいい栄養素や、それを多く含む食べ物などを、管理栄養士さんの意見を踏まえてご紹介します。
産後の食事、どんなことに気をつける?
出産を終えたママの体は、とても大きなダメージを受けています。そのため、出産が終わってからしばらくの期間、ママの体は子宮の大きさや骨盤の位置を妊娠前に近づけるなど、体の回復を行う期間に入ります。
一方で、赤ちゃんのために母乳を作るという仕事もあるため、妊娠前と比べて、体が必要とする栄養素が異なることも。
そのため、産後の食事では、体の回復と母乳の生産を補う栄養素を多く摂ることが必要になってきます。
産後の食事で必要な栄養素top10
では、産後の食事には、具体的にどのような栄養素が必要なのでしょうか。管理栄養士の安蒜ゆい先生に産後の食事で大切な栄養素を10個挙げてもらいました。
安蒜さん
産後の食事でママが摂ったほうがいいのは、炭水化物、タンパク質、ビタミンA、ビタミンB₁、ビタミンB₁₂、ビタミンC、ビタミンD、カルシウム、鉄、食物繊維という栄養素です。
ここからはそれぞれの栄養素が産後の食事に必要な理由や、どの食べ物で摂れるのかをご紹介します。
産後の食事で必要な栄養素1:炭水化物
安蒜さん
炭水化物は、体を動かすエネルギーになります。そのため、産後の体力が落ちているときにしっかり摂りたい栄養素です。
ご飯・パン・麺類・芋類など
産後の食事で必要な栄養素2:タンパク質
安蒜さん
タンパク質は体づくりの基礎となる筋肉や血液をつくります。植物性と動物性、バランスよく摂るようにしましょう。
肉類、魚類、豆製品、乳製品、卵など
産後の食事で必要な栄養素3:ビタミンA
安蒜さん
産後の疲れやすい目のためにもビタミンAはおすすめ。角膜の表面を保護する粘液の成分にもなります。油に溶けやすいビタミンなので炒め物などでも摂りやすいですよ。
銀ダラ、モロヘイヤ、にんじん、アシタバ、鶏・豚・牛レバーなど
産後の食事で必要な栄養素4:ビタミンB₁
安蒜さん
ビタミンB₁は疲労回復にもおすすめですが、糖質をエネルギーに変えるときにも必要な栄養素です。硫化アリルを含むネギと一緒に摂ると働きも良くなります。
うなぎ、タラコ、豚ヒレ・もも・ロース肉、大豆、えんどう豆など
産後の食事で必要な栄養素5:ビタミンB₁₂
安蒜さん
ビタミンB₁₂は葉酸と一緒に赤血球をつくる働きがあります。貧血対策にも大切な栄養素ですね。
牡蠣、しじみ、赤貝、さんま、鶏・豚・牛レバーなど
産後の食事で必要な栄養素6:ビタミンC
安蒜さん
ビタミンCは免疫力を高めてくれます。水に溶け出しやすい性質があるので生野菜を食べるときなど、水にさらしすぎないように注意しましょう。
赤・黄ピーマン、菜の花、ブロッコリー、柿、グレープフルーツなど
産後の食事で必要な栄養素7:カルシウム
安蒜さん
妊娠中からカルシウムは不足しがちで骨粗しょう症のリスクも高まります。また授乳中もカルシウムは母乳から赤ちゃんに供給されているので、カルシウムはしっかり摂取することが大切です。
干しエビ、煮干し、ししゃも、モロヘイヤ、大根の葉、ヨーグルト、牛乳、がんもどきなど
産後の食事で必要な栄養素8:ビタミンD
安蒜さん
ビタミンDは、産後の体に不足しがちなカルシウムの吸収を促進してくれます。
あん肝、紅鮭、さんま、白きくらげ、しらす干しなど
産後の食事で必要な栄養素9:鉄
安蒜さん
産後は貧血になりやすい状態なので予防も大切です。植物性食品にも含まれていますが、動物性食品に含まれる鉄のほうが吸収率が良いため、貧血がひどい方はレバーなどから摂りましょう。
ひじき、岩のり、鶏・豚・牛レバー、大豆など
産後の食事で必要な栄養素10:食物繊維
安蒜さん
産後は便秘になるママも少なくありません。そのため、食物繊維を摂ることは、産後ダイエットはもちろん便秘予防にもおすすめです。
ごぼう、玄米、キャベツ、大豆、こんにゃくなど
産後は避けたほうがいい食べ物・飲み物はある?
では、逆に産後は避けたほうがいい食べ物・飲み物はあるのでしょうか?安蒜さんに聞いてみました。
ー産後の食事でママが避けたほうがいいものを教えてください。
安蒜さん
まずはカフェインです。カフェインは母乳を通じて新生児や乳児に移行します。過剰摂取には気をつけ、1日300mgまで(だいたいコーヒー3杯まで)にしましょう。カフェインには鉄の吸収も阻害する働きもありますよ。
また、アルコールも産後の食事では避けたほうがいいです。アルコールもカフェイン同様、母乳を通じて新生児や乳児に移行するので、授乳期が終わるまでは我慢したほうがベターですね。
産後の食事はバランス重視で!
産後のママの体は、自分自身の体の回復に、赤ちゃんのための母乳づくりにと、大忙し。そのため、産後の食事では、特定の栄養だけ集中的に摂ればいいというわけではなく、さまざまな栄養をバランスよく摂ることが重要です。
産後は、ホルモンバランスの乱れや育児疲れで体調を崩しやすい時期でもあります。食事でいろいろなものを摂り、ママと赤ちゃんの健康を保ってくださいね。
安蒜ゆい
管理栄養士 N.E.Family
病院・保育園にて管理栄養士として献立作成・衛生管理や食育活動に携わり、現在は独立しフリーランス管理栄養士・彩り時短食プランナーとして活動しています。「季節や行事を通して食事・家族の時間の大切さを伝えていきたい」という想いのもと、レシピ提供や撮影、コラム執筆などを行っています。